UNDULATIONISM by MORI YU GALLERY

2022年6月8日(水)-6月26日(日)
出展作家:黒田アキ、河合政之、藤原康博、小栁仁志、西山修平、世良剛、浜崎亮太、AKI LUMI
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金曜日 11:00-19:00 / 土曜日・日曜日 11:00-17:00 定休日:月曜日
企画:MORI YU GALLERY

【オープニングパーティー】
6月11日(土)16:00〜18:00
作家を囲んでささやかながらオープニングパーティーをいたします。
お時間ございましたら足をお運びください。

【ヴィデオアート上映 Video Art Screening】
MORI YU GALLERY 出品のヴィデオ・アーティストによる作品上映。
Video art works by artists presented by MORI YU GALLERY.

2022年6月24日(金) 開場19:00、開演19:20
June 24th, 2022, Open 19:00, Start 19:20

入場無料/定員15名/予約優先
こちらからご予約ください。
https://cadanyurakuchomoriyugalleryscreening.peatix.com/

上映作品 Works/作家 Artists→Screening_Program

*作品によって明滅や政治的な内容を含む場合があります。
*Some works may contain flashing lights or politically sensitive contents.

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この度、CADAN有楽町では、京都を拠点とするMORI YU GALLERYによるグループ展、「UNDULATIONISM」を開催いたします。

「UNDULATIONISM」は造語です。翻訳するとすれば、「波動」主義とでも訳せましょうか。「UNDULATION」とは、真っ平らでflatなものではなく、揺れており、起伏があり、そこには「NOISE」が含まれ、否、「NOISE」から生まれてきたといえるでしょう。

「NOISE」という難解な言葉から始めましょう。「Noise(ノワーズ)」という言葉は、マーグ画廊の創業者であるエメ・マーグ(Aimé Maeght, 1906-1981)の死後、1985年に、デリエール・ル・ミロワール誌を引き継ぐ形で創刊されたマーグ画廊の新しい美術誌のタイトルとして使われていました。編集長には、マーグ画廊の黒田アキ(Kuroda Aki, 1944-)。「ノワーズ」は黒田の友人であるフランスの哲学者、ミッシェル・セール(Michel Serres,1930-)の「NOISE」論に依拠し、黒田自身が名付けました(1985年5月発行の創刊号から1994年の18/19合併号まで全17冊発行)。

さて、中沢新一氏によると、「ノワーズ、それは古いフランス語で「諍(いさか)い」をあらわしている。バルザックはこの古仏語の語感を利用して、「美しき諍い女 la belle noiseuse」という存在を創造した。しかし、ノワーズのさらに古い語感を探っていくと、異質領域から押し寄せてくる聴取不能な存在のざわめきのことを、言い当てようとしているのがわかる。不安な波音を発する海のしぶきとともに出現するヴィーナスの像などが、そのようなノワーズの典型だ。ヴィーナスは海の泡から生まれたとも言われるが、またいっぽうではその泡は男女の交合の場所にわきたつ泡だとも言われる。いずれにしても、それは世界の舞台裏からわきあがってくる不気味なざわめきにつながっている」 (中沢新一『精霊の王』-第五章 緑したたる金春禅竹-より)。

前置きが長くなりましたが、所謂ノイズと言われるものと全く「NOISE」は違うのです。そうした「NOISE」が変化したものを我々は「波動」、「UNDULATION」と名付けてみましょう。

Masayuki Kawai

例えば、今回出展する作家である河合政之は、アナログのシステムを駆使する映像作家です。デジタルでは有用なシグナルのみを用いるが故に、捨象されてしまうノイズをもフィードバックという運動で展開される閉回路に取り込み、シグナルとノイズという二元論を超越した「たんなる物質とは違うもの」へと見事に変換させてしまいます。河合はフィードバックという手法によって、モダニズム的な自己言及性では無く、内在と超越の両者を切断しつつも接続する「NOISE」という概念を体現している作家と言えるでしょう。アナログにしかなし得ない、非連続の連続とでもいえる可能性を初めて開いた思想を携えた作品群がART BASEL HONGKONGで高く評価されたことは記憶に新しいでしょう。「NOISE」は、 存在論的には所謂シグナルとノイズとの間にあり、時に接続し、また時に切断されるのですが、その中で「NOISE」は違う状態へと超越するのです。それは主体と客体、個人と社会、過去と未来、シグナルとノイズといった両者を接続しつつ切断し、たんなる物質とは違う、先の例えのようなビーナスへと変容していきます。そして、それはまた日本の文化的特長とも言える空間的、時間的な余白、空白といった「間」(ま)の意味も纒うといえるでしょう。

 

藤原康博

藤原康博は、様々な山を描くことで知られた作家です。「私の作品は、崇高なものには程遠いものですが、自分の記憶から何かを少しずつ加えつつ、何かを削ぎ落としていくように描いていきます」と語ります。山がまだ山という名称さえなかった太古の時代に存在していたそれと、藤原自身の記憶の底から導かれた山の表象と、その「間」(ま)に存在するimage、つまり「NOISE」から生み出された「UNDULATION」を描いていると言えるのではないでしょうか。それは、現実と人の記憶の間と言ってしまえば、写実絵画の説明のようなあたりまえの話になってしまいますが、藤原の絵画に在る「間」とは大きな違いがあります。彼の絵画はactualな山と潜在的な山との「間」にある山であり、質の違いを獲得しつつ、空間だけでなく、時間を含んだものとしても描かれています。山の白いimageは、時間の「間」で浮遊するかのように、物質性を強調する支持体としてベニヤ板の上に描かれた時、記憶よりactualな山に近づきつつもその「間」を保ち、映像のように揺蕩っています。また一方、山のimageは、キャンヴァス上に描かれた時、自身の記憶により近いものですが、actualな意味からも離れすぎないimageとして、時間と共に「在る」と言えるでしょう。我々鑑賞者は、誘われるように、空白としてのその「間」にいつしか没入し、自らの記憶における山と藤原の描く山とを比較し、彼の潜在的な思考と、現実的な自然における山との対峙によって、さらなる迷宮へと誘われます。

藤原は、国立国際美術館(大阪)で開催中の展覧会「感覚の領域  今、経験するということ 」に出品していました。ここでの作品の多くには、2020年に網膜剥離を発症した彼自身の経験が盛り込まれています。部屋の中のベッドや布団といったものと窓から見える外の風景が綯い交ぜになったような絵画には、今まで存在していた家という内部と外部の境界が脆くも崩れ去ったような風景が描かれています。遠くにあるはずの山のimageが家の中の布団の山のimageと重なり、違和感なく鑑賞者の眼前にあって、そこにあった山とここの布団の山が同時に立ち上がり一つになっている絵画と受け取れます。これは、藤原が網膜剥離を患う以前から制作してきたベニヤ板に描かれた山と、キャンヴァスに描かれた山とが重なったようなものともとれるでしょう。治療、療養後に描き出した作品が、さきほど説明したimageの難解さを理解し易いものにしたとも解釈できるでしょう。我々鑑賞者が理解可能で写実的、つまりactualなものと藤原自身の潜性的なものの「間」にあるimageは、藤原が「記憶の奥行き」と語る「眼には見えない記憶の谷」にこそ「在る」のです。そのimageこそが、「NOISE」から生み出されたところに在る「UNDULATION」ともいえるでしょう。

Aki Kuroda

そして黒田アキ。彼は、日本では1993年には東京国立近代美術館にて個展を開催しました。彼は、1970年代後半、パリ・ビエンナーレにおいて発表された「conti/nuit/é」(連続の中の夜)という絵画において、モダニズムを超えていこうとする新しき絵画として評論家に評されました。キャンヴァス上において、描かれた黒い線がすっと伸びていくその先で、時に線が縺れ、その縺れた線があるかたち(figure)となって現れてきます。「連続するもの」(「conti/nuit/é」)という「間」(ま)にあって、フランス語は「夜」(「nuit」)を意味する言葉を含みます。連続する時間と線が、ふと縺れて「夜」というかたち(figure)になる。「夜」は一体いつから始まり、終わるのか判然とせぬまま、過去からも未来からも切断されつつ接続され、また時にそれは連続する時間から逃げ果せ、意味を輝かせるのでしょう。黒田の意味する「夜」は線の縺れから生じ、それはまさに「夜」という「NOISE」から生み出された「波動」、「UNDULATION」として「figure」=人型としてキャンヴァスに描かれています。後年、「連続する夜」(「conti/nuit/é」)というコンセプトは、シュルレアリスムに影響を受けたミノタウロスと繋がり、80年代から描かれてきたシャープで美しき人型ではなく、ミノタウロスと黒田アキの自画像とが綯い交ぜとなった顔として、激しい筆致により、キャンヴァスに描かれています。それはまさに「NOISE」から生み出された「UNDULATION」を語るに相応しい作品でしょう。

今回は、「UNDULATIONISM」という造語を掲げるに相応しいこの3人を中心に、小栁仁志、西山修平、世良剛、浜崎亮太、AKI LUMIなどの作品を展示いたします。どうぞご高覧ください。

MORI YU GALLERY
森裕一

KATHLEEN JACOBS by Fergus McCaffrey Tokyo

2022年5月17日(火)-6月5日(日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金曜日 11:00-19:00 / 土曜日・日曜日 11:00-17:00 定休日:月曜日
企画:ファーガス・マカフリー 東京

同時開催:
2022年5月21日(土)– 7月16日(土)
オープニング・レセプション 2022年5月21日(土)5 – 7pm
会場:ファーガス・マカフリー 東京

Kathleen Jacobs, Clearing 72, 2011, Oil on linen

この度、CADAN有楽町では、NYを本拠地とし東京・表参道にスペースを構えるファーガス・マカフリー東京によるキャスリーン・ジェイコブスの個展を開催いたします。

木の幹にキャンバスを巻き、その樹皮の模様を写しこむ独特の方法で制作されるジェイコブスの作品は、対象の樹木が生息する自然環境、そしてその変化の経緯を布地に取り込むことで生み出されます。平面作品の枠を超える彼女のコンセプチュアルな絵画作品は世界中で注目を集め、30年以上にわたる作家活動を通し、ジェイコブスはアメリカ国内外の様々な会場で作品を発表してきました。

中国の明代初期の秋冬の山水画を連想させ、余白の多いミニマルな画面に途方もなく広がる距離を感じさせる彼女の絵画空間は、1984年から88年にかけ元義父であり中国の人間国宝と言われる画家、黄永玉(ホアン・ヨンギュ)と暮らし中国伝統美術を学んだ経験に根付いており、彼女は「14世紀から16世紀の絵画や漢詩の途方もないスケールの捉え方に触発された」と語っています。わずかな筆墨と線で多くを表現する簡素な視覚言語、また石に刻まれた古代文字の拓本を手本に書を学習した経験は、独自の樹木を用いるフロッタージュ技法へとつながって行きます。

彼女にとって初となるアジアでの展覧会はファーガス・マカフリー東京、CADAN有楽町の2会場開催となります。ファーガス・マカフリーでは主に絵画の大作、CADANスペースでは比較的サイズの小さな絵画作品および2012年制作の立体作品展示を予定しています。

Kathleen Jacobs, Clearing 2, 2011, Oil on linen

●キャスリーン・ジェイコブス Kathleen JACOBS
キャスリーン・ジェイコブスは1958年緑豊かなアメリカ・コロラド州に生まれる。ボストンのパイン・マナー・カレッジで学んだのち、1980年イタリア・ミラノに渡りグラフィックデザインを学ぶ。その後、中国と香港に移住。4年間の滞在中、義理の父、また著名な画家でもあった黄永玉に習い、書道の学習を通して、様々な素材と技法を使用し点や線を通して模様を生み出す「マーク・メイキング」に没頭する。1988年世界各地での経験を踏襲し、その後ライフワークとなる木を題材とした作品の制作を始め、89年にアメリカに帰国。

当初、故郷コロラドの森に群生するヤマナラシを描いていた彼女は、「視覚」というフィルターを超え、より奥深く「面白い」方法で目の前の環境を制作に取り込むことはできないのか、と考えたという。そして樹木に直接、触覚的にアプローチする、独特で革新的な方法を初めて試みることになる。木の幹にペイントを塗ったキャンバス、麻布を巻きつけ、その上から何層もオイル・スティックや絵の具を塗り込み、そして雨風に晒す。それを数日から、長い時には数年に渡り繰り返す。その結果、キャンバスには二つとして同じもののない樹皮の模様が何層にも刻み込まれ、木が立つ空間と時間が染み込み、まるでその自然環境を触覚で感じ取れるような多層的な模様が生まれる。

 

Kathleen Jacobs, Clearing 118, 2011, Oil on linen

野外で老熟したキャンバスをジェイコブスはスタジオに持ち帰り、四角のストレッチャーに貼り直したのち、仕上げを施していく。色彩、模様、表面のテクスチャーは強い物質としての存在感を持ちながらも、とらえどころのない曖昧さも漂わせる。鑑賞者に理解を委ねる彼女の大型の作品は瞑想的な風景画のようにも、水面をとらえているようにも見える。

CADAN×ISETAN MEN’S : New Essential

伊勢丹新宿店メンズ館とCADAN(一般社団法人日本現代美術商協会)は、2022年のコラボレーションプロジェクト「New Essential」を開催いたします。

「CADAN×ISETAN MEN’S : New Essential」

開催期間:3月29日(火)~5月31日(火)
設置場所:伊勢丹新宿店メンズ館1階・2階・4階・6階

1階 エントランス、メンズアクセサリー・・・木村 剛士(Tezukayama Gallery)
2階 メンズクリエーターズ・・・マーガレット・リー(MISAKO&ROSEN)
4階 メンズラグジュアリー・・・篠田 守男(KOKI ARTS)
6階 メンズコンテンポラリー・・・大野 晶(XYZ collective)

主催:伊勢丹新宿店メンズ館
協力:一般社団法人日本現代美術商協会

1F 木村 剛士(Tezukayama Gallery)

木村剛士「live log」(2022年) 鉄、ブロンズ、砂 (自転車) H100 × W150 × D60cm、(ブランクーシレプリカ) H60 × W13 × D13cm ©Takeshi Kimura / Photo: Keisuke Kitanishi / Courtesy of TEZUKAYAMA GALLERY

木村剛士は一つの素材に特化せず、様々な素材を用いてアイディアを具現化させることを得意とする作家です。本作は、ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876年生まれ)の無限柱から着想を得た新作です。ブランクーシの無限柱は天に向かって無限に伸びていますが、木村は現代の時代性に合わせ横に水平に広がり続ける彫刻はないかと模索した結果、《live log》 の制作に至りました。以前より車輪に興味があった木村はコロナ禍において人々が自転車で移動することが増えたことに着目し、自転車のタイヤにブランクーシの彫刻を彫り、走行された地面が水平方向に無限に広がる彫刻作品となるというのがコンセプトとなっています。 様々な場所で展示することで、その車輪の軌跡を広げていきたいと考えています。

◯木村 剛士(きむらたけし)
1980年東京生まれ。
主な展覧会:2017「IN CONCRETE」FEI ART MUSEUM、横浜(個展)「N.E.blood 21 vol.60」リア スアーク美術館、宮城(個展) 2022「Directors’ Selection – FOCUS」TEZUKAYAMA GALLERY(グループ展) 2020「新鋭作家 展 < ざらざらの実話 >」 川口市立アートギャラリー・アトリア、川口(グループ展)2020「六甲ミーツアート芸術散歩」六甲山 (グループ展)2019「ART MIYAGI 2019」宮城県美術館(グループ展)2016「あきたの美術 2016」秋田県立美術館、秋田(グループ展)、2015「大地の芸術祭 KAMIKOANI PROJECT AKITA2015」 秋田県上小阿仁村(グループ展)。

2F マーガレット・リー(MISAKO&ROSEN)

Margaret Lee「This is what I expected」(2017年)polished stainless steel 40 x 48 x 30.5cm ©the artist

マーガレット・リーは、常に女性ならではの目線で世俗的な問題から異性関係やセクシャルな問題までを軽やかなタッチで捉えています。男性社会?女性上位時代?この問いかけは現代社会において、いままさに皆が共有する問題です。男性であること、女性であること、その境界線をなくすことを意識的に問題視しようとする世界においても、いまだシンボリックで強調的なビジュアルは存在します。その曖昧な世界を描くマーガレット・リーの作品は、どこか可愛らしさを秘めています。また鑑賞者への圧倒的な想像力をかき立てるビジュアルが特徴です。

◯Margaret LEE(マーガレット・リー)
1980年ニューヨーク生まれ。現在もニューヨークを拠点に活動。
主な展覧会:2022年「(as) hard as (it) gets」MISAKO & ROSEN、東京(個展)、2020年「For a Dreamer of Houses」ダラス美術館、テキサス(グループ展)、 2020年「I.C.W.U.M」ラ・メゾン・デ・ランデヴー、ブリュッセル(個展)、2013年「リヨン・ビエンナーレ 2013」(グループ展)、「New Pictures of Common Objects (企画:クリストファー・ルー)」MoMA PS1、ニューヨーク(グループ展)。

 

4F 篠田 守男(KOKI ARTS)

Morio Shinoda「TC8612」(2017年) Stone, stainless, brass 32 x 20 x 20cm ©the artist

鋼鉄線の張力と圧力で金属塊を中空に固定させるTC(Tension and Compression)シリーズで知られる篠田は、線を用いて空間と緊張を表現し続け、スケール感のある奇妙で不思議な世界を繰り広げています。

◯篠田 守男(しのだもりお)
1931年東京生まれ。茨城県在住。
主な展覧会:2014年「WALL」KOKI ARTS、東京(個展)、1966年「ベネチアビエンナーレ」ヴェネチア、1983年「現代美術の動向2 1960年代多様化への出発」 東京都美術館、東京(グループ展)、「現代日本美術の展望立体造形」 | 富山県立近代美術館 、富山(グループ展)。

 

6F 大野 晶(XYZ collective)

大野晶「Object for Painting No.48」(2020年)clay H13.2 x W15.0 x D3.5cm ©the artist

大野晶の近年のシリーズ「オブジェクトフォーペインティング」は、抽象絵画と彫刻の間を行き来しています。作品の主な素材は粘土で、油絵具や水彩絵の具は一切使わず、様々な種類の粘土の自然な色を使い制作されます。日本的な工芸・陶芸の文脈と、西洋的な抽象絵画の文脈の両方を取り入れています。

◯大野 晶(おおのひかり)

1990年ドイツ・リューネブルク生まれ。現在は東京を拠点に活動。
主な展覧会:La Boîte-en-Valise オフィスバロック、ベルギー(2020年、グループ展)、”Object For Painting” XYZcollective 、東京(2020年、個展)、「五月女哲平×大野晶」車屋美術館、栃木県(2019年、グループ展)、「大野晶 at ザ・ステーキハウスDOSKOI」ザ・ステーキハウスDOSKOI、東京(2017年、個展)。

[FIGUR] 土肥 美穂 / ガブリエル・ハートリー / 寺内 曜子 by HAGIWARA PROJECTS

[FIGUR]
土肥美穂 / ガブリエル・ハートリー / 寺内曜子
Miho Dohi / Gabriel Hartley / Yoko Terauchi
2022年4月28日(木)- 5月15日(日)
April 28 (Thu) – May 15 (Sun), 2022
場所:CADAN有楽町
営業時間:火-金 11:00-19:00 / 土・日・祝 11:00-17:00 定休日:月曜日

■ART TALK supported by CVJ
2022年5月6日(金) 18:30- 約30分
出演: 寺内曜子(アーティスト)
進行: 萩原ゆかり(HAGIWARA PROJECTS)
会場:CADAN有楽町
参加無料、予約優先(15名)
Peatixからご予約ください。https://cadanarttalkhagiwaraprojects.peatix.com/
*@CADANのインスタアカウント(@cadan_insta)からもライブ配信します。

この度CADAN有楽町では、東京・森下を拠点とするHAGIWARA PROJECTSの企画による土肥美穂、ガブリエル・ハートリー、寺内曜子の3名による展覧会[FIGUR]を開催します。

土肥美穂は、様々な素材を組み合わせた彫刻作品を制作します。異なる種類の素材が調和と反発のバランスを絶妙に保ち、有機的な存在感を持つ作品です。土肥は素材一つ一つの形や質感、色がお互いに及ぼす作用を、あらゆる角度から見て検証しながら丁寧にすくい上げ、未知のものを作る可能性を探求します。本展では、「視ること」をテーマにしたドローイング作品を初披露します。

ガブリエル・ハートリーは、日々描き止めるスケッチや、写真を元に絵画を描きます。街並みや動植物の形は、画面上で抽象度を増し、さらに様々な技法で描かれた色とテクスチャーのレイヤーが、光や時間帯によって鑑賞者が知覚するイメージに変化を及ぼします。本展では、近作の色鮮やかな絵画を展示いたします。

寺内曜子は、当たり前と見なされている裏と表、内と外、善と悪といった対立概念への疑いを元に、彫刻作品を制作しています。今回展示する作品は全て、一枚の紙や鉛板に、何も足さず、何も引かずに、裏表の対立は無いことを、造形するのではなく、素材自身が必然的に成る形で証明し、「世界に対立関係はない」という自身の考えを伝えます。本展では、鉛を使った彫刻の中から、日本では未発表の2作品を含んで展示します。

三者の作品の形のあり方はそれぞれですが、現れている形を視ることで、その視覚体験が知覚を刺激し、豊かな鑑賞体験に広がることをぜひ体感してください。

土肥 美穂 “untitled” 2020、板、アクリル絵の具 (参考作品)
©Miho Dohi, Courtesy of HAGIWARA PROJECTS

●土肥 美穂 (どひ みほ)
2002年東京造形大学大学院彫刻科研究生修了。主な個展に、HAGIWARA PROJECTS (2021, 東京)、Gordon Robichaux (2021, ニューヨーク, 米国)、The Renaissance Society at the University of Chicago(online) (2020, シカゴ, 米国)、Crèvecœur (2020, パリ, フランス)、 「ショーケースギャラリー 土肥美穂」 横浜市民ギャラリーあざみ野(2020, 横浜)、Nonaka-Hill (2018, ロサンゼルス, 米国)、Lulu (2017, メキシコシティー, メキシコ)、 HAGIWARA PROJECTS (2016, 東京) など。 主なグループ展に、「Sweet Home」 (2021, CPM Gallery, ボルチモア, 米国)、 「Miho Dohi / Josh Brand」 (2020, La Maison de Rendez-Vous, ブリュッセル, ベルギー)、 「City Prince/sses」 Palais de Tokyo (2019, パリ, フランス)、 「Natsu no Tobira – curated by Jeffrey Rosen」 Shane Campbell Gallery (2017, シカゴ, 米国)など

 

ガブリエル・ハートリー 2022
©Gabriel Hartley

●ガブリエル・ハートリー (Gabriel Hartley)
1981年、イギリス・ロンドン生まれ。チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(ロンドン)で美術の学士号を取得。ロイヤル・アカデミー・スクールズ(ロンドン)を修了。近年の展覧会に「Postcards」imlabor (2021, 東京)、「OF」Seventeen (2020, ロンドン)、「Waterwood」 Foxy Production (2019/2020, ニューヨーク) 、「The Sleeping Procession」CASS Projects, Cass Sculpture Foundation (2018, サセックス、イギリス)、「Landscapes」 Seventeen (2018, ロンドン)、「Reliefs」Foxy Production (2016, ニューヨーク)、「A Rose Without a ‘why’, It blooms because it blooms」Carl Freedman Gallery (2016, ロンドン)など

 

寺内 曜子 “WHIRLPOOL (No. 3 of a series of 3 pieces)” 1991、鉛、7 x 13 x 10 cm
©Yoko Terauchi, Courtesy of Kanransha

●寺内 曜子 (てらうち ようこ)
1979-81年、セント・マ−ティンス美術大学(ロンドン) 彫刻科アドヴァンストコースに学ぶ。1979ー98年、ロンドン在住で作家活動。1999年以降、 東京在住。近年の個展に、「寺内曜子 パンゲア」 豊田市美術館(2021, 愛知県)、「寺内曜子展 満ち潮 引き潮」ふじ・紙のアートミュージアム (2021, 富士市, 静岡)、「スタンディング・ポイント1 寺内曜子」 慶應義塾大学アートセンター(2017, 東京)、「寺内曜子の赤と青」かんらん舎(2017, 東京)、「空中楼閣2010」愛知県立芸術大学サテライトギャラリー(2010, 名古屋, 愛知)など。近年のグループ展に、「15th edition triannual of sculpture」Campo & Campo (2022, アントワープ, ベルギー)、「空間の中のフォルムーアルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで」 神奈川県立近代美術館(2021, 葉山市, 神奈川)、「einblicke」 edition & galerie Hoffmann (2021, Friedberg, ドイツ)、「引込線/放射線」第19北斗ビル(2019, 所沢)、「MOT コレクション:ただいま/はじめまして」東京都現代美術館 (2019,東京)、 「MOMAT コレクション」東京国立近代美術館(2019, 東京)、 「From the Kitchen Table : Drew Gallery Projects 1984-90」Herbert Reid Gallery, UCA Canterbury (2018, 英国)、「Re:コレクションⅠ 美術館を(一足早く)解体する」愛知県美術館(2017, 愛知)など。

大野 綾子「みどりは草の色カマキリの色」by KAYOKOYUKI

大野綾子「みどりは草の色カマキリの色」by KAYOKO YUKI
2022.4.5 (火) – 24 (日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金曜日 11:00-19:00 / 土曜日・日曜日 11:00-17:00 定休日:月曜日
主催・企画:KAYOKOYUKI

この度、CADAN有楽町では、東京・駒込を拠点とするKAYOKOYUKIによる、石彫作家、大野綾子(おおの・あやこ)の個展「みどりは草の色カマキリの色」を開催いたします。

大野綾子はこれまで一貫して石を扱い、彫刻作品を制作してきました。植物や自然の風景、日常の行為などから着想を得たイメージは、石という物質を媒体として独特の「かたち」を獲得していきます。それは、石という素材にこだわり石彫の可能性を模索し続けてきた作家が見出した世界の「かたち」の認識に他なりません。

新作「みどりは草の色カマキリの色」は大野の3才になる子供の言葉に端を発しているといいます。草むらに潜むカマキリやそこから飛び出してくるカマキリは、子供の目を通して、さらには、子供だった頃の過去の記憶から表象された図像のように思われます。「シンプルな出来事から見たことのない新しい世界が広がる」という大野の言葉の通り、硬くて重い石でありながら軽快さを併せ持つカマキリは、重力や時間といった束縛を解放し、まるで未知のものに遭遇したかのような感覚にわたしたちを誘います。

しかしながら、木の破片や鉱物が混入した深岩石から彫り出された草やカマキリ、無垢のステンレスから削り出されたカマキリの痕跡は、気が遠くなるほどの長い時間と強固な物質性を思い出させ、否応なくわたしたちの前に立ちはだかります。軽さと重さ、自由と束縛、立体性と平面性などの相反するイメージの共生という特徴を持つ大野の作品は、無数のシンプルな事象が複雑に交錯しているこの世界の成り立ちに接続する扉のひとつとなり得るのではないでしょうか。

大野 綾子(おおの・あやこ)
1983年埼玉県生まれ、同県在住。女子美術大学芸術学部立体アート学科卒業後、東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程修了。
主な展覧会に、個展「ショーケースギャラリー 大野綾子展」横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川、2020)、「タイムライン —時間に触れるためのいくつかの方法」京都大学総合博物館(京都、2019)、個展「さかなのような人」KAYOKOYUKI(東京、2018)、「所沢ビエンナーレ[引込線]2017」旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉、2017)、「Reborn-Art Festival 2017 -Do sculptors Dream of electric car (TOYOTA prius) XYZ collectiveキュレーション」GALVANIZE gallery(宮城、2017)、「leave」秋山画廊(東京、2017)など。「第7回大黒屋現代アート公募展」大賞受賞(2012)、個展「さかなとして浸かる」板室温泉大黒屋 (栃木、2013)を開催。美術講座「暮らしの中にみるかたち」練馬区立美術館 (2014、東京)にてワークショップを開催。小豆島 千軒海岸(香川)、相模原公園(神奈川)、翠ヶ丘公園・須賀川(福島)などに作品設置。
http://ohnoayako.com/

建築のヴィジュアリティ Architectural Visuality by 5 artists (Gallery OUT of PLACE)

CADAN有楽町は、奈良を拠点とするGallery OUT of PLACEの企画による展覧会「建築のヴィジュアリティ Architectural Visuality by 5 artists」を開催いたします。

●開催概要
タイトル:「建築のヴィジュアリティ Architectural Visuality by 5 artists」
作家:ルシアン・エルヴェ、上須元徳、嶋田ケンジ、寺田真由美鷲津民子

会期:2022年3月15日(火) – 4月3日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:3月22日(火)、28日(月)
企画: Gallery OUT of PLACE

いわゆる建築家が、実際の地球上のある場所に建てる(建てた)構造物を、仮に「実存建築」と名付けるとしよう。
その一方で、ならば美術家を魅了し彼らが想像し描き出す構造物は「仮想建築」となるのかもしれない。
その間にあるのが写真家によって実際の建造物から切り取られた(トリミングされた)表象で、それらは「写真建築」と呼べるのかもしれない。

あらかじめ断っておくが、「実存建築」「仮想建築」「写真建築」は筆者の造語であり、
「実存建築」は実在する建築を意味しないし、「仮想建築」とは言っても空間を持たないわけではない。
そして当然ながら「写真建築」は「建築写真」とは全く違う概念である。

住めない建築、不条理な仮想空間などをキーワードに、
ル・コルビュジエの建築を多く撮り、独自のトリミングを施し発表し続けたルシアン・エルヴェ、
実在のドーム建築を抽象化し、銀塩写真の独特の階調を絵画に持ち込む上須元徳、
建造物の重厚で荒々しいテクスチャーと複雑な構造を陶で表現する嶋田ケンジ、
自作のミニチュアを写真に撮り、虚実が交錯する空間を表現する寺田真由美、
「飛ぶ家」をテーマに3Dと2Dの間を行き来するmixed mediaの鷲津民子、
以上の5作家の秀作、逸品を紹介いたします。

どうかこの機に、5作家による建築的異空間をお楽しみください。

■ART TALK supported by CVJ
「2000-2022 東京とNYの間で」
2022年4月2日(土) 11:30- 約40分
出演:寺田真田美 Mayumi Terada (美術家)、ケビン・バテルミ Kevin Bartelme(小説家)
司会:野村ヨシノリ(Gallery OUT of PLACE)
*@cadan_instaからインスタライブ配信

Gallery OUT of PLACE ディレクターの野村ヨシノリ氏がCADAN有楽町からNY在住のアーティスト寺田真田美氏を繋いでライブ配信します。
80年代に東京で立体作家として活動を開始し、2000年以降にNYに拠点を移し写真作品を発表している寺田氏の制作や、東京とNYのアートシーンについてお話しいただきます。また寺田氏のパートナーで小説家のバテルミ氏にもご登場いただき、近年のコロナ禍でのNYの生活や制作についてお聞きします。

鷲津民子 “Washizu Drawing no.12” 36x41x12cm, mixed media
Lucien Hervé / ルシアン・エルヴェ Chandigarh (Inde) La Haute-Cour #2 51x41cm photography
Kenji SHIMADA / 嶋田ケンジ “TS細胞の再構築” H37 x W22 x D21 cm 陶,炭化焼成
Mayumi TERADA/寺田真由美, “kitchen 011201″24 x 20 inch photography
Motonori UWASU/上須元徳, Dome, 2010, 130x194cm, acrylic on canvas

CADAN×ISETAN MEN’S : Seasonal Cohabit ~Winter & Spring~

伊勢丹新宿店メンズ館とCADAN(一般社団法人日本現代美術商協会)は、2021年のコラボレーションプロジェクトの第3弾「Seasonal Cohabit~Winter & Spring~」を開催いたします。

「Seasonal Cohabit」とは、違う者同士が、平和に一緒に過ごす、暮らす持続可能な多様性を尊重する社会を想う造語です。伊勢丹新宿店メンズ館の4フロアに設置された立方体の展示空間SI(ストアアイデンティティ)に、CADANがキュレーションしたスペシャルインスタレーションを展示します。ぜひご高覧ください。

「CADAN×ISETAN MEN’S : Seasonal Cohabit~Winter & Spring~」
開催期間:12月1日(水)~2022年3月28日(月)
設置場所:伊勢丹新宿店メンズ館1階・2階・4階・6階

1階 エントランス、メンズアクセサリー・・・鈴木基真(Takuro Someya Contemporary Art)
2階 メンズクリエーターズ・・・飯沼英樹 (SNOW Contemporary)
4階 メンズラグジュアリー・・・川田知志 (ARTCOURT Gallery)
6階 メンズコンテンポラリー・・・大田黒衣美(KAYOKOYUKI)

主催:伊勢丹新宿店メンズ館
協力:一般社団法人日本現代美術商協会

1F 鈴木基真(Takuro Someya Contemporary Art)

鈴木基真「World is Yours」(2010年)

鈴木は、沢山の木箱、何かの看板、どこかで見たような、知っているような知らない景色の一部を構成、再構築していきます。鈴木が扱う題材は、私たちが日常にあるものだと理解していながら、実際は感覚ででしか理解していないものです。 無限にあるイメージを容易にインターネット上のクラウドから手に入れられる時代、ひとつずつ作家自身の目で選別して、スローペースに木彫へと変容させていく制作のなかで、鈴木自身、限界を感じながらその殻を破りさらに限りない世界へと広げて行きます。

◯鈴木 基真/すずきもとまさ
1981年静岡生まれ。2004年武蔵野美術大学彫刻科を卒業。木彫を中心に、そこから展開させたライトボックスの写真作品も制作している。2017年に「VOCA賞2017」で VOCA奨励賞を受賞。美術評論家の清水敏男氏監修による個展「クリエイションの未来展 第13回 鈴木基真展 MOD」が2017年にLIXIL Gallery(東京)にて開催された。2018年には青森公立大学国際芸術センター青森(ACAC)にて開催されたアーティスト・イン・レジデンス・ショー「未完の庭、満ちる動き」に参加。TSCAでは2016年に個展「wall, roof, window」を開催した。

2F 飯沼英樹 (SNOW Contemporary)

左上から)”walk bleu”, “black line”, “Crepe”, “red skin”, “contrast” 各2021

一木造りで掘りおこした飯沼の彫刻は木肌が見えるほどのラフな外形を持ちながらも、 現代の消費社会のただ中に身を置く女性たちのリアルな「今」が感じられます。

◯飯沼 英樹/いいぬまひでき
彫刻家。1975年 長野県生まれ。東京都在住。2003年フランス国立ナント美術大学卒業。主な展覧会に、2019年「デジタルに変換された彼女がまさかの天然木変換」キヤノンデジタルハウス銀座(東京)、2016年「闘ウ女神タチ」松本市美術館(長野)、2005年エルンスト・パルラッハ賞展覧会(ドイツ)。

 

4F 川田知志 (ARTCOURT Gallery)

川田知志「夏の○×△」(2015年)インスタレーション、木材、金網、漆喰、顔料ほか/サイズ可変、
京都芸術センター南ギャラリー前廊下での展示風景/撮影:松見拓也

学生の頃、ときどき百貨店で催事場入れ替え のアルバイトをしていました。店内では、訪れたお客さんを誘惑する華やかな空間演出がなされる一方で、 我々はバックヤードを移動しました。そこは、どこに行っても同じ景色の素っ気ない空間で、気が遠くなるような感覚になったのを覚えています。当たり前ですが、荷物を置いて通り過ぎるためだけの効率化された空間に華やかさは必要ではありません。そこで今回は、当時の感覚を確かめながら、表のモチーフに華やかさを託し、裏は基礎として仮壁面の構成で作り、そんな日々の誘惑と素っ気なさを表現したインスタレーションを発表します。

◯川田 知志/かわたさとし
1987年大阪府生まれ。伝統的な絵画技法に現代の造形材料を織り交ぜた独自の制作方法を探求し、地域社会での出来事や暮らしにおける環境変化の中からモチーフを集め、日常生活と建築、都市の関わりあいを壁画、絵画、インスタレーションにより提示する。2013年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専 攻(油画)修了。2019年平成30年度京都市芸術新人賞。主な展覧会に「Slow Culture」(京都市立芸術大 学ギャラリー@KCUA、京都、2021)、「TOKYO MIDTOWN AWARD 2020」(東京ミッドタウン プラザ B1、東京)、「セレブレーション-日本ポーランド現代美術展-」(京都・ポズナン・シュチェチン、2019)、 「街と、その不確かな壁と…。」(あまらぶアートラボ、兵庫、2019)、「拆(倒)」(A4 Art Museum、成都、 中国、2018)、個展「Open Room」(アートコートギャラリー、大阪、2018)など。

 

6F 大田黒衣美(KAYOKOYUKI)

こちらの彫刻はセラミック、すなわち土からできている。自然からできたマテリアで人工物のガムというモチーフをもう一度制作するという行為は、自然と人類、世界の矛盾と共存という 同一線上にある最も遠くてかなり近い2点の関係性を表す一つのアイデアでもある。今回の展示は、セラミックの作品を複数組み合わせて、正方形の展示台に平面的なコンポジションを取ったインスタレーションとして発表する。

◯大田 黒衣美/おおたぐろえみ
1980年福岡県生まれ。東京造形大学美術学科絵画科専攻概念表現研究課程卒業後、東京藝術大学大学院修士課程油画科修了。2019年3月より、文化庁新進芸術家海外研修制度を受けベルリンを拠点に活動。現在は愛知県在住。主な展覧会に2021年「DOMANI・明日展 2021」国立新美術館(東京)、2020年個展「MESA」クンストラーハウス・ベタニアン(ドイツ・ベルリン)、2020年「MAT, Nagoya Studio Project vol. 6」Minatomachi POTLUCK BUILDING(愛知)、2017年個展「spot」KAYOKOYUKI(東京)、2016年「THE ECHO」高崎シティギャラリー(群馬)、2014年個展「project N 55」オペラシティ・アートギャラリー(東京)など。「ALLOTMENT トラベルアワード 2016」、「アートアワードトーキョー2008」にてグランプリ受賞など。

“My Pick” organized in association with CaM by Muuseo

アートフェア東京のシーズンに合わせて「アートコレクション」をテーマにした展覧会の第二弾を開催いたします。昨年は、主に自宅など個人的な場でコレクションを楽しんでいるコレクターにご協力いただきました。今回は、個人コレクションの枠を超え、オフィスや店舗といった場でアートを共有している5名のコレクターにご推薦いただいたアーティストの作品を各ギャラリーから出品し、展示いたします。

○会期   2022年3月4日(金) ‒ 13 日(日)
○営業時間:11:00-19:00、土日11:00-17:00 ○休廊:3月7日(月)
○会場:CADAN有楽町 (有楽町ビル1F)
○企画:CADAN(一般社団法人日本現代美術商協会)
○企画協力:CaM by Muuseo ○アドバイザー:深野一朗
○音声ガイド協力:ArtSticker

●My Pick Special Exhibition
コレクターが推薦するアーティストの作品を展示します。
<推薦者 – アーティスト>
阿部好世 (プティローブノアー、デザイナー) – Richard Aldrich (MISAKO & ROSEN)
大八木翼 (SIX INC.パートナー/bascule執行役員) – 鈴木理策 (タカ・イシイギャラリー)
竹内真 (ビジョナル株式会社 取締役 CTO) – 小西紀行 (ANOMALY)
成松淳 (ミューゼオ株式会社 代表取締役社長) – ミカ・タジマ (TARO NASU)
皆川伸一郎 (株式会社 ビーズインターナショナル代表取締役会長) – 空山基 (NANZUKA)
※敬称略

●”Art in a Domestic Environment/フレーム編”
CADANオリジナル動画「Art in a Domestic Environment」第二弾。フレームと一口に言ってもさまざまな種類があります。作品に適したフレームについてCADANメンバーがご案内します。
https://youtu.be/21D48zZf6GM

●CaM OVR(Online Viewing Room)
https://cam.muuseo.com/events/mypick2022

●音声ガイド
ArtStickerで本展作品について音声ガイドを公開中。

Richard Aldrich Untitled 2021 Oil and wax on panel 50.8x33cm ©the artist, courtesy of Misako & Rosen
鈴木理策 “16,4-22” 2016 Chromogenic print ©the artist, courtesy of Taka Ishii Gallery
ミカ・タジマ “Negative Entropy (Digital Ocean, NYC3, Server Rack Installation Technicians, Two-Tone Magenta, Single)” 2019 Cotton, polyester, nylon, rayon, wool acoustic baffling felt and wood ©Mika Tajima Courtesy of TARO NASU, Photo by Charles Benton, Private Collection
空山基 Sexy Robot _1/3 scale model_B 2016 Fiberglass reinforced plastics, iron, silver plating-tone air brush paint, cultured marble, ©the artist, courtesy of NANZUKA
小西紀行 “無題” 2021 Oil on canvas ©the artist, courtesy of ANOMALY

小松千倫、NAZE、西太志 -シらないともだち- by FINCH ARTS

CADAN有楽町は、京都を拠点とするFINCH ARTSの企画による小松千倫、NAZE、西太志の展覧会「小松千倫、NAZE、西太志 -シらないともだち-」を開催いたします。
本展では、芸術家・音楽家としてあらゆる感覚にアプローチする小松、ストリート的な手法を用い他者の中にある記憶を喚起するNAZE、社会的な事象に私的な想像力を重ね合わせた絵画・陶器を制作する西、3名の作品から想像力によって拡張する友愛の可能性を見たいと思います。知ることではなく知る可能性があることによる友愛を、心を通わせることが不可能な他者との共存を、いつか出会うシらないともだちの、過去に生きたものこれから生きるものについての想像力を。どうぞご高覧ください。

「小松千倫、NAZE、西太志 -シらないともだち-」by FINRCH ARTS
2022年2月8日(火)―2月27日(日)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
月曜日休廊
作家:小松千倫、NAZE、西太志
企画:FINCH ARTS

■ART TALK supported by CVJ
FINCH ARTS ディレクターの櫻岡聡氏がCADAN有楽町から各作家を繋いでアーティストトークをライブ配信します。
2月18日(金)18:30-19:00
出演:小松千倫、NAZE、西太志
*@cadan_instaからインスタライブ配信

 

小松千倫《Endless Summer》2021, サイズ可変, 流木、LED、麻紐、16chサウンド
撮影:竹久直樹

小松千倫|Kazumichi Komatsu
1992年高知県生まれ。音楽家、美術家、DJ。情報環境下における身体の痕跡と記録、伝承について光や音といった媒体を用いて制作・研究している。主な展覧会に『Silent Category 沈黙のカテゴリー』(CCO、大阪、2021)、『Standing Ovation|四肢の向かう先』(旧ホテルニューアカオ、静岡、2021)。パフォーマンスに「SonarSound Tokyo 2013」(STUDIO COAST、東京、2013)、「ZEN 55」 (SALA VOL、バルセロナ、2018)、「Untitled」 (Silencio、パリ、2018)、PUGMENT 「Purple Plant 」(東京都現代美術館、2019)などがある。

NAZE《NAZE》

NAZE
1989年茨城県生まれ。グラフィティカルチャーをベースに、触覚的な筆致で描かれるドローイング、スプレーやコラージュを用いたペインティングや、廃棄物を使ったオブジェ、テキスタイルワークなどの作品を制作。Contact Gonzoとしても活動する。近年の主な個展に「URAGAESHI NO KURIKAESHI」ANB Tokyo(東京/2021)、「Flowers」FINCH ARTS(京都/2020)、グループ展に「Slow Culture」京都市立芸術大学ギャラリーKCUA(京都/2021)、「minus tempo」PoL gallery(大阪/2020)などがある。

西太志《Head series-金の舌-》2021, 陶土、釉薬、金彩 撮影:前端紗季

西太志|Taishi Nishi
1983年大阪府生まれ。2015年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画 修了。静岡県在住。虚構と現実の境界や匿名性をテーマに、木炭によるドローイングから発展した絵画と、黒い陶土による陶作品や衣類に泥を塗り込み、焼成した立体作品を制作している。主な展覧会に、「第14回 shiseido art egg 西太志展〈GHOST DEMO〉」資生堂ギャラリー(東京/2020)、「月の裏側を見る」FINCH ARTS(京都/2020)、「西太志+矢野洋輔 〈居心地の良さの棘〉」8/ART GALLERY TOMIO KOYAMA GALLERY(東京/2017-18)などがある。

水上愛美「Catharsis Bed」 by 4649

CADAN有楽町は 、東京、巣鴨を拠点とする4649(フォーシックスフォーナイン)の企画による、水上愛美の個展「Catharsis Bed」を開催いたします。

本展は、2022年1月に4649(巣鴨)で開催される水上絵美の個展とタイミングを同じくして発刊される作品集『catharsis bed』についての展覧会となります。

水上は本作品集の制作にあたって、自作において取り組まれる題材の一部である、絵画の「裏と表」や「塗りつぶされて見えなくなった部分」などへの考察にまつわる実践を書籍というメディアの特性に応用させるためにデザイナーや執筆者の協力の下、様々な工夫を行いました。それらに基づき本展覧会は、一般的な絵画のインスタレーションとは異なった方法で彼女の作品を鑑賞する機会を作る試みの一つとして公開されます。

一般的に絵画の制作過程では絵具によるレイヤーが積み重なり増えていくことで完成へ向かうとされていますが、水上は最終的に完成した絵画イメージの中に含まれない、絵具に塗りつぶされたままの部分=不可視のレイヤーや、形態としての性質上クローズドな情報として扱われる絵画の裏側の面までもを作品の一部として鑑賞できる可能性に関心を持ち、意図的にそうした要素を絵画の中に取り入れます。

こうした水上の絵画における経時的な事柄への関心は、画面の制作過程にまつわるミクロな事象から、主題に用いられる人物像とそれらにまつわる神話的・考古学的なモチーフを通じて、これまで地球上で人間が想像し、受け継いできたイメージをこの時代においてどのように表現し、伝達していくかというマクロな視点にまで及んでいます。

彼女の取り組みは、静止していると仮定されたイメージを網膜で享受する体験としての絵画ではなく、時間的な行為の集積であるオブジェとしての絵画であり、イマジネーションの中で完成されるような相互作用的な体験としての絵画にまつわるものと言えるでしょう。

■展覧会概要
水上愛美「Catharsis Bed」 by 4649
2022年1月18日(火)- 2月6日(日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:月曜日

■ART TALK supported by CVJ
ゲストに画家の桑久保徹氏をお呼びして、水上愛美氏のアーティストトークをCADAN有楽町からインスタライブ配信します。ナビゲーターは、アーティストで4649ディレクターの高見澤ゆう氏です。
日時:1月28日(金)18:30-19:00
出演:水上愛美  ゲスト:桑久保徹(画家)
*@cadan_instaからインスタライブ配信

■同時開催/水上絵美 個展
1月16日(日)-2月13日(日)
会場:4649(巣鴨)MAP
営業時間:木-土 13:00-18:00、日 13:00-17:00
定休日:月、火、水

■水上愛美『catharsis bed』
発行:oar press
仕様:B5判、日英バイリンガル
定価:2,000 円(税別)
発売日:2022年1月18日
執筆:中尾拓哉
デザイン:刈谷悠三+角田奈央/neucitora

●水上愛美(みずかみえみ)
1992年生まれ、東京を拠点に活動する画家。2017年多摩美術大学卒業。主な展覧会に「Dear Sentiment」(TOKAS本郷、東京、2021)、「Paintings for Stranger」(TOKAS本郷、東京、2020)、4649 at Pina(Pina、ウィーン、2020)、「底流 / Large eddy」 (TWS渋谷、東京、2016)など。2022年にはno gallery(ニューヨーク)でのグループ展や、「VOCA展 2022」(上野の森美術館、東京/3月)などに参加予定。

Emi Mizukami “blindfold” 2020, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste on panel, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “2sun 2moon” 2021, pencil on paper
Emi Mizukami “Waiting for a great day II” 2021, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste, desert sand on canvas, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “sweet dream” 2021, sweet dream, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “Mansion of happiness” 2021, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste, desert sand on panel, Photo by Nirei Hiroshi

緑の道 / Green Routes by nca | nichido contemporary art

CADAN有楽町は 、東京、八丁堀を拠点とするnca | nichido contemporary art (日動コンテンポラリーアート)の企画による、ティントン・チャン、イーチュン・ロー、ジーホン・リュウ、坂本和也によるグループ展「緑の道 / Green Routes」を開催いたします。

■展覧会概要
会期:2021年12月21日(火)- 2022年1月16日(日)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
*年末年始休廊日:12月27日(火)~1月3日(月)
*1月10日(祝)営業、11日(火)休廊

出展作家:
Ting Tong Chang / ティントン・チャン(張碩尹)
Yi-Chun Lo / イーチュン・ロー(羅懿君)
Chih-Hung Liu / ジーホン・リュウ(劉致宏)
Kazuya Sakamoto / 坂本和也

■展覧会について
私たちは極めて日常的に植物と関わりを持っています。人類の歴史には常に植物の存在があり、また植物によって生み出される資源は紛争のきっかけを作り、また近年は深刻な異常気象や大気汚染など、人類が自然環境に与える影響は世界規模で大きな課題となっています。本展では、台湾を起点に植物やそのルーツへの関心から表現の題材にしている4名のアーティストに焦点を当て、様々な視点から植物(緑)と人間の道のりを考察し、過去を行き来しながら私たちが今抱える問題を提示します。

■ART TALK supported by CVJ
参加作家4名によるオンラインギャラリートーク

 

Ting-Tong Chang “Betelnut Tree, Birds, Nest Fern and African Scails” 2020 video work ( 2 channels), 14’40’’ © Ting-Tong Chang

●ティントン・チャン / Ting Tong Chang
1982年台湾生まれ。現在台北とロンドンを拠点に活動。ロンドン大学ゴールドスミス校 美術学修士号取得
チャン・ティントンは不条理で非理論的な社会や、消費主義の現代社会が与える社会的、生態的影響などあらゆる問題を提議し、ドローイングやパフォーマンス、立体、映像など様々な手法を用いて科学やテクノロジー、歴史など、自身を取り巻く世界を解体、融合させて作品に表します。本作はチャンが山間部に2週間滞在し、アミ族の猟師たちの協力のもと、現地で集めた材料を使って住居を建てるまでを映像で記録した最新の映像インスタレーションです。チャンは芸術的実践をサバイバルスキルに変換する実験を行い、オブジェクト指向の視点から人類の歴史の軌跡を再考しています。

Yi-Chun Lo “Just What Is It That Makes Today’s Sugarcane Fields So Different, So Appealing?” 2020 95 x 95 x 45 cm bagasse, tobacco, bamboo © Yi-Chun Lo

●イーチュン・ロー / Yi-Chun Lo
1985年台湾生まれ。現在台北を拠点に活動。国立台湾芸術大学 美術学修士号取得
ロー・イーチュンは人と自然の関係、歴史をテーマに様々な地域コミュニティーに入り、フィールドリサーチを通して作品を制作しています。その表現はドローイングや大型インスタレーションなど多岐にわたり、モチーフにバナナの皮やたばこの葉など自然素材を用いるのも特徴です。本展の新作シリーズではサトウキビに焦点を当てています。サトウキビから生活必需品として製造されている砂糖やショ糖だけでなく、現在ではエタノール混合航空機ガソリンをも生成しています。製糖工場の目的は時代の需要、生活の変化や人々の利益によって大きく変化しています。ローは、サトウキビが原料のバガスを用いて軍需品やまた私たちがダイエットや健康維持を目的で使用する筋トレグッズを立体に表すことで、私利私欲を追求する人間社会に警鐘をならします。

坂本和也 “Symbiosis”, 2021, 162 x 260 cm, Oil on canvas
©Kazuya Sakamoto

●坂本和也
1985年鳥取県生まれ。現在愛知県を拠点に活動。名古屋芸術大学大学院美術研究科美術専攻同時代表現研究領域 修了
坂本和也は自身の趣味である水草の飼育(アクアリウム)を通して、生態系の構成要素のなかに現代の社会環境との類似性をみたことから、植物をモチーフにして物事の内面を表そうとしています。反復と増殖を繰り返しながら綿密に描かれる多種多様の植物は生命を維持するために変容を繰り返す進化の過程を描いているようです。また、坂本は自身が育てる水草のルーツが台湾であることから、2017-8年には文化庁海外派遣制度にて台北に滞在しています。国によって異なる植物と人との関わり方や、複雑な歴史背景の考察を通して、近年の表現はより多面的な要素を含んでいます。

Chih-hung Liu, “Bananas in Shezidao”, 2021, 40 x 60 cm, Oil on canvas
©Chih-hung Liu

●ジーホン・リュウ / Chih-hung Liu
1985年台湾生まれ。現在台北を拠点に活動。国立台北芸術大学 美術学修士号取得
リュウ・ジーホンは日常生活や周囲の環境、また旅先でみた風景や事象題材に作品に表しています。それは自然景観や事物の観察だけでなく、感情や感覚、時間を多面的に捉え、視覚化しようと試みます。その表現は絵画にとどまらず、プロジェクトやテーマによってインスタレーションや、映像、文字、立体など様々な素材を用います。コロナ禍のハーフロックダウン中に描かれた本作は、夜明け前に自転車を走らせた道のりでみたバナナの木をモチーフにしています。コロナ禍の見えない不安と息苦しさ、精神状態が見えると同時に現状から逃避し、自由を求めて走った解放感もみえてくるようです。

ステファニー・クエール「 Concrete Jungle 」 
by Gallery38

この度、東京、神宮前を拠点とするGallery38 によるステファニー・クエールの個展「Concrete Jungle」を開催します。

イギリスのアイリッシュ海に浮かぶマン島に生まれ育ったクエールは、現在も自然豊かなこの島で制作を続けています。クエールの作品は、人間と動物に本来備わっている自然の力に焦点を置き、自然に宿る 力強さ、謙虚さ、不思議さ、叡智、そしてそれらに向き合うことで私たち人間の小ささを思い知ると同時に、自然界と人間の結びつきや、その隔たりを思い起こさせます。

クエールは粘土を手にする前に、何枚ものスケッチを描きます。そうすることで、彼女は動物たちの中に 入り込み、より深く理解しようと試みるのです。描けば描くほど、実際に粘土で作品を作る時に、より素早く動物たちの生命感を作品に取り込むことができるのだと言います。そして、さまざまな素材で制作を 試みたクエールが、最終的に粘土を選んだ理由を次のように語っています。
 「粘土は、私が動物とのつながりを最も感じられる素材です。泥、土、地面そのものが、すべての痕跡、 すべての瞬間、すべての思考を確固たるものにしてくれるのです。」

そうして生み出される彼女の彫刻作品には、制作までの全ての痕跡が残されている、ドローイングの立体物とも言えます。

ギャラリーという人工的な空間に侵入したニホンザルの群れは、飼いならされておらず、手に 負えないほどに大暴れしていますが、彼らを眺めていると、私たち鑑賞者の方がより荒っぽ く、不自然なように思えてくるのです。

ニホンザルは古来、神と人間の間を取り持つ神聖な存在とされ、幸運と迷信の源であり、いたずら者であり、守護者であり、ヒーラーであるなど、宗教、民間伝承、芸術の中で重要な役割を果たしてきました。

粘土で力強く描かれた彫刻は、これらの象徴的な生き物の生の本質を捉えています。身近であ りながら独特の存在感を放ち、自然の中での私たちの重要な位置と役割を思い出させてくれ る、私たち自身に似た存在なのです。

ステファニー・クエール

現代に生きる私たちは、次第に土に触れる機会が少なくなり、コンクリートで固められた道路や建物に囲まれて生活する一方で、絶えず動物に人間味を与えたり、擬人化し続け、動物と私たちとの明らかな違い に囚われています。そして共有する環境を破壊するほど、私たちが何者であるかを定義するのに不可欠で 大切な動物を失い、私たちは野生からも、自然の私たち自身からも遠ざかってしまうのではないでしょうか。

■展覧会概要
タイトル:ステファニー・クエール「Concrete Jungle」by Gallery38
会期:2021年11月30日(火) – 12月19日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:12月6日(月)、13日(月)
企画: Gallery38

◯ステファニー・クエール
1982年 英国・マン島に生まれる
2005年 スレード・スクール・オブ・アート彫刻学科首席卒業
2007年 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート彫刻学科修士課程修了

近年の展覧会:
2021 ‘Human and Animal’ (岐阜県現代陶芸美術館 / 滋賀県立陶芸の森)
2021 ‘Drawings’ (Gallery 38, 東京)
2020 KAMU kanazawa (常設展示)
2019 ‘Bear Nature’ (Gallery 38, 東京)
2018 ‘IN THE SNOW’ ( シドニー・クーパー ギャラリー, カンタベリー )
 2018 ‘ANIMALS & US’ (ターナーコンテンポラリー, マーゲート )
2017 ‘WILD: UNTAMED MIND’ ( 21_21 Design Sight, 東京)
2017 ‘Sculptural Ceramics and Stone’ (パンゴリンギャラリー, ロンドン)
 2017 ‘URBAN JUNGLE’ ( Gallery38, 東京 )
2017 ‘Jenga’ (フィッツロビア教会, ロンドン)
その他グループ展、アートフェア多数

抽象 Abstraction by CADAN

伊勢丹新宿店 本館6階 アートギャラリー
2021年12月1日(水) ~ 2021年12月14日(火)
最終日午後6時終了
営業時間:こちらをご参照ください

白川昌生(Maki Fine Arts)
Hartmut Landauer (Gallery 38)
加賀美健(Misako &Rosen)
鈴木健二(Sprout Curation)
石川順惠 (Blum & Poe)
川内理香子 (WAITINGROOM)
東島毅 (rin art assocciation)
北田朋子(東京画廊)
中島麦(Gallery OUT of PLACE)
高橋大輔(ANOMALY)
John Zurier (The CLUB)
チェン・ルオビン (タグチファインアート)
ルイ・カーヌ (ヤマキ・ファインアーツ)
安田悠(Yuka Tsuruno)
額賀宣彦(HAGIWARA PROJECTS)
宮坂直樹(FINCH ARTS)
坂本和也(nichido contemporary art)
五月女哲平 ( 青山 l 目黒)
Eric Zetterquist (imura art gallery)
松崎友哉 (Yutaka Kikutake Gallery)
篠田太郎(Misa Shin Gallery)
菅木志雄(小山登美夫ギャラリー)
片山真妃(XYZcollective)
ジャンフランコ・ザッペティーニ (Standing Pine)
中村一美 (Blum & Poe)

Fundamentals / Yui Usui by XYZcollective

*11月14日(日)は有楽町ビル全館停電のため休業いたします。

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この度、巣鴨を拠点とする XYZcollective による碓井ゆいの個展を開催します。

碓井ゆいは、布や手芸材料をはじめとした身近な素材を用いて平面・立体作品を制作します。社会・文化・歴史に対し、女性や労働の視点を中心に様々な角度から読み解き、コンセプトを構築し作品制作を行います。

本展覧会は、碓井ゆいの「gastronomy map」と「ミセス・ワタナベの夢と絶望」という二つのシリーズ作品を中心にして構成されます。「gastronomy map」では、碓井が学生時代に使用していた地理の教科書が参照されています。そこには日本各地のさまざまな郷土料理が地図上に配置されたページがあり、本作品はそういった郷土料理を手芸の技法を用いて製作したテキスタイル作品が展開されます。もう一つの作品は「ミセス・ワタナベの夢と絶望」です。ミセス・ワタナベ(Mrs. Watanabe)とは、日本人の主婦を中心とした女性やサラリーマン投資家という意味を語源として、2000年前後に欧米の報道機関に日本人投資家たちが名づけられた俗称です。「ミセス・ワタナベの夢と絶望」では為替取引と歴史をモティーフとし、パッチワークキルト作品が制作されました。

ぜひご高覧ください。

■展覧会概要
会期:2021年11月9日(火)~11月28日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)
出展作家:碓井ゆい
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:1114日(日)、15日(月)、22日(月)
企画: XYZcollective

碓井ゆい○1980年東京都生まれ、埼玉県在住。これまでの主な個展「ALLNIGHT HAPS 2018 後期「信仰」#1 碓井ゆい」(HAPSオフィス、京都、2018)、「碓井ゆい展」(横浜市民ギャラリーあざみ野 ショーケースギャラリー、神奈川、2017)、「shadow work」(小山市立車屋美術館、栃木県、2016)、「sugar」(XYZ collective、東京、2016)。グループ展「更級日記考―女性たちの、想像の部屋」(市原湖畔美術館、千葉、2019)、「都美セレクション グループ展 2019 彼女たちは叫ぶ、ささやく-ヴァルネラブルな集合体が世界を変える」(東京都美術館、2019)、「VOCA展2018」(上野の森美術館、東京)など。「VOCA展2018」では大賞にあたるVOCA賞を受賞。現在、金沢21世紀美術館で開催している「フェミニズムズ / FEMINISMS」に出展している。

「gastronomy map」 2018 布・糸・カッティングシート 
写真:賀集 東悟
「ミセス・ワタナベの夢と絶望」 2021 衣類・布・額・取っ手・印鑑