Distorted Images by SNOW Contemporary

top image: 雨宮庸介 展示風景 / 個展「H&T. A,S&H. B&W. (Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.)」2021, SNOW Contemporary 撮影:木奥恵三

2022年7月20日(水)- 8月7日(日)
参加作家:雨宮庸介、飯沼英樹、ヒシャム アキラ バルーチャ、日野之彦、布施琳太郎 HITOTZUKI 他
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金 11:00-19:00 / 土・日 11:00-17:00 定休日:月曜日
企画:SNOW Contemporary

■オープニングパーティー
7月22日(金)18:30~20:00

■トークイベント「若手アーティストにとって『成功』とはなにか?」
7月22日(金) 17:30~18:30
出演: 布施琳太郎(アーティスト)、窪田研二(SNOW Contemporary共同ディレクター)
参加無料、予約優先(15名)
*Peatixからご予約ください。
https://cadanarttalksnowcontemporary01.peatix.com/
*CADANのインスタアカウント(@cadan_insta)からもライブ配信します。(アーカイブなし)

この度、CADAN有楽町は、西麻布を拠点とするSNOW Contemporaryによるグループ展「Distorted Images」を開催いたします。

出品作家の1人である雨宮庸介は自身の作品を、「最も毒の無いテーマを扱っている体裁を丁寧に整え、気付かれずに軽量の爆弾を持ち帰らせるような仕組みを常に考えている」(2018年SNOW Contemporary個展・ステートメントより抜粋)と言明しています。例えば彼の代表作でもある溶けたりんごの彫刻作品「apple」は、日常における普遍的な形状のりんごに「溶ける」というズレを加えることで、鑑賞者に対し、この世界の多重な認識の在り方を感知させます。

本展にて発表する作家はいずれも、この世界における生活から小さな歪み(Distorted Images)を感じ取り、それぞれに独自の視点で作品に昇華しています。本展「Distorted Images」を通じて、多様でありながら現実世界に対する鋭い批評性と想像力を兼ね備えたSNOW Contemporaryの作家たちを知っていただく機会となれば幸いです。

雨宮庸介 展示風景 / 個展「H&T. A,S&H. B&W. (Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.)」2021, SNOW Contemporary 撮影:木奥恵三

●雨宮庸介
1975年茨城県水戸市生まれ。1999年多摩美術大学美術学部油画専攻卒業後、2011年に渡欧し、2013年にサンドベルグインスティテュート(アムステルダム)修士課程修了。主な展覧会に「六本木クロッシング2010展;芸術は可能か?」(2010/森美術館)、「国東半島芸術祭-希望の原理」(2014/国東半島、大分)、「Wiesbaden Biennnale」(2018/ヴィースバーデン、ドイツ) 、「未来を担う美術家たち 20th DOMANI・明日展」(2018/国立新美術館)、「Reborn-Art Festival 2021-22」(宮城県石巻市)などがあり、彫刻や映像インスタレーション、パフォーマンスなど、さまざまな手法を用いて日常では意識されない普遍的な事象における境界線の再考を促すような作品を制作しています。

飯沼英樹 展示風景 / 個展「闘ウ女神タチ」松本市美術館(長野)2016

●飯沼英樹
2002年愛知県立芸術大学大学院卒修了後、ナント国立美術大学(フランス)に入学し、2006年までヨーロッパ各地を拠点に活動。日本帰国後の近年は、六甲山に屋外展示をした「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2013」や新宿LUMINE内を彩った「LUMINE meets ART AWARD 2015」、木彫作品約120点を出品した松本市美術館での大個展「戦ウ女神タチ」(2016)など、既存のアートスペースにとらわれない様々な場所と機会で作品を展示。最新のファッションに身を包みしたたかに現代を生きる女性の強さを一貫して表現する飯沼の華やかで都会的な世界観は、発表の度に大きな話題となってきました。時代の空気感も含めて表現された作品からは、社会に対する独自の解釈が提示されています。

ヒシャム アキラ バルーチャ「Mind Expansion」 2022

●ヒシャム アキラ バルーチャ
現在、ニューヨークを拠点に活動するHisham Akira Bharoocha (ヒシャム アキラ バルーチャ)は、日本人の母とビルマ人の父を持ち、幼い頃から家族とともに東京、トロント、ロサンゼルス、サンディエゴと、様々な街を移り住んできました。その後、1998年にニューヨークのロードアイランド・スクール・オブ・デザインを卒業します。在学中から音楽やビジュアルアート、デザイン、ファッション、写真など様々なフィールドで活躍してきたバルーチャの作品は、インスタレーションから壁画、ペインティング、コラージュ、写真、パフォーマンスと多岐にわたります。緻密にコントロールされた色彩の重なりと線が作りだすスペースによって構成されるパターンを背景に、意表をついた自由な空想世界のモチーフが独自の躍動感を持ち、観る者の身体感覚にリズムを刻むバルーチャの世界観は、無意識のイメージや過去の体験、夢と現実が混在しており、自身の幼少時の思い出や、音楽や写真、ウォールペインティングなど身体性を伴う様々な分野で活動している経験から培われたのであろうことが伺えます。

日野之彦「透明の膜」2022

●日野之彦
1976年に石川県輪島市に生まれ、2001年に筑波大学大学院を修了した日野之彦は、2005年のVOCA賞受賞を機に、インパクトの強い人物像が多くの人に知られることとなりました。うつろに見開いた大きな瞳、半開きの口、幼児的なポーズ、白いブリーフを着ただけの裸体など、言いようのない不安定な人物像を、技術に裏付けされた精緻な描写で描き出すことで、静謐な狂気を孕んだ濃密な絵画作品を制作しています。近年は、自身の作品のアイコンとも言える人物像を排除した静物画や風景画、ドローイング、水彩、色鉛筆など様々なメディアやブロンズでの立体作品など様々な表現に挑みながら、独自の表現世界を発展させています。主な個展に、2022年「窓辺」(SNOW Contemporary)、2010年「Wandering and Questioning」(上海美術館)、2011年「日野之彦 ー そこにあるもの」(上野の森美術館)など。

布施琳太郎「Retina Painting」2022

●布施琳太郎
1994年、東京都生まれ。2019年、東京藝術大学大学院映像研究科(映像メディア学)修了。急速に発展するメディア環境下に生きる人間の認知や慣習、それによる社会と人の距離やコミュニケーションのあり方など、可視化されないが実存する意識変容や違和感を、絵画や映像、iPhoneや印刷などの多岐に渡るメディアを用いながら、巧みに顕在化させた作品を発表。また、展覧会企画、批評などの他分野において意欲的な活動を行っています。
主な個展に「名前たちのキス」(SNOW Contemporary、2021)、主な展覧会企画に「惑星ザムザ」(小高製本工業跡地、東京、2022)、「沈黙のカテゴリー」(クリエイティブセンター大阪、2021)、「隔離式濃厚接触室」(ウェブページ、2020)、「iphone mural(iPhoneの洞窟壁画)」(BLOCK HOUSE、2016)など。参加展覧会に「Reborn-Art Festival 2021」(荻浜、2021)など。『美術手帖』や『現代詩手帖』、各種Webメディアに寄稿多数。

 

HITOTZUKI 展示風景「水戸駅前壁画プロジェクト」2019

●HITOTZUKI
HITOTZUKIは、独自に作家活動をしていたアーティストのKAMIとSASUが1999年に結成したユニットです。2000年にニューヨークを拠点として活動するアーティスト集団「Barnstormers」での壁画制作のプロジェクトに招聘され、その後はヨーロッパ各国のミュラルムーブメントに参加。ストリートカルチャーの中で育ち、スケートボードの軌跡にインスパイアされて生まれた力強く明快なKAMIのラインと、80年代のサブカルチャーや人間性心理学に影響を受けたSASUのポップな色彩とシンメトリーな形状がミックスされたHITOTZUKIのスタイルは、華やかでダイナミックな個性と、親密で暖かみのある世界観が共存し、確固たる存在感を持って日本のストリート・アートシーンを牽引してきました。HITOTZUKIが主に制作拠点としているのはビルの外壁や、建築物の内部空間です。周辺の風景と一体化する彼らの作品は、壁画が芸術として受容されている欧米を中心に、アジアをはじめ世界各地で高い評価を受け、多くの新たな風景を創出してきました。