ギャラリーアーティスト展(小山登美夫ギャラリー)

Top image: Atsushi Fukui, Untitled, 2025

2026年2月3日(火)- 2月28日(土)
オープニング・レセプション:2月3日(火)17:00-19:00

出展アーティスト:
伊藤慶二、国川広、須藤由希子、福井篤、南谷理加、古橋義朗、和田咲良

企画:小山登美夫ギャラリー(東京)

会場:CADAN大手町
東京都千代田区大手町2-6-3 銭瓶町ビルディング1階(MAP
営業時間:12:00-19:00(展覧会最終日-17:00)
定休日:日・月・祝

CADANが大手町に移動して、単独のギャラリーとしての展示の第1回目になります。年代、素材、イメージなど様々なアーティストの作品を展示します。何かのテーマも、コンセプトもなく、それぞれのアーティストの表現を楽しんでもらえたらと思います。

▼作家プロフィール

伊藤慶二 Keiji Ito

Keiji Ito, A Face, 2022, ceramic, glaze, 10.0×13.0x14.5cm
Photo by Kenji Takahashi
©Keij ilto, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

伊藤慶二(1935-)は、精力的に陶、油彩、水彩、インスタレーション、布と糸のコラージュなど、自由にジャンルを横断するような制作をしています。武蔵野美術大学で油画を学んだ後、岐阜県陶磁器試験場で陶磁器デザイナーの日根野作三との出会いを通じて本格的に陶芸の道に入り、陶による造形、オブジェへと、多様なメディウムを取り入れながら、軽やかに自在に展開していきました。

その多岐にわたる伊藤の創作を貫くのは、ひとの精神、生活、社会への真摯なまなざしです。
出身地の岐阜県土岐市でいまも制作活動を続け、長年新しい表現にチャレンジする姿勢は多くの若い作家達の指針となっており、2025年には岐阜県現代陶芸美術館で大規模な個展「伊藤慶二 祈・これから」、およびミラノのkaufmann repetto milanで個展を開催、また8月~京都のMtK Contemporary Art、10月~小山登美夫ギャラリー京橋・六本木、柿傳ギャラリーでの個展同時開催など、国内外でますます意欲的に活躍を続けています。

国川広 Hiro Kunikawa

Hiro Kunikawa, Untitled oil on paper, 36.4x 25.7cm
Photo by Osamu Sakamoto
©Hiro Kunikawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

国川広(1992-2021)は2015年武蔵野美術大学油絵学科卒業、2017年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了し、同年「アートアワードトーキョー丸の内2017」で小山登美夫賞を受賞しました。その翌年には個展を開催し、好評を博しましたが、2021年残念ながら他界いたしました。その繊細な若い才能が惜しまれてなりません。

国川作品には裸の人物が描かれており、それらは性別や国籍も不明な抽象化された不思議な存在性、漠然とした「気配や雰囲気」であるといえます。その裸のモチーフは、作家の「人の怖さ、不思議さ」への興味、そして「服を着てしまうと文化的なものが出てきて、『言葉やジャンル』が出てきてしまう。それをこえた、とらえられないような、はっきりしたものの間にあるものを描きたい」という想いから来ています。美術家、美術批評家の石川卓磨は次のように述べています。 「国川が描くのは、服を脱がされているわけでも、脱いでいるわけでもなく、服を着ないで生活している人々である。(中略)、、確かに彼らは動物的でもある。人間と動物のどちらでもあり、どちらでもないというハイブリッドの姿だ。ただし、それは人間と動物の相互の能力を兼ね備えた神話的なキャラクターではなく、むしろ相互の弱さと不能性のハイブリッドである。」

須藤由希子 Yukiko Suto

Yukiko Suto, チューリッヒのアパート, Apartment in Zurich, Pencil and watercolor on paper mounted on panel
56.7 x 120.0 cm
Photo by Kenji Takahashi
©Yukiko Suto, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

須藤由希子(1978-)は2001年多摩美術大学美術学部デザイン学科グラフィックデザイン専攻卒業、現在神奈川県で制作活動を行なっています。
古い家や庭、雑草、小学校のプールなど、道を歩いて出会い、心を強く掴まれた日常の景色を緻密に描いてきました。作品からは自分の心まで美しく感じたという作家の昂揚が静かに伝わり、表現と心情、アイデンティティが密接につながっています。
画材は、少し青みがかった色、質感で細部を描くことができる鉛筆を使用。鉛筆の色は須藤が灰色のコンクリートの住宅街で生まれ育ったこと、線画であることは、馴染んだ漫画やアニメの影響があります。
克明なモチーフと平坦な景色の組み合わせによるゆらぎと絶妙なリアリティ、水彩で着彩された部分は、須藤の印象に残った箇所であり、モノクロとカラーの両立は、観る者の想像力を駆り立てます。
作品は国立国際美術館、横浜美術館、東京都現代美術館に所蔵されています。

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福井篤 Atsushi Fukui

Atsushi Fukui, Untitled, 2025, watercolor and pencil on paper, 24.9x 17.0 cm(image)/28.9 x 21.0 cm(sheet) Photo by Kenji Takahashi
©Atsushi Fukui, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

福井篤(1966-)は愛知県生まれ、1989年に東京藝術大学美術学部油画科卒業後2012年より山梨県に拠点を移し、制作活動を行っています。
福井の作品には、時空間を超越した遥かなイメージの、平和で静謐な世界が広がり。青く透んだ色調と、美しいマチエールによるモチーフや風景は、何かの意味があるというより、壮大なスケールによる隠喩的かつ哲学的な世界として表わされています。
主な個展に「結晶の島」(小山登美夫ギャラリー天王洲、東京、2023年)、「air」(游庵、東京、2016年)、「バックパッキング評議会」(六本木ヒルズA/D ギャラリー、東京、2015年)など。
作品はオルブリヒト・コレクション(ドイツ)、ジャピゴッツィコレクション(スイス/アメリカ)、高橋コレクション、国際交流基金に収蔵されています。

南谷理加 Rika Minamitani

Rika Minamitani, Untitled, 2024, acrylic on Japanese paper, 25.5×23.5cm
Photo by Kenji Takahashi
©Rika Minamitani, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

南谷理加(1998-)は神奈川県生まれ。2021年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業、2023年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。現在は東京を拠点に活動しています。

自身「人間の表情を描くのが好き」と語るように、作品内の人物は、驚き、恐れ、笑いなど豊かな表情を漂わせています。顔自体はごくシンプルに描かれていますが、それと対比するかのように妙にリアリティのある大きい手や、細く長く少ない髪がさまざまな色彩をおびてたなびき、平面的ながらも独特な動きと躍動感を生み出しています。
それは幼少期に好んだという初期の海外アニメの短編映画の影響に加え、近年は浮世絵の場面や表情、文楽のダイナミックな動きや操る人が丸見えな不可思議さからイメージを得ていると言い、その独特なストーリー性と不穏さが、南谷ならではの作品世界として展開しています。

古橋義朗 Yoshiro Furuhashi

Yoshiro Furuhashi, Untitled, FRA watercolor on paper, 29.6 x 14.9 cm /frame: 45.5 x 38.0 cm
Photo by Tomoyuki Eguchi
©Yoshiro Furuhashi, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

古橋義朗(1924-2006)は日光に生まれ、その風景を生涯描き続けた画家です。日光の旅館に生まれ、独学で絵を学びました。油画を描いていた時もありますが、水彩画に魅力と可能性を感じ、最後まで水彩で自分の絵を追求しました。
自動車を運転しなかった古橋は、いくつかの旅行以外、その対象は自分の足で歩いていける日光の山々の自然でした。実際の風景をモチーフとしながらも、自在に風景を画面の中で構築していく様は、視覚だけではなく、その空気も肌で捉えているようなリアリティを持ち、見る人に絵の豊かさを感じさせます。絵に描かれた木や山々のとても魅力的な形体と瑞々しい色彩が、とても現代的に感じられます。

 

 

 

和田咲良 Sakura Wada

和田咲良(1999-)は神奈川県生まれ。2024年東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域を卒業。現在、神奈川県相模原市で制作活動を行なっています。

Sakura Wada By the window C 2025 oil on canvas, wooden frame h.53.4 xw.55.9xd.9.1 cm
Photo by Kenji Takahashi
©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

絵画を基軸とし、生活に馴染みのある布や刺繍などを用いながら、インスタレーション、映像、パフォーマンスなどジャンルに縛られない多様な表現方法で展開してきました。和田は他者との関係の均衡性、パワーバランスへの深い興味から「絵画を壁にかけて一方的になりがちな鑑賞を避ける」ために、絵画自体に足をつけて自立させたり、壁のように巨大であったり、表にも裏にも描かれたりと、見る人と作品が相互に関係しあい、作品自体がなにかの気づきのヒントになるような能動的で多面的な鑑賞を促する独創性を生み出しています。