田中秀介 ゆきゆきてたたずみ合い by LEESAYA

*本展覧会をもちまして、現行の国際ビルにおける『CADAN有楽町』は閉廊いたします。これまでのご支援に心より感謝申し上げます。

Top image:「行きとどく誇りのちらつき A Blink of Pride」2025、キャンバスに油彩、Oil on canvas、H161.7×W193.8cm

会期:2025年3月11日(火) – 3月27日(木)
営業時間:火−金 11時−19時 / 土、日、祝 −17時
定休日:月
会場:CADAN有楽町 Space L
住所:東京都千代田区丸の内3-1-1国際ビル1階

オープニング・レセプション:3月11日(火)18:00-20:00

この度、LEESAYA(東京)はCADAN有楽町にて、田中秀介の個展『ゆきゆきてたたずみ合い』を開催いたします。田中は日常の当たり前にある景色の中に驚きや疑問、恐怖、喜びなど心動く瞬間を細やかに捉え描きます。画面をよく見ると大きくデフォルメされたサイズ感のおかしいモチーフや、劇的な鋭いパースの建物、出鱈目のプロポーションの人物が描かれており、さりげなく不思議な事象が巻き起こっています。作家のプライオリティは「正しく」描くことではなく、あくまで自分の感情を残すことであり、それは絵画表現だからこそ可能にします。本展では、新作を中心に田中秀介の眼差しが色濃く現れた作品群を展示いたします。この機会にぜひご高覧ください。

アーティスト・ステートメント
昨年10月から始まったLEESAYAでの個展は、自覚的に一山越えなければならない内容であったためか、終了した直後茫然としていた。それは疲れとか自信を無くす事によるものでなく、何かが満ちた先に訪れた、束の間の茫然であり、今までにあまり体感したことのない状態だった。
私は普段体感したあらゆる驚きを描いている。その為、日々驚きに対し躍起になったりもするが、この期間その姿勢は落ち着いていた。必要な場所へ出向いたり、食事をするため着席したり、スーパーマーケットで買い物をしたり、都度そこで出会う光景を普段より長く眺め、茫然と佇んだりしていた。
出先でふと目の前に柵があり、そこに茂る草をじっと見ていた。佇んでいるとその草のこれまでとこれからが気になった。よく育ったもの、枯れたもの、よく形が分からないもの、これらは色々経て私と対峙している。色々経たのだろうという事しかわからないが、よくぞ私と出会ってくれたと思った。もう私は行くが、後も草は変わらず生きるだろうとか勝手に想いを馳せながら、名残惜しくその場を去った。
思い返せば身の回りに沢山の物や事に溢れているが、大抵それらのこれまでとこれからは知る由がなく、お互いただ行き着いた先、その時共に在るだけである。そんな事に改めて驚き、今更ながらそれらの出会いはかけがえなく、大切に思えた。
今回、光景に対して佇み、より想いが馳せれたものを描いている。そんな絵を観て、佇んでいただければと思う。
CADANはこの場所での展示は今回で最後とお聞きしている。CADANもこれまでを経て、若輩の私もこれまでを経て、今回めぐり合い、最後という言葉に想いを馳せ、展示を以て私はここで佇んでいる。田中秀介(2025年1月)

田中秀介 Shusuke Tanaka
1986年和歌山県に生まれ、2009年に大阪芸術大学美術学科を卒業。現在は大阪を拠点に意欲的に制作活動を 続けています。
2022年には大阪市立自然史博物館にて、田中秀介展:絵をくぐる大阪市立自然史博物館を開催し博物館という特殊な場所性を活かした展示で大変注目を集めました。またVOCA展2023出展や、令和5年度咲くやこの花賞を受賞するなど、活躍の勢いの増すアーティストです。