ステファニー・クエール「 Concrete Jungle 」 
by Gallery38

この度、東京、神宮前を拠点とするGallery38 によるステファニー・クエールの個展「Concrete Jungle」を開催します。

イギリスのアイリッシュ海に浮かぶマン島に生まれ育ったクエールは、現在も自然豊かなこの島で制作を続けています。クエールの作品は、人間と動物に本来備わっている自然の力に焦点を置き、自然に宿る 力強さ、謙虚さ、不思議さ、叡智、そしてそれらに向き合うことで私たち人間の小ささを思い知ると同時に、自然界と人間の結びつきや、その隔たりを思い起こさせます。

クエールは粘土を手にする前に、何枚ものスケッチを描きます。そうすることで、彼女は動物たちの中に 入り込み、より深く理解しようと試みるのです。描けば描くほど、実際に粘土で作品を作る時に、より素早く動物たちの生命感を作品に取り込むことができるのだと言います。そして、さまざまな素材で制作を 試みたクエールが、最終的に粘土を選んだ理由を次のように語っています。
 「粘土は、私が動物とのつながりを最も感じられる素材です。泥、土、地面そのものが、すべての痕跡、 すべての瞬間、すべての思考を確固たるものにしてくれるのです。」

そうして生み出される彼女の彫刻作品には、制作までの全ての痕跡が残されている、ドローイングの立体物とも言えます。

ギャラリーという人工的な空間に侵入したニホンザルの群れは、飼いならされておらず、手に 負えないほどに大暴れしていますが、彼らを眺めていると、私たち鑑賞者の方がより荒っぽ く、不自然なように思えてくるのです。

ニホンザルは古来、神と人間の間を取り持つ神聖な存在とされ、幸運と迷信の源であり、いたずら者であり、守護者であり、ヒーラーであるなど、宗教、民間伝承、芸術の中で重要な役割を果たしてきました。

粘土で力強く描かれた彫刻は、これらの象徴的な生き物の生の本質を捉えています。身近であ りながら独特の存在感を放ち、自然の中での私たちの重要な位置と役割を思い出させてくれ る、私たち自身に似た存在なのです。

ステファニー・クエール

現代に生きる私たちは、次第に土に触れる機会が少なくなり、コンクリートで固められた道路や建物に囲まれて生活する一方で、絶えず動物に人間味を与えたり、擬人化し続け、動物と私たちとの明らかな違い に囚われています。そして共有する環境を破壊するほど、私たちが何者であるかを定義するのに不可欠で 大切な動物を失い、私たちは野生からも、自然の私たち自身からも遠ざかってしまうのではないでしょうか。

■展覧会概要
タイトル:ステファニー・クエール「Concrete Jungle」by Gallery38
会期:2021年11月30日(火) – 12月19日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:12月6日(月)、13日(月)
企画: Gallery38

◯ステファニー・クエール
1982年 英国・マン島に生まれる
2005年 スレード・スクール・オブ・アート彫刻学科首席卒業
2007年 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート彫刻学科修士課程修了

近年の展覧会:
2021 ‘Human and Animal’ (岐阜県現代陶芸美術館 / 滋賀県立陶芸の森)
2021 ‘Drawings’ (Gallery 38, 東京)
2020 KAMU kanazawa (常設展示)
2019 ‘Bear Nature’ (Gallery 38, 東京)
2018 ‘IN THE SNOW’ ( シドニー・クーパー ギャラリー, カンタベリー )
 2018 ‘ANIMALS & US’ (ターナーコンテンポラリー, マーゲート )
2017 ‘WILD: UNTAMED MIND’ ( 21_21 Design Sight, 東京)
2017 ‘Sculptural Ceramics and Stone’ (パンゴリンギャラリー, ロンドン)
 2017 ‘URBAN JUNGLE’ ( Gallery38, 東京 )
2017 ‘Jenga’ (フィッツロビア教会, ロンドン)
その他グループ展、アートフェア多数