水上愛美「Catharsis Bed」 by 4649

CADAN有楽町は 、東京、巣鴨を拠点とする4649(フォーシックスフォーナイン)の企画による、水上愛美の個展「Catharsis Bed」を開催いたします。

本展は、2022年1月に4649(巣鴨)で開催される水上絵美の個展とタイミングを同じくして発刊される作品集『catharsis bed』についての展覧会となります。

水上は本作品集の制作にあたって、自作において取り組まれる題材の一部である、絵画の「裏と表」や「塗りつぶされて見えなくなった部分」などへの考察にまつわる実践を書籍というメディアの特性に応用させるためにデザイナーや執筆者の協力の下、様々な工夫を行いました。それらに基づき本展覧会は、一般的な絵画のインスタレーションとは異なった方法で彼女の作品を鑑賞する機会を作る試みの一つとして公開されます。

一般的に絵画の制作過程では絵具によるレイヤーが積み重なり増えていくことで完成へ向かうとされていますが、水上は最終的に完成した絵画イメージの中に含まれない、絵具に塗りつぶされたままの部分=不可視のレイヤーや、形態としての性質上クローズドな情報として扱われる絵画の裏側の面までもを作品の一部として鑑賞できる可能性に関心を持ち、意図的にそうした要素を絵画の中に取り入れます。

こうした水上の絵画における経時的な事柄への関心は、画面の制作過程にまつわるミクロな事象から、主題に用いられる人物像とそれらにまつわる神話的・考古学的なモチーフを通じて、これまで地球上で人間が想像し、受け継いできたイメージをこの時代においてどのように表現し、伝達していくかというマクロな視点にまで及んでいます。

彼女の取り組みは、静止していると仮定されたイメージを網膜で享受する体験としての絵画ではなく、時間的な行為の集積であるオブジェとしての絵画であり、イマジネーションの中で完成されるような相互作用的な体験としての絵画にまつわるものと言えるでしょう。

■展覧会概要
水上愛美「Catharsis Bed」 by 4649
2022年1月18日(火)- 2月6日(日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:月曜日

■ART TALK supported by CVJ
ゲストに画家の桑久保徹氏をお呼びして、水上愛美氏のアーティストトークをCADAN有楽町からインスタライブ配信します。ナビゲーターは、アーティストで4649ディレクターの高見澤ゆう氏です。
日時:1月28日(金)18:30-19:00
出演:水上愛美  ゲスト:桑久保徹(画家)
*@cadan_instaからインスタライブ配信

■同時開催/水上絵美 個展
1月16日(日)-2月13日(日)
会場:4649(巣鴨)MAP
営業時間:木-土 13:00-18:00、日 13:00-17:00
定休日:月、火、水

■水上愛美『catharsis bed』
発行:oar press
仕様:B5判、日英バイリンガル
定価:2,000 円(税別)
発売日:2022年1月18日
執筆:中尾拓哉
デザイン:刈谷悠三+角田奈央/neucitora

●水上愛美(みずかみえみ)
1992年生まれ、東京を拠点に活動する画家。2017年多摩美術大学卒業。主な展覧会に「Dear Sentiment」(TOKAS本郷、東京、2021)、「Paintings for Stranger」(TOKAS本郷、東京、2020)、4649 at Pina(Pina、ウィーン、2020)、「底流 / Large eddy」 (TWS渋谷、東京、2016)など。2022年にはno gallery(ニューヨーク)でのグループ展や、「VOCA展 2022」(上野の森美術館、東京/3月)などに参加予定。

Emi Mizukami “blindfold” 2020, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste on panel, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “2sun 2moon” 2021, pencil on paper
Emi Mizukami “Waiting for a great day II” 2021, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste, desert sand on canvas, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “sweet dream” 2021, sweet dream, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “Mansion of happiness” 2021, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste, desert sand on panel, Photo by Nirei Hiroshi