フランシス真悟、篠田太郎、前田紗希 by MISA SHIN GALLERY

会期:2023年4月6日(木)–4月23日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:MISA SHIN GALLERY

この度、CADAN有楽町では、東京・南麻布を拠点とするMISA SHIN GALLERYによるフランシス真悟、篠田太郎、前田紗希の抽象作品を軸にした3人展を開催いたします。

Francis Shingo, Ambience in Red, 2022, oil on canvas, 162 x 162 cm Photo: Keizo Kioku

フランシス真悟は、幾層にも重ねられたブルーの抽象画や、深い色彩のモノクローム作品によって、絵画における空間の広がりや精神性を探求し続けているアーティストです。近年の「Interference」シリーズは、特殊な素材が引き起こす光の干渉によって、絵の具の複数の層に光が通り、見る角度によってさまざまな色が立ち現れるペインティングです。鑑賞者の動きがもたらす視覚の効果は、そこでしか感じられない絵画への体験を誘発します。

Shinoda Taro, Katsura 07, 2020, oil on canvas, 120 x 95 x 8 cm Photo: Keizo Kioku

篠田太郎のペインティング作品「桂」は、油彩画の基本的な素材を用いて制作されていますが、私たちが見慣れたペインティングとは一風異なっています。麻布のキャンバス自体が大きな余白を作り、その余白は、端から中心部に向かって曲面を描きながら5センチほど窪んでいきます。中心部は平面となっており、抽象的な色の構成やグリッド状の線が、油絵の具によって描かれています。日本庭園の造園家としてキャリアをスタートさせた篠田は、西洋的な時空間の捉え方に違和感を持ちつつ、自分自身の時空間の捉え方をも、それがどのように獲得されたか疑ってかかります。ペインティングを鑑賞する距離ひとつ取ってみても、私たちの様々な共通認識やその延長線上にある生活、社会、文化に基づいた身体的なリアクションでもあると捉えます。篠田のペインティングは、それらを再考し、その前提となっているものを問い直すことから始まっています。

Maeda Saki, 23_1, 23_2 (Diptych), 2023, oil on canvas, 162 x 260cm

前田紗希は1993年生まれ、「時間の堆積と境界」をコンセプトに、ペインティングナイフのみで油絵具を何十層にも重ねた抽象画を制作しています。トライアングルを最小限の存在とし、何層にも塗り重ねられ堆積し、また削りとられては構築されていくその画面は、日常のあらゆる物事やその重なり、関係性などが幾何学的に表現されています。学生の時から一貫して抽象を追求してきた前田は、我々が認識する「境界」とは何かを問い続けています。