CADAN有楽町(有楽町ビル)は閉廊いたしました

CADAN有楽町は、有楽町ビルの解体工事に伴い、2023年10月29日をもって閉廊いたしました。2020 年7月のオープン依頼、約3年間3週間ごとに入れ替わりながら、50を超える展覧会を開催いたしました。これまでお力添えいただいた皆様、そして各回ご来廊くださった皆様には心から感謝申し上げます。

今後もCADANは日本の現代美術の進行に寄与すべく活動を続けて参りますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

“MEMORIES 03” selected by Hozu Yamamoto

橋本聡「円グラフ:全てと他」 Pie Charts: Everything and Others, 2014 / 2016, Anodized printing on aluminum plates, ф30 cm x 0.2 cm (each) Ed.2, Photo: 藤川琢史, Courtesy of Aoyamma Meguro

CADAN有楽町ラスト展シリーズ
“MEMORIES 03” selected by Hozu Yamamoto
2023年10月11日(水)-10月29日(日)
開廊時間:火 – 金 11:00 – 19:00 / 土・日 – 17:00 / 休廊日:月

○レセプション&CADAN有楽町クロージングパーティ
10月18日(水)18:00〜20:00

CADAN有楽町最後のささやかなパーティを行います。ぜひご参加ください。

この度、有楽町ビルの閉館に伴い、10月末をもってCADAN有楽町は3年間の活動に幕を下ろすこととなりました。

2020年のオープンの際は、ミッドキャリアの4名のメンバー(芦川朋子[WAITINGROOM]、大柄聡子[Satoko Oe Contemporary]、 COBRA[XYZ collective]、志賀良和[Sprout Curation])によるキュレーション展”Show Case”シリーズでスタートいたしました。それから3週間ごとに入れ替わりながら、50を超える展覧会を開催いたしました。これまでお力添えいただいた皆様、そして各回ご来廊くださった皆様には心から感謝申し上げます。

最後の3回は、シニアキャリアのメンバー(井上佳昭[Yoshiaki Inoue Gallery]、小山登美夫[小山登美夫ギャラリー]、山本豊津[東京画廊+BTAP])によるセレクション展で締めくくります。メンバーギャラリーから1名ずつ、アーティストもギャラリーも若手から大御所までが参加するCADANらしい展覧会となります。CADAN有楽町の思い出と共にお楽しみいただけましたら幸いです。

「ものからことばへ」
アートを見ることは、まず見る人が5つの感覚器官を介してもの(物質)である作品を体感することから始まり、体感して得た情報をことば(アートの歴史)として認識できた時に鑑賞という形而上的な体験に至る出来事です。このたびの私のセレクションでは、ものとことばのバランスが私の心にしっくりと受けとめられた作品を選びました。

-山本豊津(東京画廊+BTAP )

“MEMORIES 03” selected by Hozu Yamamoto
安部悠介 Yusuke Abe (4649)
リオネル・エステーヴ Lionel Estève (PERROTIN)
大庭大介 Daisuke Ohba (SCAI THE BATHHOUSE)
北川宏人 Hiroto Kitagawa (Yoshiaki Inoue Gallery)
杉浦邦恵 Kunié Sugiura (Taka Ishii Gallery)
鈴木基真 Motomasa Suzuki (Takuro Someya Contemporary Art)
髙畠依子 Yoriko Takabatake (ShugoArts)
竹崎和征 Kazuyuki Takezaki (MISAKO & ROSEN )
田中和人 Kazuhito Tanaka (KANA KAWANISHI GALLERY)
寺田真由美  Mayumi Terada (Gallery OUT of PLACE)
中井波花 Namika Nakai(TARO NASU)
ノリ服部 Nori Hattori (Sprout Curation)
橋本聡 Satoshi Hashimoto (Aoyama Meguro)
早川祐太 Yuta Hayakawa (HAGIWARA PROJECTS)
益永梢子 Shoko Masunaga (Maki Fine Arts)
ヴェロニカ・ライアン Veronica Ryan (Galerie Saint Guillaume )*特別会員

“MEMORIES 02” selected by Tomio Koyama

Top image: 川井雄仁《デザイナー》(英: Yukari Ichijo) 2023, ceramic, H43.5 W32 D32 (cm) courtesy of KOTARO NUKAGA

CADAN有楽町ラスト展シリーズ
“MEMORIES 02” selected by Tomio Koyama
2023年9月20日(水) – 10月8日 (日)
開廊時間:火 – 金 11:00 – 19:00 / 土・日 – 17:00 / 休廊日:月

○レセプションパーティ
9月26日(火)18:00〜

ささやかなパーティを行います。ぜひご参加ください。

この度、有楽町ビルの閉館に伴い、10月末をもってCADAN有楽町は3年間の活動に幕を下ろすこととなりました。

2020年のオープンの際は、ミッドキャリアの4名のメンバー(芦川朋子[WAITINGROOM]、大柄聡子[Satoko Oe Contemporary]、 COBRA[XYZ collective]、志賀良和[Sprout Curation])によるキュレーション展”Show Case”シリーズでスタートいたしました。それから3週間ごとに入れ替わりながら、50を超える展覧会を開催いたしました。これまでお力添えいただいた皆様、そして各回ご来廊くださった皆様には心から感謝申し上げます。

最後の3回は、シニアキャリアのメンバー(井上佳昭[Yoshiaki Inoue Gallery]、小山登美夫[小山登美夫ギャラリー]、山本豊津[東京画廊+BTAP])によるセレクション展で締めくくります。メンバーギャラリーから1名ずつ、アーティストもギャラリーも若手から大御所までが参加するCADANらしい展覧会となります。CADAN有楽町の思い出と共にお楽しみいただけましたら幸いです。

“MEMORIES 02” selected by Tomio Koyama

今回、CADAN有楽町の最後の展示として、シニアのギャラリーのオーナーがCADANのギャラリーのアーティストから選んで展示をする!という企画が持ち上がりました。四半世紀前はチビッコギャラリーと呼ばれていた私もその一人として、選ぶ立場になってしまいました。CADANのギャラリーからギャラリーを選択するのは理事のMisako Rosenさんがしてくださり、選ばれた18軒のギャラリーから1人、アーティストを選ぶという仕事で、大変面白くさせてもらいました。当たり前ですが、それぞれのギャラリーのアーティストは重ならず、それぞれが自分たちのギャラリーを形作っていて、最終的にサイトから選ぶことになったのですが、ほんとに様々な形があるのだなとつくづく思い知った次第です。
私が選ぶ基準は、こんな感じです。アーティストの名前は敬称略で申し訳ありません。自分がコレクションしているアーティスト(藤原康博、八木良太、田中秀介、黄品玲、デイヴィッド・シュリグリー)、ずっと見続けて尊敬しているアーティスト(秋山陽、寺崎百合子、北山善夫、吉本作次)、まだそんなに見ているわけではないのですが、気になるアーティスト(樂雅臣、植松永次、鈴木親、川井雄仁、李鎮雨)、若い頃に審査で会ったことがあるアーティスト(水谷昌人、後藤靖香)、そして、亡くなってしまった想像力豊かな2人のアーティスト(池田龍雄、設楽知昭)となります。

– 小山登美夫

秋山陽 Yo Akiyama(アートコートギャラリー)
池田龍雄 Tatsuo Ikeda(Fergus McCaffrey Tokyo)
植松永次 Eiji Uematu(Gallery 38)
北山善夫 Yoshio Kitayama(MEM)
川井雄仁 Kazuhito Kawai(KOTARO NUKAGA)
後藤靖香 Yasuka Goto(帝塚山ギャラリー)
設楽知昭 Tomoaki Shitara(Standing Pine)
デイヴィッド・シュリグリー David Shrigley(Yumiko Chiba Associates)
鈴木親 Chikashi Suzuki (KOSAKU KANECHIKA)
田中秀介 Shusuke Tanaka(LEESAYA)
寺崎百合子 Yuriko Terazaki (ギャラリー小柳)
藤原康博 Yasuhiro Fujiwara(モリユウギャラリー)
黃品玲 Pin-Ling Huang(nca nichido contemporary art)
水谷昌人 Masato Mizutani(Finch Arts)
八木良太 Lyota Yagi(無人島プロダクション)
吉本作次 Sakuji Yoshimoto(KENJI TAKI GALLERY)
樂雅臣 Masaomi Raku(イムラアートギャラリー)
李鎮雨 Lee JinWoo(東京画廊)

“MEMORIES 01” selected by Yoshiaki Inoue

三瓶玲奈 “色を編む Weaving the color”, 2022, Oil on canvas, 31.8 x 41 cm (c) the artist, Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery

CADAN有楽町ラスト展シリーズ
“MEMORIES 01” selected by Yoshiaki Inoue
2023年8月30日(水) – 9月17日 (日)
開廊時間:火 – 金 11:00 – 19:00 / 土・日 – 17:00 / 休廊日:月

この度、有楽町ビルの閉館に伴い、10月末をもってCADAN有楽町は3年間の活動に幕を下ろすこととなりました。

2020年のオープンの際は、ミッドキャリアの4名のメンバー(芦川朋子[WAITINGROOM]、大柄聡子[Satoko Oe Contemporary]、 COBRA[XYZ collective]、志賀良和[Sprout Curation])によるキュレーション展”Show Case”シリーズでスタートいたしました。それから3週間ごとに入れ替わりながら、50を超える展覧会を開催いたしました。これまでお力添えいただいた皆様、そして各回ご来廊くださった皆様には心から感謝申し上げます。

最後の3回は、シニアキャリアのメンバー(井上佳昭[Yoshiaki Inoue Gallery]、小山登美夫[小山登美夫ギャラリー]、山本豊津[東京画廊+BTAP])によるセレクション展で締めくくります。メンバーギャラリーから1名ずつ、アーティストもギャラリーも若手から大御所までが参加するCADANらしい展覧会となります。CADAN有楽町の思い出と共にお楽しみいただけましたら幸いです。

“MEMORIES 01” selected by Yoshiaki Inoue

世界的に女性アーティストの再評価が行われるなか、本展では『多様性と共感』をテーマに、各ギャラリーの女性アーティストたちがそれぞれの視点から表現した作品を展示します。絵画、彫刻、写真など、様々なメディアを含め、多岐にわたるアート作品をご覧ください。– 井上佳昭

石内都 Ishiuchi Miyako (The Third Gallery Aya)
伊庭靖子 Yasuko Iba (MISA SHIN GALLERY)
大野綾子 Ayako Ono (KAYOKOYUKI)
大野晶 Hikari Ohno (XYZ Collective)
工藤麻紀子 Makiko Kudo (小山登美夫ギャラリー)
篠崎裕美子 Yumiko Shinozaki (SNOW contemporary)
鈴木のぞみ Nozomi Suzuki (rin art association)
高柳恵里 Eri Takayanagi (TALION Gallery)
できやよい Yayoi Deki (ANOMALY)
真島明子 Akiko Mashima (KOKI ARTS)
升谷真木子 Makiko Masutani(Satoko Oe Contemporary)
三瓶玲奈 Reina Mikame (Yutaka Kikutake Gallery)
三島喜美代 Kimiyo Mishima (Yamaki Fine Art)
三宅砂織 Saori Miyake (WAITINGROOM)
山口はるみ Harumi Yamaguchi (NANZUKA)
クリスティアーネ・レーア Christiane Löhr (Taguchi Fine Art)

今後の予定
“MEMORIES 02” selected by Tomio Koyama
2023年9月20日-10月8日

“MEMORIES 03” selected by Hozu Yamamoto
2023年10月11日-10月29日

高橋大輔「アシャン」 by ANOMALY

Top image: 高橋大輔《アシャン》2023 パネルに油彩、合成樹脂、アクリル

開催期間:2023年8月8日(火)〜27日(日)
開廊時間:火〜金 11:00 – 19:00 / 土・日・祝 (11日・金) 11:00 -17:00 / 休廊日:月曜日
会場:CADAN有楽町

◎オープニングレセプション
8月8日(火)18:00〜

◎トークイベント
8月23日(水)19:00〜20:30
出演:長谷川新(インディペンデントキュレーター)、五月女哲平(アーティスト)、高橋大輔(アーティスト)
@cadan_insta からインスタライブ配信あり

この度CADAN有楽町では、東京・天王洲を拠点とするANOMALYによる高橋大輔の個展「アシャン」を開催します。

高橋大輔は1980年埼玉県生まれ。2005年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域を卒業、現在は埼玉県を拠点に活動しています。東京都美術館や埼玉県立近代美術館、東京オペラシティアートギャラリー、太田市美術館などでの展覧会に参加するなど、高橋の一貫した「絵画」における表現の探求は広く高い評価を受けてきました。

高橋はこれまで、絵の具をチューブから直接出しながら画面構成を行う、いわゆる厚塗り絵画を長年制作してきました。それらの作品群は、絵画が二次元上でのイリュージョンの世界であると同時に、支持体と絵の具という物質による、あくまでも三次元空間に存在する「もの」による現実であり、その意味で我々鑑賞者と高橋の作品との間には、身近に感じられると同時に近寄りがたい、といった緊張関係がありました。高橋の絵画は、イリュージョン世界と実体のある世界との中間者として存在していたのです。

高橋大輔《アシャン》2022 キャンバスに油彩、天然樹脂

この度の個展「アシャン」では、そういったこれまでの高橋の絵画シリーズとは大きく異なる作品が揃います。端的に言えばこのシリーズにより、「もの」から「イメージの世界」へと高橋の仕事の位相が移動したのです。

ここで気になる「アシャン」とは、高橋がたまに利用する近所のコンビニで働いていた、スタッフの方の名前です。高橋は手際よく仕事をこなし、心地よい接客をするアシャンさんに好感を持っていましたが、ふと彼のことを何も知らないことに気がつきました。同時にその瞬間アシャンさんの存在は、高橋にとって新たな創作活動の引き金となりました。高橋は「アシャン」制作を通じて、アシャンという実際の人物と、何も知らないがゆえに高橋によって形成されるイメージのアシャンとの間を往き来していくのです。それはこれまでの即物的な高橋の仕事には見られなかった、より精神性の強い創作であることが分かります。

そんな「アシャン」シリーズで使用される色は非常に限定されており、基本的にはブルー一色。その理由はアシャンさんが某コンビニの店員で、ブルーとホワイトの縞の制服を着ているからという至極単純な理由や、アシャンさんが空を越え、海を越え、はるかなるこの地で高橋と出会った、という高橋の想像からふと浮かんだイメージが彼に選択させています。
また同シリーズでは、高橋が繰り返し行なってきたかつての厚塗りの要素はなく、キャンバスに筆を置くという反復や、線を伸び伸びと引くという行為の結果となっています。その仕事はまるで音楽的です。音を繰り返し奏でることで、抽象度の高い、精神性に富んだ作品が生まれるように、しかし高橋のそれは、まるでサビもなければエンディングもない楽曲のような姿をしています。

「アシャン」シリーズが壁に掛かっている高橋のアトリエの様子

描くことで彼がアシャンを理解することはできないでしょう。しかしだからこそこの作品群は魅力的なのです。核心に迫るのではなく(そもそも核心なんてものがあるのか)、画面からも中心軸や作家による任意の消失点が消えているように、あくまでも周縁をなぞるようにして生まれる「アシャン」シリーズは、鑑賞者に観て考えるだけの余白を与え、心地よい鑑賞体験を許します。

まだまだ厳しい夏の暑さが続きますが、ブルーとホワイトで構成された高橋の最新作と共に、こころ(精神)から涼んで頂ければ幸いです。

同時開催:
高橋大輔 個展
アシャン (Ashan)
2023年8月23日 ~ 9月10日
Art Center Ongoing、吉祥寺
https://www.ongoing.jp/upcoming/ashan/

お問い合わせ先:
ANOMALY
〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex 4F
tel & fax 03-6433-2988
info@anomalytokyo.com

油野愛子 顧剣亨  「HOW TO RECORD THE PAST, HOW TO LET GO THE PAST? どうやって過去を手放そうか。」 by Tomio Koyama Gallery

CADAN有楽町は、小山登美夫ギャラリーによる油野愛子、顧剣亨の二人展 「HOW TO RECORD THE PAST, HOW TO LET GO THE PAST? どうやって過去を手放そうか。」を開催いたします。油野愛子による立体作品とペインティング、顧剣亨による写真作品で構成されます。どうぞご高覧ください。

油野愛子 顧剣亨 
「HOW TO RECORD THE PAST, HOW TO LET GO THE PAST? どうやって過去を手放そうか。」
by Tomio Koyama Gallery
2023年7月18日(火)—8月6日 (日)
企画: 小山登美夫ギャラリー
協力: Yumiko Chiba Associates
営業時間:火−金 11時−19時 / 土、日、祝 −17時
定休日:月(祝日の場合は翌平日)

アーティスト・トーク(モデレーター 山本浩貴氏)
7月18日(火)18:00〜
*予約不要、@cadan_instaからインスタライブ配信あり

【展覧会について】

今回の展覧会「HOW TO RECORD THE PAST, HOW TO LET GO THE PAST? どうやって過去を手放そうか。」は、油野愛子、 顧剣亨による2人展。

油野が一緒に展示をしたいアーティストとして、同世代であり、学生の頃から共に作家人生を歩んできた仲間である、顧剣亨との展覧会を考え、実現しました。

今回の展覧会タイトルは、油野が書きためている言葉の中から一言を選んでおり、それをその場にいた友人が英語で発音した時に、「let go」 を「record」と聞き間違えたところから始まっています。このタイトルに付属された日本語「どうやって過去を手放そうか」は、時間を追うごとにリアリティを失っていきながらも、いかに私たちを縛りつけ、私たちの存在を明確に築いてきたのか、過去が少しずつ、しかし確実に未来で変化し続けているということについて、改めて見つめるきっかけとなるでしょう。

顧にとって作品制作は「record(記録)」するという行為からはじまっています。彼は様々な場所を訪れ、膨大なピクセルの中に時間を取り込み、デジタルウィービングという独自の手法でピクセルを編み込んでいく。この複数の景色を重ねた高解像度の一画面を作り出すことで、鑑賞者は作品に没入し、普遍的な自然と対峙します。油野は、自身の内に蓄積された他者との関係、また子どもから大人へと成長していく過程での変化や違和感といったことに焦点を当て、時間の経過や記憶の断片、そして過去と現在の交錯する瞬間を描き出す様に、立体、絵画、インスタレーションと展開をしています。

同時代に共に作家として成長してきた2人の制作を通して、鑑賞者は自身の内なる記憶や感情に触れ、内面とのつながりを再び確かめ、過去を探求し、解放するための深い内省と対話を促されるでしょう。

UNDULATIONISM 2023 by Mori Yu Gallery

UNDULATIONISM 2023 by Mori Yu Gallery
会期:2023年6月27日(火)―7月16日(日)
時間:火-金 11:00–19:00/ 土・日 –17:00/ 月 休廊
会場:CADAN有楽町
出展作家:
小柳仁志、世良剛、浜崎亮太、河合政之、
瀧健太郎、花岡伸宏、黒田アキ、西山修平、片野まん

【ヴィデオアート上映 Video Art Screening】
2023年7月1日(土) 開場18:30、開演19:00 (終演 20:00)
July 1th, 2023, Open 18:30, Start 19:00
*開始時間が変更になりました。

入場無料/定員15名

MORI YU GALLERY 出品のヴィデオ・アーティストによる作品上映。
Video art works by artists presented by MORI YU GALLERY.

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この度、CADAN有楽町では、京都を拠点とするMORI YU GALLERYによるグループ展、「UNDULATIONISM 2023」を開催いたします。昨年6月にCADAN有楽町で開催した展覧会と同様のコンセプトで、各作家それぞれ新作で展覧いたします。

「UNDULATIONISM」は造語です。翻訳するとすれば、「波動」主義とでも訳せましょうか。「UNDULATION」とは、真っ平らでflatなものではなく、揺れており、起伏があり、それは「NOISE」から生まれてきたといえるでしょう。
「NOISE」という難解な言葉から始めましょう。「Noise(ノワーズ)」という言葉は、マーグ画廊の創業者であるエメ・マーグ(Aimé Maeght, 1906-1981)の死後、1985年に、デリエール・ル・ミロワール誌を引き継ぐ形で創刊されたマーグ画廊の新しい美術誌のタイトルとして使われていました。編集長には、マーグ画廊の黒田アキ(Kuroda Aki, 1944-)。「ノワーズ」は黒田の友人であるフランスの哲学者、ミッシェル・セール(Michel Serres,1930-)の「NOISE」論に依拠し、黒田自身が名付けました(1985年5月発行の創刊号から1994年の18/19合併号まで全17冊発行)。
さて、中沢新一氏によると、「ノワーズ、それは古いフランス語で「諍(いさか)い」をあらわしている。バルザックはこの古仏語の語感を利用して、「美しき諍い女 la belle noiseuse」という存在を創造した。しかし、ノワーズのさらに古い語感を探っていくと、異質領域から押し寄せてくる聴取不能な存在のざわめきのことを、言い当てようとしているのがわかる。不安な波音を発する海のしぶきとともに出現するヴィーナスの像などが、そのようなノワーズの典型だ。ヴィーナスは海の泡から生まれたとも言われるが、またいっぽうではその泡は男女の交合の場所にわきたつ泡だとも言われる。いずれにしても、それは世界の舞台裏からわきあがってくる不気味なざわめきにつながっている」 (中沢新一『精霊の王』-第五章 緑したたる金春禅竹-より)。
前置きが長くなりましたが、所謂ノイズと言われるものと全く「NOISE」(ノワーズ)は違うのです。そうした「NOISE」が変化したものを我々は「波動」、「UNDULATION」と名付けてみましょう。

例えば、今回出展する作家である河合政之は、アナログのシステムを駆使する映像作家です。デジタルでは有用なシグナルのみを用いるが故に、捨象されてしまうノイズをもフィードバックという運動で展開される閉回路に取り込み、シグナルとノイズという二元論を超越した「たんなる物質とは違うもの」へと見事に変換させてしまいます。河合はフィードバックという手法によって、モダニズム的な自己言及性では無く、内在と超越の両者を切断しつつも接続する「NOISE」という概念を体現している作家と言えるでしょう。アナログにしかなし得ない、非連続の連続とでもいえる可能性を初めて開いた思想を携えた作品群がART BASEL HONGKONGで高く評価されたことは記憶に新しい。「NOISE」は、存在論的には所謂シグナルとノイズとの間にあり、時に接続し、また時に切断されるのですが、その中で「NOISE」は違う状態へと超越するのです。それは主体と客体、個人と社会、過去と未来、シグナルとノイズといった両者を接続しつつ切断し、たんなる物質とは違う、先の例えのようなビーナスへと変容していきます。そして、それはまた日本の文化的特長とも言える空間的、時間的な余白、空白といった「間」(ま)の意味も纒うといえるでしょう。
また例えば、黒田アキ。彼は、日本では1993年には東京国立近代美術館にて個展を開催しました。彼は、1970年代後半、パリ・ビエンナーレにおいて発表された「conti/nuit/é」(連続の中の夜)という絵画において、モダニズムを超えていこうとする新しき絵画として評論家に評されました。キャンヴァス上において、描かれた黒い線がすっと伸びていくその先で、時に線が縺れ、その縺れた線があるかたち(figure)となって現れてきます。「連続するもの」(「conti/nuit/é」)という「間」(ま)にあって、フランス語は「夜」(「nuit」)を意味する言葉を含みます。連続する時間と線が、ふと縺れて「夜」というかたち(figure)になる。「夜」は一体いつから始まり、終わるのか判然とせぬまま、過去からも未来からも切断されつつ接続され、また時にそれは連続する時間から逃げ果せ、意味を輝かせるのでしょう。黒田の意味する「夜」は線の縺れから生じ、それはまさに「夜」という「NOISE」から生み出された「波動」、「UNDULATION」として、また「figure」(=人型)としてキャンヴァスに描かれています。後年、「連続する夜」(「conti/nuit/é」)というコンセプトは、シュルレアリスムに影響を受けたミノタウロスと繋がり、80年代から描かれてきたシャープで美しき人型ではなく、ミノタウロスと黒田アキの自画像とが綯い交ぜとなった顔として、激しい筆致により、キャンヴァスに描かれています。それはまさに「NOISE」から生み出された「UNDULATION」を語るに相応しい作品でしょう。
今回は、「UNDULATIONISM」という造語を掲げるに相応しいこの3人を中心に、小栁仁志、花岡伸宏、瀧健太郎、西山修平、世良剛、浜崎亮太、片野まんなどの作品を展示いたします。どうぞご高覧ください。

MORI YU GALLERY
森裕一

今井壽恵 「オフェリアその後」by The Third Gallery Aya

Top image ©︎ IMAI Hisae
会期|2023年6月8日(木)-25 日(日)
時間|火曜-金曜 11:00–19:00/ 土・日曜 11:00–17:00/ 月曜 休廊
会場|CADAN有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1有楽町ビル1F)
協力|赤々舎

この度、CADAN有楽町では、大阪を拠点とするThe Third Gallery Ayaによる今井壽恵の個展を開催いたします。

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1950年代にデビューした今井壽恵は、「オフェリアその後」に代表される文学的な世界を構築し、前衛的なイメージで注目を集めました。
交通事故で失明の危険に晒されたことで、馬を被写体にした作品制作に移行し、次第に初期作品は知る人ぞ知るという状況になっていました。
今回は、昨年4月にThe Third Gallery Ayaで開催した展覧会の巡回展で、1956年の初個展「白昼夢」から1964年に始まった「エナジー」まで、今井の初期代表作を紹介致します。
The Third Gallery Ayaでは、日本の女性写真家の先駆のひとりである山沢栄子や、今井とも同時代でフォトコラージュ作品で知られる岡上淑子を紹介してきました。
歴史の中に埋もれてしまいがちな女性写真家の作品が再評価される一端を担えればと思っております。

トークイベント|戸田昌子(写真史家、『Hisae Imai』監修)

日にち:2023年6月17日(土)
時間:16:00–17:30
会場:CADAN有楽町
申込先:お申し込みフォーム
*トークイベント後にささやかなレセプションを開催いたします
*@cadan_insta より、インスタライブ配信あり
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今井壽恵|IMAI Hisae

1931年7月19日東京生まれ
1952年 文化学院美術科卒業
1962年 タクシー乗車中の衝突事故により、一命はとりとめたものの、数ヶ月視力を失う
2009年2月17日逝去

主な個展
1956年「白昼夢」松島ギャラリー、東京
1957年「心象的風景」富士フォトサロン、東京
1959年「ロバと王様とわたし」月光ギャラリー、東京
1959年「夏の記憶」富士フォトサロン、東京
1960年「オフェリアその後」日本写真批評家協会受賞記念展、小西六フォトギャラリー、東京
1961年「モデルと北風」月光ギャラリー、東京
1963年「今井壽惠写真展」富士フォトサロン、東京
1971年「馬に旅して」新宿ニコンサロン、東京
1975年「馬の世界を詩う」高島屋大阪店
1977年「Le monde enchanteur des chevaux(馬の世界を詩う)」ブリュッセル、パリ

主なグループ展
1958年「第一回女流写真家協会展」小西六フォトギャラリー、東京
1960年「現代写真展1960年」東京国立近代美術館、東京
1962年「NON」松島ギャラリー、東京
2021年「パリフォト2021」グラン・パレ・エフェメール、パリ

受賞
1959年 日本写真批評家協会新人賞
1960年 カメラ芸術・芸術賞
1969年 GREAT PRINT MAKERS OF TODAY賞
1971年 Society of Publication Designers 1971 Annual Award Show Silver Award
1978年 日本写真協会年度賞
2010年 2009年度JRA賞馬事文化賞功労賞

出版
1977年「通りすぎるとき―馬の世界を詩う―」駸駸堂出版
1980年「ザ・サラブレット」東出版
1985年「勝つことに憑かれた名馬 シンボリルドルフ」角川書店
1987年「サラブレッド讃歌」玄光社
1994年「夢を駆けるトウカイテイオー」角川書店
1995年「武豊 1000勝」角川書店
1999年「CHAMPION/Taiki Shuttle」ニューマーケット

コレクション
日本大学、ニューヨーク近代美術館、ジョージ・イーストマンハウス国際写真美術館、パリ国立図書館、ハンブルグ装飾美術館、川崎市市民ミュージアム、東京都写真美術館、清里フォトアートミュージアム

安部悠介 個展 by 4649

『安部悠介 個展』
会期:2023年5月18日(木) – 6月4日(日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火~金 11~19時 / 土・日 ~17時  / 定休日:月
企画:4649

●オープニングレセプション
5月18日(木) 18:00〜

●ギャラリートーク
6月4日(日) 15:00〜
出演:安部悠介(アーティスト)、田中耕太郎(インディペンデント・キュレーター)
進行:高見澤ゆう(4649)

この度、CADAN有楽町では、東京・巣鴨を拠点とする4649による安部悠介の個展を開催いたします。

これは安部による4649との二回目の展覧会であり、6月4日より4649で開催される個展と同時開催となります。

安部は2021年に、一部で評価されつつあったTCG(トレーディングカードゲーム)やビデオゲームのキャラクター、迷路のイラストなどがモチーフになった作品のシリーズと断絶を見せるような抽象性の高い作品群を4649で発表しました。それは彼が制作の中で生み出した極めて内面的な未分類な作品群を、一つの展覧会という形として立ち上げる、4649との会話の中で生まれた協働での試みでした。そこから2年を経て、豊かな絵画を作りたいという目標にむけてあらゆる試行錯誤を繰り返す彼の制作活動は、よりいっそう複雑になり、これまで以上に表向きの具象・抽象性の違いを超えたところで行われています。そのダイナミズムを見せるような展覧会として、本展は二箇所の会場を使って行われます。この機会にぜひご高覧ください。

安部悠介は1993年山形県生まれ、2018年に多摩美術大学大学院を修了。現在は埼玉県を拠点に活動中。主な展覧会にCON(東京、2023)、4649(東京、2021)、VOILLED(東京、2021 と2017)、Loko Gallery(東京、2018)、ラ・メゾン・ド・ランデブー(ブリュッセル、2019)等がある。

同時開催
『安部悠介 個展』
会場:4649 (東京都豊島区巣鴨2-13-4 B02 170-0002)
会期:5月28日(日) – 6月25日(日)
木金土曜 午後1-6時、日曜 午後1-5時 (月火水休廊)

安部悠介 Curbstone, 2023
Gesso, oil, acrylic, plastic board, wood, bond, tacker on canvas
194×130×6.3 cm
安部悠介, That was a rubber hose, 2023
Oil, gesso, wood, paper, bond on canvas
194×130×5.5cm

詫摩昭人「逃走の線 / Lines of Flight:”The battle is decided in an instant, but I seem to lose most of the time.”」by Yoshiaki Inoue Gallery

会期:2023年4月25日(火)~ 5月14日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:Yoshiaki Inoue Gallery

○ギャラリートーク
4月25日(火)18:00よりトークを開催します。
出演:三上豊 (美術編集者)× 詫摩昭人
終了後はレセプションを行いますので、ぜひご参加ください。
*予約不要、@cadan_instaからインスタライブ配信あり
この度、CADAN有楽町では、大阪・心斎橋を拠点とするYoshiaki Inoue Galleryによる詫摩昭人の個展を開催いたします。

Lines of Flight op.628、145.5 x 112cm、Oil on canvas、2020

詫摩昭人(たくまあきひと)は1966年熊本生まれ。フランスの哲学者ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze、1925-1995)の「逃走線」を引用して二項対立をすり抜けるコンセプトで絵画制作を続けています。油絵具の乾かぬうちに自作の長いブラシでキャンバス全体を天辺から一気に擦りおろし、現れた画面に対立軸をなだらかに混ざり合わせたと実感できた時のみ自身の作品は完成となります。一貫したコンセプトの中で砂漠、地平線、サクラ、都市などの風景や抽象的な様々なモチーフを白と黒で表現してきましたが、今回は昨年より発表を開始したカラー作品の新作を中心にご紹介します。
修正の利かない制作工程で一度限りの美を追求する作品をぜひご高覧下さい。

 

 

 

カラー作品について:
横幅2mの刷毛で一気に仕上げる油彩の作品「逃走の線」を開始して、18年が経とうとしています。これまでもカラーの作品は幾度となく試みましたが、今ひとつ納得のいくものができませんでした。しかし、今回、初めて皆さんにお見せできそうなものになったと思い、初めてのカラー作品の個展を開催することとなりました。
二項対立をすり抜けるというコンセプトは、私の作品の根底に流れるテーマです。そして、今回カラー作品を制作する上で、<有彩色と無彩色>の軸と、水面に映る風景からヒントを得た<虚像と実像>の軸の二つの方向性が存在します。
2020年からコロナ禍が始まり、2022年にはウクライナの緊張が起こり、現在もなお不穏な状況ではありますが、分断しない混ざり合う美があると考えます。
(2022年6月 詫摩 昭人)

Lines of Flight op.758、194 x 162cm、Oil on canvas、2022
Lines of Flight op.756、100 x 72.7cm、Oil on canvas、2022
Lines of Flight op.757、100 x 72.7cm、Oil on canvas、2022

 

 

フランシス真悟、篠田太郎、前田紗希 by MISA SHIN GALLERY

会期:2023年4月6日(木)–4月23日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:MISA SHIN GALLERY

この度、CADAN有楽町では、東京・南麻布を拠点とするMISA SHIN GALLERYによるフランシス真悟、篠田太郎、前田紗希の抽象作品を軸にした3人展を開催いたします。

Francis Shingo, Ambience in Red, 2022, oil on canvas, 162 x 162 cm Photo: Keizo Kioku

フランシス真悟は、幾層にも重ねられたブルーの抽象画や、深い色彩のモノクローム作品によって、絵画における空間の広がりや精神性を探求し続けているアーティストです。近年の「Interference」シリーズは、特殊な素材が引き起こす光の干渉によって、絵の具の複数の層に光が通り、見る角度によってさまざまな色が立ち現れるペインティングです。鑑賞者の動きがもたらす視覚の効果は、そこでしか感じられない絵画への体験を誘発します。

Shinoda Taro, Katsura 07, 2020, oil on canvas, 120 x 95 x 8 cm Photo: Keizo Kioku

篠田太郎のペインティング作品「桂」は、油彩画の基本的な素材を用いて制作されていますが、私たちが見慣れたペインティングとは一風異なっています。麻布のキャンバス自体が大きな余白を作り、その余白は、端から中心部に向かって曲面を描きながら5センチほど窪んでいきます。中心部は平面となっており、抽象的な色の構成やグリッド状の線が、油絵の具によって描かれています。日本庭園の造園家としてキャリアをスタートさせた篠田は、西洋的な時空間の捉え方に違和感を持ちつつ、自分自身の時空間の捉え方をも、それがどのように獲得されたか疑ってかかります。ペインティングを鑑賞する距離ひとつ取ってみても、私たちの様々な共通認識やその延長線上にある生活、社会、文化に基づいた身体的なリアクションでもあると捉えます。篠田のペインティングは、それらを再考し、その前提となっているものを問い直すことから始まっています。

Maeda Saki, 23_1, 23_2 (Diptych), 2023, oil on canvas, 162 x 260cm

前田紗希は1993年生まれ、「時間の堆積と境界」をコンセプトに、ペインティングナイフのみで油絵具を何十層にも重ねた抽象画を制作しています。トライアングルを最小限の存在とし、何層にも塗り重ねられ堆積し、また削りとられては構築されていくその画面は、日常のあらゆる物事やその重なり、関係性などが幾何学的に表現されています。学生の時から一貫して抽象を追求してきた前田は、我々が認識する「境界」とは何かを問い続けています。

山下拓也「愛、嫉妬、別れ (ムンクやカニエをサンプリングして)」by TALION GALLERY

山下拓也「愛、嫉妬、別れ (ムンクやカニエをサンプリングして)」
会期:2023年3月15日(水)〜4月2日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:TALION GALLERY

この度、CADAN有楽町では、東京・目白を拠点とするTALION GALLERYによる山下拓也個展「愛、嫉妬、別れ (ムンクやカニエをサンプリングして)」を開催いたします。

山下拓也は展示空間や素材の物理的・歴史的条件を利用しながら、帰属する共同体を喪失したマスコットなどをモチーフとして、立体や版画、写真、ドローイングなどの制作を行っています。存立の場を外的要因によって奪われてきたそれらの表象は、山下による空間と色相を極度に強調したインスタレーションのなかで、その境遇を反映した心理的状況とともに提示されます。
本展では、山下自身の手による木版画を用いた新作インスタレーションを発表いたします。

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本個展のテーマは「愛、嫉妬、別れ」です。ある期間のうちに私はこれらを激しく経験しました。
頭の中に現れたネガティブなイメージは、さらに同一のイメージを呼び寄せ、終わらない反復を生み出しました。母が過去に統合失調症を患っていたこともあり、そのような世界へ足を踏み入れてしまう恐怖感と、いくつかの強迫観念によって眠れない夜もありました。ギリギリのところで精神をキープできたのは、それら負のエネルギーを創作に転換させられる希望を保つことが出来たからです。
長らく私は版表現によって作品を制作してきました。版画を刷り続ける行為をパフォーマンスとして見せたり、刷られたイメージが増殖し展示空間を埋め尽くすのが自作の特徴ですが、そこには私の思考や認知のあり方が作用しているのかもしれません。
本個展では、頭の中で増殖して止まない特定のイメージ群を、過剰に版画に刷ることによって表出していきます。愛、嫉妬、別れをテーマにしたエドヴァルド・ムンクの版画や、内省的な世界観で楽曲制作するラッパーのカニエ・ウェスト、キッド・カディらのリリックを引用して制作します。そして漫画家の森田るりのイラストを使った新作も発表します。

山下拓也
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山下拓也
The Woodcut printings from the bedroom
2023

My Pick organized by CADAN

○会期   2023年2月28日(火)〜 3月12 日(日)
○営業時間:11:00-19:00、土日11:00-17:00 ○休廊:3月6日(月)
○会場:CADAN有楽町 (有楽町ビル1F)
○企画:CADAN(一般社団法人日本現代美術商協会)

○レセプション:3月9日(木)18:00-20:00
Supported by

CADAN有楽町では、毎年アートフェア東京のシーズンに合わせて「アートコレクション」をテーマにした展覧会を開催しています。
昨年は、主に個人の枠を超え、オフィスや店舗といった場所でアートを共有してコレクションを楽しんでいるコレクターにご協力いただきました。
第3回となる今回は、個人コレクションとはいえ多種多様な視点をもち、世代を超えて受け継がれていくようなコレクターの皆さんにフォーカスいたしました。どんな思いを込めて作品と向かい合っているのかを展示を通してご覧ください。規制概念を崩すような、新しい価値に出会えるかもしれません。

●My Pick Special Exhibition
コレクターが推薦するアーティストの作品を展示します。

<推薦者 – アーティスト> ※敬称略
桶田俊二・聖子 – 工藤麻紀子(小山登美夫ギャラリー)
佐野仁美 – Samak Kosem (nca | nichido contemporary art)
嶋津 充 – 須藤絢乃(MEM)
馬場栄傑 – 西村有(KAYOKOYUKI)
松田りな – 小林正人(シュウゴアーツ)

●”Art in an International Environment/アートフェア編”
CADANオリジナル動画の第三弾。CADANメンバーが世界のアートフェアをカレンダーでご紹介!
https://www.youtube.com/@cadanofficialyoutube9341

高橋尚愛展「Calendar for Year 3015」by MISAKO & ROSEN

高橋尚愛展「Calendar for Year 3015」by MISAKO & ROSEN
会期:2023年1月31日(火)~2月19日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:MISAKO & ROSEN

この度、CADAN有楽町では、MISAKO & ROSENによる高橋尚愛展「Calendar for Year 3015」を開催いたします。

高橋尚愛は、1940年東京生まれ。現在はアメリカのバーモント州とパリを拠点にしています。60年代にヨーロッパに渡り、70年代よりニューヨークで活動してきました。2015年になり若手アーティスト奥村雄樹により、その活気にあふれたニューヨークのアートシーンの中で、高橋は数々のアーティストたちと交流し活動してきたことが明らかにされてきました。
今回発表されるカレンダーの作品は、近年MISAKO & ROSENが解き明かそうとしてきた高橋の活動への理解をさらに深めることとなるでしょう。

高橋尚愛/時間をめぐる覚え書き 2023年1月
《Calendar for Year 3015》(1972/2015)

未来に辿り着くこと/時間に追い抜かれること

未来を引き延ばすこと/ミレニアムをひとつ飛ばすこと
——

未来が現在に追い付いてしまったので1000年が追加されたカレンダー
——

その生涯、そしてアーティストとしての遍歴を通じて、高橋尚愛は時間の経過と手を取り合いながら──そしてまた、いわば時間の経過に立ち向かいながら──活動してきた。波乱に満ちた彼の人生の軌跡は、時間の経過によって形成されたのである。逆も然り。時間もまた、高橋と手を取り合い、そして高橋に立ち向かいつつ、その活動を続けてきた。

活動の最初期、まだ若い美大生だった高橋が手がけたのは、歴史ある戦艦を記念するコンクリート製の巨大モニュメントだった。それは今日、横須賀市沿岸の海底に横たわっている。邪魔になったのか、あるいは時代に求められなくなったのか、とにかく彫刻は海に沈められ、跡地は駐車場になった。深い海に飲み込まれ、摂り込まれたそれの捜索は、今日まで試みられていない。未来の情景──何百万年もの時を経て化石化した聖書が出現するさま──を描いたドローイング《Petrified Bible》と同じく、この沈んだ記念碑もまた、過ぎ去った時代を未来に対して証言する、高橋流のタイム・カプセルなのかもしれない。それが再び姿を現すには、数千年、いや数百万年の時間がかかるのだろう。

時間がバラバラの撚り糸で織り成されていることを示す事例がもうひとつある。かつて高橋は、画面全体が模様で覆われた絵画に取り組んでいたが、1960年代中頃にそれをイタリアで初めて発表したとき、注目を得ることはできなかった。ワイド・ホワイト・スペースというアントワープの画廊で数年後に開かれた個展においても、寄せられた関心は限られていた。そのあと一連の絵画は同画廊の倉庫に姿を消した。そこに身を隠し、忘れられ、40年に渡って留まりつづけた。後年、2013年になってようやく──奥村雄樹というアーティストのおかげで──それらは表舞台に再登場し、注目を受け、世界中に点在することになった。

ときに高橋は、時間の進展がもたらす遅延に応じて、その流れに調整を加える。1972年、彼は西暦2000年という遠い未来のカレンダーを作ろうと思い立ち、まずはその準備として、溶剤を介して様々な既製のカレンダーのインクを月ごとに12枚のワックス・ペーパーへ転写した。彼が念頭に置いていたのは、1972年の暦が次に使われるのは2000年である──どちらも閏年なのだ──という事実だった。しかし結局、計画は実現されなかった。カレンダーは作成されず、ゆえに使用もされないまま、当の西暦2000年が到来してしまった。高橋が12枚の紙を再び引っ張り出したのは、準備から40年もの月日が流れた2015年、アムステルダムのアネット・ゲリンク・ギャラリーにおける展覧会のためだった。ようやく当初の計画が完了したわけだが、とはいえ重大な改変が加えられていた。とっくの昔に西暦2000年が過ぎていたため、西暦3015年という更に遠い未来へとカレンダーの年数が移行されたのである。

《Calendar for Year 3015》に現出しているのは、循環的な時間との戯れである。そこでは、過去のアイディアが再活性化され、現在へと運び込まれ、未来へと指し向けられている。それは再利用の反復であり、過去の再活性化であり、そしてもしかしたら、過去になることへの拒絶である。

本作に見て取れるのは延々と循環を続ける時間という考え方だが、そこから私が想起したのは次の短い覚え書きだった。1976年にサイ・トゥオンブリがタイプライターで打ち込んだ、高橋宛の一節である──「自然の偏執性とアーティストの執念だけに見受けられるロマンティックな連続体」。

経年変化によって脆くなったその黄色い紙に遭遇したとき、私は手つかずのまま箱に詰められていたヒサチカ発/宛の書簡──個人的なハガキ、手紙、殴り書きのメモ──を調べていた。場所はラファイエット通り381番地、ラウシェンバーグ財団のアーカイヴである。それは、活気に溢れた1970年代ニューヨークのアートシーンと密接に関わりながら、ヒサチカが40年近い歳月を過ごした建物でもある。

トゥオンブリが言うようなロマンティックな連続体は、段階的に変化していく自然の循環性においてのみ見知られているものだが、彼の見方によればそれはアーティストへと転移するのだ。それはアーティストの本質主義的な偏執性と無条件の不屈性において現出する。アーティストとしての実践の探究には持久力が、何度でも最初からやりなおす意志が必要となるのだ。連続体というコンセプトは、高橋の仕事の何たるかを照射するようでもある。彼は繰り返し過去に手直しを加える──新旧を往来し、過去を未来へと投射しながら。高橋は過去、現在、未来の間に齟齬をもたらし、非同期的な時間の糸を紡ぐ。彼に誘われ、私たちはそれをひとつずつ辿り直していく。

ソフィー・ユグナン

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主な展覧会
2018「視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品」国立国際美術館、大阪(グループ展)
2016「トーマス・デマンド: L’Image Volee」プラダ財団、ミラノ(グループ展)
「奥村雄樹による高橋尚愛」銀座メゾンフォーラム、東京(グループ展)
2015「Hisachika Takahashi Annotated by Yuki Okumura: Memory of Past and Future Memory」アネット・ゲリンクギャラリー、アムステルダム(2人展)
2013 プロジェクト・ルーム、ヴィールズ・コンテンポラリー・アート・センター、ブリュッセル(個展)
「フロム・メモリー:ドロー・ア・マップ・オブ・ユナイテッド・ステート」ショーン・ケリー・ギャラリー、ニューヨーク(個展)
「ヒサチカ・タカハシ:アントワープ 1967 / ブリュッセル 2013」エキシビション・リサーチ・センター、リバプール(個展)
1987「フロム・メモリー:ドロ ー・ア・マップ・オブ・ユナイテッド・ステート」タンパ美術館、タンパ、フロリダ(個展)
1967 ワイド・ホワイトスペース、アントワープ(個展)

刊行物
2015 高橋尚愛「From Memory Draw a Map of the United States」Hatje Cantz刊
ルーシーリパードによるエッセイ、マルシアE ヴェトロックによるインタービュー

パブリックコレクション
メニル財団、ヒューストン
ダラス美術館、ダラス
フォーリンデン美術館、ヴァッセナール
国立国際美術館、大阪