田内万里夫個展「MARIO」by Gallery Yamaki Fine Art

(Top image) photo: Daisaku OOZU

田内万里夫個展「MARIO」
2022年8月9日(火)- 8月28日(日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金 11:00-19:00 / 土・日 11:00-17:00 定休日:月曜日
企画:ギャラリーヤマキファインアート

●アーティストトーク
8月9日(火) 18:00-18:30
参加無料、予約優先(15名)
*Peatixからご予約ください。
https://cadanarttalkgalleryyamakifineart.peatix.com/
*CADANのインスタアカウント(@cadan_insta)からもライブ配信します。

●オープニング
8月9日(火)18:30-20:00

●音楽 LIVE
8月11日、13日、14日、21日、28日(詳細は下段に↓↓)

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このたびCADAN有楽町では、神戸を拠点とするギャラリーヤマキファインアートによる田内万里夫個展「MARIO」を開催いたします。

田内万里夫は、1973 年埼玉県生まれ、1998 年にテンプル大学教養学部英文学科卒業しました。現在は東京を拠点に活動、自らの身体から出てくる形を“曼陀羅”として制作し続けています。幼少期よりフランス、オーストラリア、アメリカ等で過ごし、トライバルアート、サイケデリックアート、ストリートアートに触れ、2001年より現在のイメージを得て、絵を描き始めました。以降、東京、ニューヨーク、ロンドン、アムステルダム、フランクフルト、香港など、国内外で活動を展開しています。また、作品としての発表をおこないながら、音楽家や詩人、パフォーマーとのライブ・パフォーマンス、店舗等の壁画制作、書籍の装画など幅広く活動をする注目の作家です。

曼陀羅という東洋の精神性をともなう伝統芸術と、抽象表現主義など、西洋の近現代美術の両者を融合させ、新たな視覚言語を生み出す田内の作品は、ストリートアートのエッセンスも取り入れながら、異なる伝統、文化、民族、宗教の境界を超えて共鳴するイメージを描き出します。田内にとって描くことは、線を引く行為であり、何が重要で何が不要か、社会について考える時間だと言います。作品の根底に流れる東洋的宇宙観は、現代を生きるわたしたちに、改めてこの社会を見つめ直すようにと静かに語りかけるかのようです。

本展では、会期中にギャラリーの窓に描くライブ・パフォーマンスを予定しています。その日の心境や天気、様々な背景を持つ人々との交流など、内外界にある共存と対立、調和と拮抗の全てを飲み込みながら増殖し、一つの形に留まらず変容していく田内のパフォーマンスは必見です。この機会に是非ご高覧下さい。

 

【略歴】
1973年 埼玉県で生まれる
1998年 テンプル大学教養学部英文学科卒業
現在、東京在住

【近年の主な個展】
2022年 MARIO – CADAN有楽町 (東京)
2019年 Mario Mandala – HACO NYC (ニューヨーク)
2018年 Mario Mandala展 – Tobin Ohashi Gallery (東京)
2010年 Mario Mandala展 – ギャラリーヤマキファインアート (神戸)
2007年 Psyche-Ga-Delic – Magic,Room?? (東京)

【近年の主なグループ展】
2022年 Revolú Gallery (ニューヨーク)
2021年 In the meanwhile… – HACO GALLERY(ニューヨーク)
2020年 JR EAST meets ART @ Takanawa Gateway Fest (東京)
2019年 コレクション展 – ギャラリーヤマキファインアート (神戸)
2009年 メークリヒカイトII – ラディウム/レントゲンヴェルケAG (東京)

【コミッションワーク/パフォーマンス】
2018年 モーラム酒店/壁画(東京)
2016年 DADA100 – Mameromantic (東京)
2014年 ショーウィンドウ作成/ライブパフォーマンス
– American Book Center (アムステルダム)
2012年 キース・ヘリング展 LOVE POP! 壁画プロジェクト/伊丹市立美術館 (兵庫)
2011年 Bar Rinne/壁画 (東京)
2010年 Knst Oktoberfest c/o レントゲンヴェルケAG/八重洲不二家ホテル (東京)

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●音楽 LIVE スケジュール
*入場無料
*ミュージックチャージ: 投銭制
*いずれの回も午後3時ごろ開演予定

(1) 8月11日(木・祝)高岡大祐(チューバ)ソロ
(2) 8月13日(土)高岡大祐(チューバ)+ 赤い日ル女(ヴォイス)
(3) 8月14日(日)高岡大祐(チューバ)+ 潮田雄一(ギター)
(4) 8月21日(日)佐々木彩子(うた・ギター・キーボード)ソロ
(5) 8月28日(日)高岡大祐(チューバ)+ 桜井芳樹(ギター)

◆演奏家プロフィール

● 高岡大祐:8/11(木・祝), 13(土), 14(日), 28(日)
チューバ奏者。即興演奏とジャズ、音響的な側面を持つアコースティック / エレクトロニクス的な演奏形態を中心とする。独自に開発した数多くの特殊奏法を駆使し、アコースティックでの表現を追求、吹奏の限界拡張に挑戦中。現在、ソロでの活動とともに、板橋文夫オーケストラ、渋谷毅エッセンシャルエリントン、華村灰太郎カルテット、桜井芳樹ホープ & マッカラーズ、自身のリーダー・バンド Dead Man’s Liquor など即興演奏と並行してジャズやポップスのフィールドでも活動中。

● 赤い日ル女:8/13(土)
ヴォーカリスト。自作曲を歌うほか即興演奏もおこなう。ソロパフォーマンスのほか、コンピュータ奏者のカール・ストーンとのデュオ・プロジェクトをでアジア諸国や米国での公演など幅広い音楽活動を展開。

● 潮田雄一:8/14(日)
ギターと、たまに歌。これまでに通算四枚のソロアルバムをリリース。近年は即興的演奏もおこない、突囲表猫(林栄一as.潮田雄一g.岩見継吾ba.永田真殻ds )のメンバーでもある。Noahlewis’ Mahlon Taits、王舟、VIDEOTAPEMUSIC、奇妙礼太郎、池間由布子、alfred beach sandalgo fish、等にもギタリストとして参加している。

● 桜井芳樹:8/28(日)
音楽家/ギタリスト。「ロンサム・ストリングス」、「ホープ&マッカラーズ」を主宰するほか、アレンジやプロデュースもおこなう。

● 佐々木彩子:8/21(日)
うた、ピアノ、ギター。ジャズ喫茶メアリージェーン、京都 Jazz in ろくでなし、ゴールデン街で遊び働きながら成人。舞踏オーケストラ「大豆鼓ファーム」、劇団「風煉ダンス」、「イヌイットイヌーク」、「渋さ知らズ」などで活動。地底レコードよりアルバム『あおいとこ』『空』を発表。

Distorted Images by SNOW Contemporary

top image: 雨宮庸介 展示風景 / 個展「H&T. A,S&H. B&W. (Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.)」2021, SNOW Contemporary 撮影:木奥恵三

2022年7月20日(水)- 8月7日(日)
参加作家:雨宮庸介、飯沼英樹、ヒシャム アキラ バルーチャ、日野之彦、布施琳太郎 HITOTZUKI 他
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金 11:00-19:00 / 土・日 11:00-17:00 定休日:月曜日
企画:SNOW Contemporary

■オープニングパーティー
7月22日(金)18:30~20:00

■トークイベント「若手アーティストにとって『成功』とはなにか?」
7月22日(金) 17:30~18:30
出演: 布施琳太郎(アーティスト)、窪田研二(SNOW Contemporary共同ディレクター)
参加無料、予約優先(15名)
*Peatixからご予約ください。
https://cadanarttalksnowcontemporary01.peatix.com/
*CADANのインスタアカウント(@cadan_insta)からもライブ配信します。(アーカイブなし)

この度、CADAN有楽町は、西麻布を拠点とするSNOW Contemporaryによるグループ展「Distorted Images」を開催いたします。

出品作家の1人である雨宮庸介は自身の作品を、「最も毒の無いテーマを扱っている体裁を丁寧に整え、気付かれずに軽量の爆弾を持ち帰らせるような仕組みを常に考えている」(2018年SNOW Contemporary個展・ステートメントより抜粋)と言明しています。例えば彼の代表作でもある溶けたりんごの彫刻作品「apple」は、日常における普遍的な形状のりんごに「溶ける」というズレを加えることで、鑑賞者に対し、この世界の多重な認識の在り方を感知させます。

本展にて発表する作家はいずれも、この世界における生活から小さな歪み(Distorted Images)を感じ取り、それぞれに独自の視点で作品に昇華しています。本展「Distorted Images」を通じて、多様でありながら現実世界に対する鋭い批評性と想像力を兼ね備えたSNOW Contemporaryの作家たちを知っていただく機会となれば幸いです。

雨宮庸介 展示風景 / 個展「H&T. A,S&H. B&W. (Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.)」2021, SNOW Contemporary 撮影:木奥恵三

●雨宮庸介
1975年茨城県水戸市生まれ。1999年多摩美術大学美術学部油画専攻卒業後、2011年に渡欧し、2013年にサンドベルグインスティテュート(アムステルダム)修士課程修了。主な展覧会に「六本木クロッシング2010展;芸術は可能か?」(2010/森美術館)、「国東半島芸術祭-希望の原理」(2014/国東半島、大分)、「Wiesbaden Biennnale」(2018/ヴィースバーデン、ドイツ) 、「未来を担う美術家たち 20th DOMANI・明日展」(2018/国立新美術館)、「Reborn-Art Festival 2021-22」(宮城県石巻市)などがあり、彫刻や映像インスタレーション、パフォーマンスなど、さまざまな手法を用いて日常では意識されない普遍的な事象における境界線の再考を促すような作品を制作しています。

飯沼英樹 展示風景 / 個展「闘ウ女神タチ」松本市美術館(長野)2016

●飯沼英樹
2002年愛知県立芸術大学大学院卒修了後、ナント国立美術大学(フランス)に入学し、2006年までヨーロッパ各地を拠点に活動。日本帰国後の近年は、六甲山に屋外展示をした「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2013」や新宿LUMINE内を彩った「LUMINE meets ART AWARD 2015」、木彫作品約120点を出品した松本市美術館での大個展「戦ウ女神タチ」(2016)など、既存のアートスペースにとらわれない様々な場所と機会で作品を展示。最新のファッションに身を包みしたたかに現代を生きる女性の強さを一貫して表現する飯沼の華やかで都会的な世界観は、発表の度に大きな話題となってきました。時代の空気感も含めて表現された作品からは、社会に対する独自の解釈が提示されています。

ヒシャム アキラ バルーチャ「Mind Expansion」 2022

●ヒシャム アキラ バルーチャ
現在、ニューヨークを拠点に活動するHisham Akira Bharoocha (ヒシャム アキラ バルーチャ)は、日本人の母とビルマ人の父を持ち、幼い頃から家族とともに東京、トロント、ロサンゼルス、サンディエゴと、様々な街を移り住んできました。その後、1998年にニューヨークのロードアイランド・スクール・オブ・デザインを卒業します。在学中から音楽やビジュアルアート、デザイン、ファッション、写真など様々なフィールドで活躍してきたバルーチャの作品は、インスタレーションから壁画、ペインティング、コラージュ、写真、パフォーマンスと多岐にわたります。緻密にコントロールされた色彩の重なりと線が作りだすスペースによって構成されるパターンを背景に、意表をついた自由な空想世界のモチーフが独自の躍動感を持ち、観る者の身体感覚にリズムを刻むバルーチャの世界観は、無意識のイメージや過去の体験、夢と現実が混在しており、自身の幼少時の思い出や、音楽や写真、ウォールペインティングなど身体性を伴う様々な分野で活動している経験から培われたのであろうことが伺えます。

日野之彦「透明の膜」2022

●日野之彦
1976年に石川県輪島市に生まれ、2001年に筑波大学大学院を修了した日野之彦は、2005年のVOCA賞受賞を機に、インパクトの強い人物像が多くの人に知られることとなりました。うつろに見開いた大きな瞳、半開きの口、幼児的なポーズ、白いブリーフを着ただけの裸体など、言いようのない不安定な人物像を、技術に裏付けされた精緻な描写で描き出すことで、静謐な狂気を孕んだ濃密な絵画作品を制作しています。近年は、自身の作品のアイコンとも言える人物像を排除した静物画や風景画、ドローイング、水彩、色鉛筆など様々なメディアやブロンズでの立体作品など様々な表現に挑みながら、独自の表現世界を発展させています。主な個展に、2022年「窓辺」(SNOW Contemporary)、2010年「Wandering and Questioning」(上海美術館)、2011年「日野之彦 ー そこにあるもの」(上野の森美術館)など。

布施琳太郎「Retina Painting」2022

●布施琳太郎
1994年、東京都生まれ。2019年、東京藝術大学大学院映像研究科(映像メディア学)修了。急速に発展するメディア環境下に生きる人間の認知や慣習、それによる社会と人の距離やコミュニケーションのあり方など、可視化されないが実存する意識変容や違和感を、絵画や映像、iPhoneや印刷などの多岐に渡るメディアを用いながら、巧みに顕在化させた作品を発表。また、展覧会企画、批評などの他分野において意欲的な活動を行っています。
主な個展に「名前たちのキス」(SNOW Contemporary、2021)、主な展覧会企画に「惑星ザムザ」(小高製本工業跡地、東京、2022)、「沈黙のカテゴリー」(クリエイティブセンター大阪、2021)、「隔離式濃厚接触室」(ウェブページ、2020)、「iphone mural(iPhoneの洞窟壁画)」(BLOCK HOUSE、2016)など。参加展覧会に「Reborn-Art Festival 2021」(荻浜、2021)など。『美術手帖』や『現代詩手帖』、各種Webメディアに寄稿多数。

 

HITOTZUKI 展示風景「水戸駅前壁画プロジェクト」2019

●HITOTZUKI
HITOTZUKIは、独自に作家活動をしていたアーティストのKAMIとSASUが1999年に結成したユニットです。2000年にニューヨークを拠点として活動するアーティスト集団「Barnstormers」での壁画制作のプロジェクトに招聘され、その後はヨーロッパ各国のミュラルムーブメントに参加。ストリートカルチャーの中で育ち、スケートボードの軌跡にインスパイアされて生まれた力強く明快なKAMIのラインと、80年代のサブカルチャーや人間性心理学に影響を受けたSASUのポップな色彩とシンメトリーな形状がミックスされたHITOTZUKIのスタイルは、華やかでダイナミックな個性と、親密で暖かみのある世界観が共存し、確固たる存在感を持って日本のストリート・アートシーンを牽引してきました。HITOTZUKIが主に制作拠点としているのはビルの外壁や、建築物の内部空間です。周辺の風景と一体化する彼らの作品は、壁画が芸術として受容されている欧米を中心に、アジアをはじめ世界各地で高い評価を受け、多くの新たな風景を創出してきました。

石塚元太良 / 小林万里子 / 田窪恭治 by KOTARO NUKAGA

2022年6月28日(火)-7月17日(日)
出展作家:石塚元太良、小林万里子、田窪恭治
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金曜日 11:00-19:00 / 土曜日・日曜日 11:00-17:00 定休日:月曜日
企画:KOTARO NUKAGA

■ART TALK supported by CVJ
2022年7月2日(土) 11:30- 約30分間
出演: 石塚元太良(アーティスト)、額賀古太郎(KOTARO NUKAGA)
会場:CADAN有楽町
参加無料、予約優先(15名)
Peatixからご予約ください。https://cadanarttalkkotaronukaga02.peatix.com/
*@CADANのインスタアカウント(@cadan_insta)からもライブ配信します。

この度、CADAN有楽町では、六本木と天王洲を拠点とするKOTARO NUKAGA による展覧会「石塚元太良 / 小林万里子 / 田窪恭治 by KOTARO NUKAGA」を開催します。

Gentaro Ishizuka

大型フィルムカメラを手にアイスランドやアラスカといった極地方へ足を運び、自然やそこに在る人工物や遺構を撮影してきた石塚元太良。世界の全てをイメージとして平面的に見るデジタル写真の時代に、石塚は別の目で見る世界の姿を私たちに経験させてくれます。本展では、ル・コルビュジエが設計したフランス、リヨン郊外に聳えるラ・トゥーレット修道院の回廊と採光部のルーバーを捉えた作品を展示します。このルーバーの意匠は現代音楽家で建築家でもあるヤニス・クセナキスによって手掛けられ、その不均等なデザインをクセナキスは「オンドュラトワール(波状の)」と名付けました。ルーバーが落とす光の影は、静かな祈りの空間でクセナキス独特の旋律を奏でるのです。

 

Mariko Kobayashi

小林万里子は、織る、染める、編む、刺す、といったさまざまなテキスタイル技法を組み合わせた作品を制作し、世界に存在する様々な結びつきを表現します。有機的な形と自然に還る素材を用いて植物や生き物を描き出すことで、再帰性に溢れた自然世界の循環を色鮮やかに描き出し、我々が「人」として生きる「今」という時間を繙きます。本展では、循環の一部を成す生き物たちとそれ取り巻く宇宙を表現したテキスタイルと立体作品を初展示します。些細な気づきを大きな物語へと繋げる小林の作品から、私たちは生命の本質的な姿を感じるでしょう。

 

 

 

Kyoji Takubo

ポストもの派世代を代表するアーティスト・田窪恭治は、作家が制作を終えた後も表現の現場として存続する「風景芸術」をテーマに発表してきました。約10年の歳月をかけたプロジェクトである、フランス、ノルマンディ地方の小さな村に500年前に建てられたサン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂(通称 林檎の礼拝堂)の再生では、「林檎の礼拝堂」完成後フランス政府から芸術文化勲章オフィシエを授与され、芸術作品としての重要性のみならず、地元地域との長期にわたる共同作業が高く評価されました。本展では、《林檎の礼拝堂》(1996年完成)以降、田窪の代表的なモチーフとなった「林檎」を和紙に描いた平面作品とモザイク作品を展示します。風景のなかに自然と溶け込む林檎は、和紙の繊細さと大胆な筆が重なることによって姿を変え、豊かに実ります。

UNDULATIONISM by MORI YU GALLERY

2022年6月8日(水)-6月26日(日)
出展作家:黒田アキ、河合政之、藤原康博、小栁仁志、西山修平、世良剛、浜崎亮太、AKI LUMI
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金曜日 11:00-19:00 / 土曜日・日曜日 11:00-17:00 定休日:月曜日
企画:MORI YU GALLERY

【オープニングパーティー】
6月11日(土)16:00〜18:00
作家を囲んでささやかながらオープニングパーティーをいたします。
お時間ございましたら足をお運びください。

【ヴィデオアート上映 Video Art Screening】
MORI YU GALLERY 出品のヴィデオ・アーティストによる作品上映。
Video art works by artists presented by MORI YU GALLERY.

2022年6月24日(金) 開場19:00、開演19:20
June 24th, 2022, Open 19:00, Start 19:20

入場無料/定員15名/予約優先
こちらからご予約ください。
https://cadanyurakuchomoriyugalleryscreening.peatix.com/

上映作品 Works/作家 Artists→Screening_Program

*作品によって明滅や政治的な内容を含む場合があります。
*Some works may contain flashing lights or politically sensitive contents.

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この度、CADAN有楽町では、京都を拠点とするMORI YU GALLERYによるグループ展、「UNDULATIONISM」を開催いたします。

「UNDULATIONISM」は造語です。翻訳するとすれば、「波動」主義とでも訳せましょうか。「UNDULATION」とは、真っ平らでflatなものではなく、揺れており、起伏があり、そこには「NOISE」が含まれ、否、「NOISE」から生まれてきたといえるでしょう。

「NOISE」という難解な言葉から始めましょう。「Noise(ノワーズ)」という言葉は、マーグ画廊の創業者であるエメ・マーグ(Aimé Maeght, 1906-1981)の死後、1985年に、デリエール・ル・ミロワール誌を引き継ぐ形で創刊されたマーグ画廊の新しい美術誌のタイトルとして使われていました。編集長には、マーグ画廊の黒田アキ(Kuroda Aki, 1944-)。「ノワーズ」は黒田の友人であるフランスの哲学者、ミッシェル・セール(Michel Serres,1930-)の「NOISE」論に依拠し、黒田自身が名付けました(1985年5月発行の創刊号から1994年の18/19合併号まで全17冊発行)。

さて、中沢新一氏によると、「ノワーズ、それは古いフランス語で「諍(いさか)い」をあらわしている。バルザックはこの古仏語の語感を利用して、「美しき諍い女 la belle noiseuse」という存在を創造した。しかし、ノワーズのさらに古い語感を探っていくと、異質領域から押し寄せてくる聴取不能な存在のざわめきのことを、言い当てようとしているのがわかる。不安な波音を発する海のしぶきとともに出現するヴィーナスの像などが、そのようなノワーズの典型だ。ヴィーナスは海の泡から生まれたとも言われるが、またいっぽうではその泡は男女の交合の場所にわきたつ泡だとも言われる。いずれにしても、それは世界の舞台裏からわきあがってくる不気味なざわめきにつながっている」 (中沢新一『精霊の王』-第五章 緑したたる金春禅竹-より)。

前置きが長くなりましたが、所謂ノイズと言われるものと全く「NOISE」は違うのです。そうした「NOISE」が変化したものを我々は「波動」、「UNDULATION」と名付けてみましょう。

Masayuki Kawai

例えば、今回出展する作家である河合政之は、アナログのシステムを駆使する映像作家です。デジタルでは有用なシグナルのみを用いるが故に、捨象されてしまうノイズをもフィードバックという運動で展開される閉回路に取り込み、シグナルとノイズという二元論を超越した「たんなる物質とは違うもの」へと見事に変換させてしまいます。河合はフィードバックという手法によって、モダニズム的な自己言及性では無く、内在と超越の両者を切断しつつも接続する「NOISE」という概念を体現している作家と言えるでしょう。アナログにしかなし得ない、非連続の連続とでもいえる可能性を初めて開いた思想を携えた作品群がART BASEL HONGKONGで高く評価されたことは記憶に新しいでしょう。「NOISE」は、 存在論的には所謂シグナルとノイズとの間にあり、時に接続し、また時に切断されるのですが、その中で「NOISE」は違う状態へと超越するのです。それは主体と客体、個人と社会、過去と未来、シグナルとノイズといった両者を接続しつつ切断し、たんなる物質とは違う、先の例えのようなビーナスへと変容していきます。そして、それはまた日本の文化的特長とも言える空間的、時間的な余白、空白といった「間」(ま)の意味も纒うといえるでしょう。

 

藤原康博

藤原康博は、様々な山を描くことで知られた作家です。「私の作品は、崇高なものには程遠いものですが、自分の記憶から何かを少しずつ加えつつ、何かを削ぎ落としていくように描いていきます」と語ります。山がまだ山という名称さえなかった太古の時代に存在していたそれと、藤原自身の記憶の底から導かれた山の表象と、その「間」(ま)に存在するimage、つまり「NOISE」から生み出された「UNDULATION」を描いていると言えるのではないでしょうか。それは、現実と人の記憶の間と言ってしまえば、写実絵画の説明のようなあたりまえの話になってしまいますが、藤原の絵画に在る「間」とは大きな違いがあります。彼の絵画はactualな山と潜在的な山との「間」にある山であり、質の違いを獲得しつつ、空間だけでなく、時間を含んだものとしても描かれています。山の白いimageは、時間の「間」で浮遊するかのように、物質性を強調する支持体としてベニヤ板の上に描かれた時、記憶よりactualな山に近づきつつもその「間」を保ち、映像のように揺蕩っています。また一方、山のimageは、キャンヴァス上に描かれた時、自身の記憶により近いものですが、actualな意味からも離れすぎないimageとして、時間と共に「在る」と言えるでしょう。我々鑑賞者は、誘われるように、空白としてのその「間」にいつしか没入し、自らの記憶における山と藤原の描く山とを比較し、彼の潜在的な思考と、現実的な自然における山との対峙によって、さらなる迷宮へと誘われます。

藤原は、国立国際美術館(大阪)で開催中の展覧会「感覚の領域  今、経験するということ 」に出品していました。ここでの作品の多くには、2020年に網膜剥離を発症した彼自身の経験が盛り込まれています。部屋の中のベッドや布団といったものと窓から見える外の風景が綯い交ぜになったような絵画には、今まで存在していた家という内部と外部の境界が脆くも崩れ去ったような風景が描かれています。遠くにあるはずの山のimageが家の中の布団の山のimageと重なり、違和感なく鑑賞者の眼前にあって、そこにあった山とここの布団の山が同時に立ち上がり一つになっている絵画と受け取れます。これは、藤原が網膜剥離を患う以前から制作してきたベニヤ板に描かれた山と、キャンヴァスに描かれた山とが重なったようなものともとれるでしょう。治療、療養後に描き出した作品が、さきほど説明したimageの難解さを理解し易いものにしたとも解釈できるでしょう。我々鑑賞者が理解可能で写実的、つまりactualなものと藤原自身の潜性的なものの「間」にあるimageは、藤原が「記憶の奥行き」と語る「眼には見えない記憶の谷」にこそ「在る」のです。そのimageこそが、「NOISE」から生み出されたところに在る「UNDULATION」ともいえるでしょう。

Aki Kuroda

そして黒田アキ。彼は、日本では1993年には東京国立近代美術館にて個展を開催しました。彼は、1970年代後半、パリ・ビエンナーレにおいて発表された「conti/nuit/é」(連続の中の夜)という絵画において、モダニズムを超えていこうとする新しき絵画として評論家に評されました。キャンヴァス上において、描かれた黒い線がすっと伸びていくその先で、時に線が縺れ、その縺れた線があるかたち(figure)となって現れてきます。「連続するもの」(「conti/nuit/é」)という「間」(ま)にあって、フランス語は「夜」(「nuit」)を意味する言葉を含みます。連続する時間と線が、ふと縺れて「夜」というかたち(figure)になる。「夜」は一体いつから始まり、終わるのか判然とせぬまま、過去からも未来からも切断されつつ接続され、また時にそれは連続する時間から逃げ果せ、意味を輝かせるのでしょう。黒田の意味する「夜」は線の縺れから生じ、それはまさに「夜」という「NOISE」から生み出された「波動」、「UNDULATION」として「figure」=人型としてキャンヴァスに描かれています。後年、「連続する夜」(「conti/nuit/é」)というコンセプトは、シュルレアリスムに影響を受けたミノタウロスと繋がり、80年代から描かれてきたシャープで美しき人型ではなく、ミノタウロスと黒田アキの自画像とが綯い交ぜとなった顔として、激しい筆致により、キャンヴァスに描かれています。それはまさに「NOISE」から生み出された「UNDULATION」を語るに相応しい作品でしょう。

今回は、「UNDULATIONISM」という造語を掲げるに相応しいこの3人を中心に、小栁仁志、西山修平、世良剛、浜崎亮太、AKI LUMIなどの作品を展示いたします。どうぞご高覧ください。

MORI YU GALLERY
森裕一

KATHLEEN JACOBS by Fergus McCaffrey Tokyo

2022年5月17日(火)-6月5日(日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金曜日 11:00-19:00 / 土曜日・日曜日 11:00-17:00 定休日:月曜日
企画:ファーガス・マカフリー 東京

同時開催:
2022年5月21日(土)– 7月16日(土)
オープニング・レセプション 2022年5月21日(土)5 – 7pm
会場:ファーガス・マカフリー 東京

Kathleen Jacobs, Clearing 72, 2011, Oil on linen

この度、CADAN有楽町では、NYを本拠地とし東京・表参道にスペースを構えるファーガス・マカフリー東京によるキャスリーン・ジェイコブスの個展を開催いたします。

木の幹にキャンバスを巻き、その樹皮の模様を写しこむ独特の方法で制作されるジェイコブスの作品は、対象の樹木が生息する自然環境、そしてその変化の経緯を布地に取り込むことで生み出されます。平面作品の枠を超える彼女のコンセプチュアルな絵画作品は世界中で注目を集め、30年以上にわたる作家活動を通し、ジェイコブスはアメリカ国内外の様々な会場で作品を発表してきました。

中国の明代初期の秋冬の山水画を連想させ、余白の多いミニマルな画面に途方もなく広がる距離を感じさせる彼女の絵画空間は、1984年から88年にかけ元義父であり中国の人間国宝と言われる画家、黄永玉(ホアン・ヨンギュ)と暮らし中国伝統美術を学んだ経験に根付いており、彼女は「14世紀から16世紀の絵画や漢詩の途方もないスケールの捉え方に触発された」と語っています。わずかな筆墨と線で多くを表現する簡素な視覚言語、また石に刻まれた古代文字の拓本を手本に書を学習した経験は、独自の樹木を用いるフロッタージュ技法へとつながって行きます。

彼女にとって初となるアジアでの展覧会はファーガス・マカフリー東京、CADAN有楽町の2会場開催となります。ファーガス・マカフリーでは主に絵画の大作、CADANスペースでは比較的サイズの小さな絵画作品および2012年制作の立体作品展示を予定しています。

Kathleen Jacobs, Clearing 2, 2011, Oil on linen

●キャスリーン・ジェイコブス Kathleen JACOBS
キャスリーン・ジェイコブスは1958年緑豊かなアメリカ・コロラド州に生まれる。ボストンのパイン・マナー・カレッジで学んだのち、1980年イタリア・ミラノに渡りグラフィックデザインを学ぶ。その後、中国と香港に移住。4年間の滞在中、義理の父、また著名な画家でもあった黄永玉に習い、書道の学習を通して、様々な素材と技法を使用し点や線を通して模様を生み出す「マーク・メイキング」に没頭する。1988年世界各地での経験を踏襲し、その後ライフワークとなる木を題材とした作品の制作を始め、89年にアメリカに帰国。

当初、故郷コロラドの森に群生するヤマナラシを描いていた彼女は、「視覚」というフィルターを超え、より奥深く「面白い」方法で目の前の環境を制作に取り込むことはできないのか、と考えたという。そして樹木に直接、触覚的にアプローチする、独特で革新的な方法を初めて試みることになる。木の幹にペイントを塗ったキャンバス、麻布を巻きつけ、その上から何層もオイル・スティックや絵の具を塗り込み、そして雨風に晒す。それを数日から、長い時には数年に渡り繰り返す。その結果、キャンバスには二つとして同じもののない樹皮の模様が何層にも刻み込まれ、木が立つ空間と時間が染み込み、まるでその自然環境を触覚で感じ取れるような多層的な模様が生まれる。

 

Kathleen Jacobs, Clearing 118, 2011, Oil on linen

野外で老熟したキャンバスをジェイコブスはスタジオに持ち帰り、四角のストレッチャーに貼り直したのち、仕上げを施していく。色彩、模様、表面のテクスチャーは強い物質としての存在感を持ちながらも、とらえどころのない曖昧さも漂わせる。鑑賞者に理解を委ねる彼女の大型の作品は瞑想的な風景画のようにも、水面をとらえているようにも見える。

[FIGUR] 土肥 美穂 / ガブリエル・ハートリー / 寺内 曜子 by HAGIWARA PROJECTS

[FIGUR]
土肥美穂 / ガブリエル・ハートリー / 寺内曜子
Miho Dohi / Gabriel Hartley / Yoko Terauchi
2022年4月28日(木)- 5月15日(日)
April 28 (Thu) – May 15 (Sun), 2022
場所:CADAN有楽町
営業時間:火-金 11:00-19:00 / 土・日・祝 11:00-17:00 定休日:月曜日

■ART TALK supported by CVJ
2022年5月6日(金) 18:30- 約30分
出演: 寺内曜子(アーティスト)
進行: 萩原ゆかり(HAGIWARA PROJECTS)
会場:CADAN有楽町
参加無料、予約優先(15名)
Peatixからご予約ください。https://cadanarttalkhagiwaraprojects.peatix.com/
*@CADANのインスタアカウント(@cadan_insta)からもライブ配信します。

この度CADAN有楽町では、東京・森下を拠点とするHAGIWARA PROJECTSの企画による土肥美穂、ガブリエル・ハートリー、寺内曜子の3名による展覧会[FIGUR]を開催します。

土肥美穂は、様々な素材を組み合わせた彫刻作品を制作します。異なる種類の素材が調和と反発のバランスを絶妙に保ち、有機的な存在感を持つ作品です。土肥は素材一つ一つの形や質感、色がお互いに及ぼす作用を、あらゆる角度から見て検証しながら丁寧にすくい上げ、未知のものを作る可能性を探求します。本展では、「視ること」をテーマにしたドローイング作品を初披露します。

ガブリエル・ハートリーは、日々描き止めるスケッチや、写真を元に絵画を描きます。街並みや動植物の形は、画面上で抽象度を増し、さらに様々な技法で描かれた色とテクスチャーのレイヤーが、光や時間帯によって鑑賞者が知覚するイメージに変化を及ぼします。本展では、近作の色鮮やかな絵画を展示いたします。

寺内曜子は、当たり前と見なされている裏と表、内と外、善と悪といった対立概念への疑いを元に、彫刻作品を制作しています。今回展示する作品は全て、一枚の紙や鉛板に、何も足さず、何も引かずに、裏表の対立は無いことを、造形するのではなく、素材自身が必然的に成る形で証明し、「世界に対立関係はない」という自身の考えを伝えます。本展では、鉛を使った彫刻の中から、日本では未発表の2作品を含んで展示します。

三者の作品の形のあり方はそれぞれですが、現れている形を視ることで、その視覚体験が知覚を刺激し、豊かな鑑賞体験に広がることをぜひ体感してください。

土肥 美穂 “untitled” 2020、板、アクリル絵の具 (参考作品)
©Miho Dohi, Courtesy of HAGIWARA PROJECTS

●土肥 美穂 (どひ みほ)
2002年東京造形大学大学院彫刻科研究生修了。主な個展に、HAGIWARA PROJECTS (2021, 東京)、Gordon Robichaux (2021, ニューヨーク, 米国)、The Renaissance Society at the University of Chicago(online) (2020, シカゴ, 米国)、Crèvecœur (2020, パリ, フランス)、 「ショーケースギャラリー 土肥美穂」 横浜市民ギャラリーあざみ野(2020, 横浜)、Nonaka-Hill (2018, ロサンゼルス, 米国)、Lulu (2017, メキシコシティー, メキシコ)、 HAGIWARA PROJECTS (2016, 東京) など。 主なグループ展に、「Sweet Home」 (2021, CPM Gallery, ボルチモア, 米国)、 「Miho Dohi / Josh Brand」 (2020, La Maison de Rendez-Vous, ブリュッセル, ベルギー)、 「City Prince/sses」 Palais de Tokyo (2019, パリ, フランス)、 「Natsu no Tobira – curated by Jeffrey Rosen」 Shane Campbell Gallery (2017, シカゴ, 米国)など

 

ガブリエル・ハートリー 2022
©Gabriel Hartley

●ガブリエル・ハートリー (Gabriel Hartley)
1981年、イギリス・ロンドン生まれ。チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(ロンドン)で美術の学士号を取得。ロイヤル・アカデミー・スクールズ(ロンドン)を修了。近年の展覧会に「Postcards」imlabor (2021, 東京)、「OF」Seventeen (2020, ロンドン)、「Waterwood」 Foxy Production (2019/2020, ニューヨーク) 、「The Sleeping Procession」CASS Projects, Cass Sculpture Foundation (2018, サセックス、イギリス)、「Landscapes」 Seventeen (2018, ロンドン)、「Reliefs」Foxy Production (2016, ニューヨーク)、「A Rose Without a ‘why’, It blooms because it blooms」Carl Freedman Gallery (2016, ロンドン)など

 

寺内 曜子 “WHIRLPOOL (No. 3 of a series of 3 pieces)” 1991、鉛、7 x 13 x 10 cm
©Yoko Terauchi, Courtesy of Kanransha

●寺内 曜子 (てらうち ようこ)
1979-81年、セント・マ−ティンス美術大学(ロンドン) 彫刻科アドヴァンストコースに学ぶ。1979ー98年、ロンドン在住で作家活動。1999年以降、 東京在住。近年の個展に、「寺内曜子 パンゲア」 豊田市美術館(2021, 愛知県)、「寺内曜子展 満ち潮 引き潮」ふじ・紙のアートミュージアム (2021, 富士市, 静岡)、「スタンディング・ポイント1 寺内曜子」 慶應義塾大学アートセンター(2017, 東京)、「寺内曜子の赤と青」かんらん舎(2017, 東京)、「空中楼閣2010」愛知県立芸術大学サテライトギャラリー(2010, 名古屋, 愛知)など。近年のグループ展に、「15th edition triannual of sculpture」Campo & Campo (2022, アントワープ, ベルギー)、「空間の中のフォルムーアルベルト・ジャコメッティから桑山忠明まで」 神奈川県立近代美術館(2021, 葉山市, 神奈川)、「einblicke」 edition & galerie Hoffmann (2021, Friedberg, ドイツ)、「引込線/放射線」第19北斗ビル(2019, 所沢)、「MOT コレクション:ただいま/はじめまして」東京都現代美術館 (2019,東京)、 「MOMAT コレクション」東京国立近代美術館(2019, 東京)、 「From the Kitchen Table : Drew Gallery Projects 1984-90」Herbert Reid Gallery, UCA Canterbury (2018, 英国)、「Re:コレクションⅠ 美術館を(一足早く)解体する」愛知県美術館(2017, 愛知)など。

大野 綾子「みどりは草の色カマキリの色」by KAYOKOYUKI

大野綾子「みどりは草の色カマキリの色」by KAYOKO YUKI
2022.4.5 (火) – 24 (日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火-金曜日 11:00-19:00 / 土曜日・日曜日 11:00-17:00 定休日:月曜日
主催・企画:KAYOKOYUKI

この度、CADAN有楽町では、東京・駒込を拠点とするKAYOKOYUKIによる、石彫作家、大野綾子(おおの・あやこ)の個展「みどりは草の色カマキリの色」を開催いたします。

大野綾子はこれまで一貫して石を扱い、彫刻作品を制作してきました。植物や自然の風景、日常の行為などから着想を得たイメージは、石という物質を媒体として独特の「かたち」を獲得していきます。それは、石という素材にこだわり石彫の可能性を模索し続けてきた作家が見出した世界の「かたち」の認識に他なりません。

新作「みどりは草の色カマキリの色」は大野の3才になる子供の言葉に端を発しているといいます。草むらに潜むカマキリやそこから飛び出してくるカマキリは、子供の目を通して、さらには、子供だった頃の過去の記憶から表象された図像のように思われます。「シンプルな出来事から見たことのない新しい世界が広がる」という大野の言葉の通り、硬くて重い石でありながら軽快さを併せ持つカマキリは、重力や時間といった束縛を解放し、まるで未知のものに遭遇したかのような感覚にわたしたちを誘います。

しかしながら、木の破片や鉱物が混入した深岩石から彫り出された草やカマキリ、無垢のステンレスから削り出されたカマキリの痕跡は、気が遠くなるほどの長い時間と強固な物質性を思い出させ、否応なくわたしたちの前に立ちはだかります。軽さと重さ、自由と束縛、立体性と平面性などの相反するイメージの共生という特徴を持つ大野の作品は、無数のシンプルな事象が複雑に交錯しているこの世界の成り立ちに接続する扉のひとつとなり得るのではないでしょうか。

大野 綾子(おおの・あやこ)
1983年埼玉県生まれ、同県在住。女子美術大学芸術学部立体アート学科卒業後、東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程修了。
主な展覧会に、個展「ショーケースギャラリー 大野綾子展」横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川、2020)、「タイムライン —時間に触れるためのいくつかの方法」京都大学総合博物館(京都、2019)、個展「さかなのような人」KAYOKOYUKI(東京、2018)、「所沢ビエンナーレ[引込線]2017」旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉、2017)、「Reborn-Art Festival 2017 -Do sculptors Dream of electric car (TOYOTA prius) XYZ collectiveキュレーション」GALVANIZE gallery(宮城、2017)、「leave」秋山画廊(東京、2017)など。「第7回大黒屋現代アート公募展」大賞受賞(2012)、個展「さかなとして浸かる」板室温泉大黒屋 (栃木、2013)を開催。美術講座「暮らしの中にみるかたち」練馬区立美術館 (2014、東京)にてワークショップを開催。小豆島 千軒海岸(香川)、相模原公園(神奈川)、翠ヶ丘公園・須賀川(福島)などに作品設置。
http://ohnoayako.com/

建築のヴィジュアリティ Architectural Visuality by 5 artists (Gallery OUT of PLACE)

CADAN有楽町は、奈良を拠点とするGallery OUT of PLACEの企画による展覧会「建築のヴィジュアリティ Architectural Visuality by 5 artists」を開催いたします。

●開催概要
タイトル:「建築のヴィジュアリティ Architectural Visuality by 5 artists」
作家:ルシアン・エルヴェ、上須元徳、嶋田ケンジ、寺田真由美鷲津民子

会期:2022年3月15日(火) – 4月3日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:3月22日(火)、28日(月)
企画: Gallery OUT of PLACE

いわゆる建築家が、実際の地球上のある場所に建てる(建てた)構造物を、仮に「実存建築」と名付けるとしよう。
その一方で、ならば美術家を魅了し彼らが想像し描き出す構造物は「仮想建築」となるのかもしれない。
その間にあるのが写真家によって実際の建造物から切り取られた(トリミングされた)表象で、それらは「写真建築」と呼べるのかもしれない。

あらかじめ断っておくが、「実存建築」「仮想建築」「写真建築」は筆者の造語であり、
「実存建築」は実在する建築を意味しないし、「仮想建築」とは言っても空間を持たないわけではない。
そして当然ながら「写真建築」は「建築写真」とは全く違う概念である。

住めない建築、不条理な仮想空間などをキーワードに、
ル・コルビュジエの建築を多く撮り、独自のトリミングを施し発表し続けたルシアン・エルヴェ、
実在のドーム建築を抽象化し、銀塩写真の独特の階調を絵画に持ち込む上須元徳、
建造物の重厚で荒々しいテクスチャーと複雑な構造を陶で表現する嶋田ケンジ、
自作のミニチュアを写真に撮り、虚実が交錯する空間を表現する寺田真由美、
「飛ぶ家」をテーマに3Dと2Dの間を行き来するmixed mediaの鷲津民子、
以上の5作家の秀作、逸品を紹介いたします。

どうかこの機に、5作家による建築的異空間をお楽しみください。

■ART TALK supported by CVJ
「2000-2022 東京とNYの間で」
2022年4月2日(土) 11:30- 約40分
出演:寺田真田美 Mayumi Terada (美術家)、ケビン・バテルミ Kevin Bartelme(小説家)
司会:野村ヨシノリ(Gallery OUT of PLACE)
*@cadan_instaからインスタライブ配信

Gallery OUT of PLACE ディレクターの野村ヨシノリ氏がCADAN有楽町からNY在住のアーティスト寺田真田美氏を繋いでライブ配信します。
80年代に東京で立体作家として活動を開始し、2000年以降にNYに拠点を移し写真作品を発表している寺田氏の制作や、東京とNYのアートシーンについてお話しいただきます。また寺田氏のパートナーで小説家のバテルミ氏にもご登場いただき、近年のコロナ禍でのNYの生活や制作についてお聞きします。

鷲津民子 “Washizu Drawing no.12” 36x41x12cm, mixed media
Lucien Hervé / ルシアン・エルヴェ Chandigarh (Inde) La Haute-Cour #2 51x41cm photography
Kenji SHIMADA / 嶋田ケンジ “TS細胞の再構築” H37 x W22 x D21 cm 陶,炭化焼成
Mayumi TERADA/寺田真由美, “kitchen 011201″24 x 20 inch photography
Motonori UWASU/上須元徳, Dome, 2010, 130x194cm, acrylic on canvas

“My Pick” organized in association with CaM by Muuseo

アートフェア東京のシーズンに合わせて「アートコレクション」をテーマにした展覧会の第二弾を開催いたします。昨年は、主に自宅など個人的な場でコレクションを楽しんでいるコレクターにご協力いただきました。今回は、個人コレクションの枠を超え、オフィスや店舗といった場でアートを共有している5名のコレクターにご推薦いただいたアーティストの作品を各ギャラリーから出品し、展示いたします。

○会期   2022年3月4日(金) ‒ 13 日(日)
○営業時間:11:00-19:00、土日11:00-17:00 ○休廊:3月7日(月)
○会場:CADAN有楽町 (有楽町ビル1F)
○企画:CADAN(一般社団法人日本現代美術商協会)
○企画協力:CaM by Muuseo ○アドバイザー:深野一朗
○音声ガイド協力:ArtSticker

●My Pick Special Exhibition
コレクターが推薦するアーティストの作品を展示します。
<推薦者 – アーティスト>
阿部好世 (プティローブノアー、デザイナー) – Richard Aldrich (MISAKO & ROSEN)
大八木翼 (SIX INC.パートナー/bascule執行役員) – 鈴木理策 (タカ・イシイギャラリー)
竹内真 (ビジョナル株式会社 取締役 CTO) – 小西紀行 (ANOMALY)
成松淳 (ミューゼオ株式会社 代表取締役社長) – ミカ・タジマ (TARO NASU)
皆川伸一郎 (株式会社 ビーズインターナショナル代表取締役会長) – 空山基 (NANZUKA)
※敬称略

●”Art in a Domestic Environment/フレーム編”
CADANオリジナル動画「Art in a Domestic Environment」第二弾。フレームと一口に言ってもさまざまな種類があります。作品に適したフレームについてCADANメンバーがご案内します。
https://youtu.be/21D48zZf6GM

●CaM OVR(Online Viewing Room)
https://cam.muuseo.com/events/mypick2022

●音声ガイド
ArtStickerで本展作品について音声ガイドを公開中。

Richard Aldrich Untitled 2021 Oil and wax on panel 50.8x33cm ©the artist, courtesy of Misako & Rosen
鈴木理策 “16,4-22” 2016 Chromogenic print ©the artist, courtesy of Taka Ishii Gallery
ミカ・タジマ “Negative Entropy (Digital Ocean, NYC3, Server Rack Installation Technicians, Two-Tone Magenta, Single)” 2019 Cotton, polyester, nylon, rayon, wool acoustic baffling felt and wood ©Mika Tajima Courtesy of TARO NASU, Photo by Charles Benton, Private Collection
空山基 Sexy Robot _1/3 scale model_B 2016 Fiberglass reinforced plastics, iron, silver plating-tone air brush paint, cultured marble, ©the artist, courtesy of NANZUKA
小西紀行 “無題” 2021 Oil on canvas ©the artist, courtesy of ANOMALY

小松千倫、NAZE、西太志 -シらないともだち- by FINCH ARTS

CADAN有楽町は、京都を拠点とするFINCH ARTSの企画による小松千倫、NAZE、西太志の展覧会「小松千倫、NAZE、西太志 -シらないともだち-」を開催いたします。
本展では、芸術家・音楽家としてあらゆる感覚にアプローチする小松、ストリート的な手法を用い他者の中にある記憶を喚起するNAZE、社会的な事象に私的な想像力を重ね合わせた絵画・陶器を制作する西、3名の作品から想像力によって拡張する友愛の可能性を見たいと思います。知ることではなく知る可能性があることによる友愛を、心を通わせることが不可能な他者との共存を、いつか出会うシらないともだちの、過去に生きたものこれから生きるものについての想像力を。どうぞご高覧ください。

「小松千倫、NAZE、西太志 -シらないともだち-」by FINRCH ARTS
2022年2月8日(火)―2月27日(日)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
月曜日休廊
作家:小松千倫、NAZE、西太志
企画:FINCH ARTS

■ART TALK supported by CVJ
FINCH ARTS ディレクターの櫻岡聡氏がCADAN有楽町から各作家を繋いでアーティストトークをライブ配信します。
2月18日(金)18:30-19:00
出演:小松千倫、NAZE、西太志
*@cadan_instaからインスタライブ配信

 

小松千倫《Endless Summer》2021, サイズ可変, 流木、LED、麻紐、16chサウンド
撮影:竹久直樹

小松千倫|Kazumichi Komatsu
1992年高知県生まれ。音楽家、美術家、DJ。情報環境下における身体の痕跡と記録、伝承について光や音といった媒体を用いて制作・研究している。主な展覧会に『Silent Category 沈黙のカテゴリー』(CCO、大阪、2021)、『Standing Ovation|四肢の向かう先』(旧ホテルニューアカオ、静岡、2021)。パフォーマンスに「SonarSound Tokyo 2013」(STUDIO COAST、東京、2013)、「ZEN 55」 (SALA VOL、バルセロナ、2018)、「Untitled」 (Silencio、パリ、2018)、PUGMENT 「Purple Plant 」(東京都現代美術館、2019)などがある。

NAZE《NAZE》

NAZE
1989年茨城県生まれ。グラフィティカルチャーをベースに、触覚的な筆致で描かれるドローイング、スプレーやコラージュを用いたペインティングや、廃棄物を使ったオブジェ、テキスタイルワークなどの作品を制作。Contact Gonzoとしても活動する。近年の主な個展に「URAGAESHI NO KURIKAESHI」ANB Tokyo(東京/2021)、「Flowers」FINCH ARTS(京都/2020)、グループ展に「Slow Culture」京都市立芸術大学ギャラリーKCUA(京都/2021)、「minus tempo」PoL gallery(大阪/2020)などがある。

西太志《Head series-金の舌-》2021, 陶土、釉薬、金彩 撮影:前端紗季

西太志|Taishi Nishi
1983年大阪府生まれ。2015年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画 修了。静岡県在住。虚構と現実の境界や匿名性をテーマに、木炭によるドローイングから発展した絵画と、黒い陶土による陶作品や衣類に泥を塗り込み、焼成した立体作品を制作している。主な展覧会に、「第14回 shiseido art egg 西太志展〈GHOST DEMO〉」資生堂ギャラリー(東京/2020)、「月の裏側を見る」FINCH ARTS(京都/2020)、「西太志+矢野洋輔 〈居心地の良さの棘〉」8/ART GALLERY TOMIO KOYAMA GALLERY(東京/2017-18)などがある。

水上愛美「Catharsis Bed」 by 4649

CADAN有楽町は 、東京、巣鴨を拠点とする4649(フォーシックスフォーナイン)の企画による、水上愛美の個展「Catharsis Bed」を開催いたします。

本展は、2022年1月に4649(巣鴨)で開催される水上絵美の個展とタイミングを同じくして発刊される作品集『catharsis bed』についての展覧会となります。

水上は本作品集の制作にあたって、自作において取り組まれる題材の一部である、絵画の「裏と表」や「塗りつぶされて見えなくなった部分」などへの考察にまつわる実践を書籍というメディアの特性に応用させるためにデザイナーや執筆者の協力の下、様々な工夫を行いました。それらに基づき本展覧会は、一般的な絵画のインスタレーションとは異なった方法で彼女の作品を鑑賞する機会を作る試みの一つとして公開されます。

一般的に絵画の制作過程では絵具によるレイヤーが積み重なり増えていくことで完成へ向かうとされていますが、水上は最終的に完成した絵画イメージの中に含まれない、絵具に塗りつぶされたままの部分=不可視のレイヤーや、形態としての性質上クローズドな情報として扱われる絵画の裏側の面までもを作品の一部として鑑賞できる可能性に関心を持ち、意図的にそうした要素を絵画の中に取り入れます。

こうした水上の絵画における経時的な事柄への関心は、画面の制作過程にまつわるミクロな事象から、主題に用いられる人物像とそれらにまつわる神話的・考古学的なモチーフを通じて、これまで地球上で人間が想像し、受け継いできたイメージをこの時代においてどのように表現し、伝達していくかというマクロな視点にまで及んでいます。

彼女の取り組みは、静止していると仮定されたイメージを網膜で享受する体験としての絵画ではなく、時間的な行為の集積であるオブジェとしての絵画であり、イマジネーションの中で完成されるような相互作用的な体験としての絵画にまつわるものと言えるでしょう。

■展覧会概要
水上愛美「Catharsis Bed」 by 4649
2022年1月18日(火)- 2月6日(日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:月曜日

■ART TALK supported by CVJ
ゲストに画家の桑久保徹氏をお呼びして、水上愛美氏のアーティストトークをCADAN有楽町からインスタライブ配信します。ナビゲーターは、アーティストで4649ディレクターの高見澤ゆう氏です。
日時:1月28日(金)18:30-19:00
出演:水上愛美  ゲスト:桑久保徹(画家)
*@cadan_instaからインスタライブ配信

■同時開催/水上絵美 個展
1月16日(日)-2月13日(日)
会場:4649(巣鴨)MAP
営業時間:木-土 13:00-18:00、日 13:00-17:00
定休日:月、火、水

■水上愛美『catharsis bed』
発行:oar press
仕様:B5判、日英バイリンガル
定価:2,000 円(税別)
発売日:2022年1月18日
執筆:中尾拓哉
デザイン:刈谷悠三+角田奈央/neucitora

●水上愛美(みずかみえみ)
1992年生まれ、東京を拠点に活動する画家。2017年多摩美術大学卒業。主な展覧会に「Dear Sentiment」(TOKAS本郷、東京、2021)、「Paintings for Stranger」(TOKAS本郷、東京、2020)、4649 at Pina(Pina、ウィーン、2020)、「底流 / Large eddy」 (TWS渋谷、東京、2016)など。2022年にはno gallery(ニューヨーク)でのグループ展や、「VOCA展 2022」(上野の森美術館、東京/3月)などに参加予定。

Emi Mizukami “blindfold” 2020, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste on panel, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “2sun 2moon” 2021, pencil on paper
Emi Mizukami “Waiting for a great day II” 2021, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste, desert sand on canvas, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “sweet dream” 2021, sweet dream, Photo by Nirei Hiroshi
Emi Mizukami “Mansion of happiness” 2021, Acrylic paint, charcoal pencil, sand paste, desert sand on panel, Photo by Nirei Hiroshi

緑の道 / Green Routes by nca | nichido contemporary art

CADAN有楽町は 、東京、八丁堀を拠点とするnca | nichido contemporary art (日動コンテンポラリーアート)の企画による、ティントン・チャン、イーチュン・ロー、ジーホン・リュウ、坂本和也によるグループ展「緑の道 / Green Routes」を開催いたします。

■展覧会概要
会期:2021年12月21日(火)- 2022年1月16日(日)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
*年末年始休廊日:12月27日(火)~1月3日(月)
*1月10日(祝)営業、11日(火)休廊

出展作家:
Ting Tong Chang / ティントン・チャン(張碩尹)
Yi-Chun Lo / イーチュン・ロー(羅懿君)
Chih-Hung Liu / ジーホン・リュウ(劉致宏)
Kazuya Sakamoto / 坂本和也

■展覧会について
私たちは極めて日常的に植物と関わりを持っています。人類の歴史には常に植物の存在があり、また植物によって生み出される資源は紛争のきっかけを作り、また近年は深刻な異常気象や大気汚染など、人類が自然環境に与える影響は世界規模で大きな課題となっています。本展では、台湾を起点に植物やそのルーツへの関心から表現の題材にしている4名のアーティストに焦点を当て、様々な視点から植物(緑)と人間の道のりを考察し、過去を行き来しながら私たちが今抱える問題を提示します。

■ART TALK supported by CVJ
参加作家4名によるオンラインギャラリートーク

 

Ting-Tong Chang “Betelnut Tree, Birds, Nest Fern and African Scails” 2020 video work ( 2 channels), 14’40’’ © Ting-Tong Chang

●ティントン・チャン / Ting Tong Chang
1982年台湾生まれ。現在台北とロンドンを拠点に活動。ロンドン大学ゴールドスミス校 美術学修士号取得
チャン・ティントンは不条理で非理論的な社会や、消費主義の現代社会が与える社会的、生態的影響などあらゆる問題を提議し、ドローイングやパフォーマンス、立体、映像など様々な手法を用いて科学やテクノロジー、歴史など、自身を取り巻く世界を解体、融合させて作品に表します。本作はチャンが山間部に2週間滞在し、アミ族の猟師たちの協力のもと、現地で集めた材料を使って住居を建てるまでを映像で記録した最新の映像インスタレーションです。チャンは芸術的実践をサバイバルスキルに変換する実験を行い、オブジェクト指向の視点から人類の歴史の軌跡を再考しています。

Yi-Chun Lo “Just What Is It That Makes Today’s Sugarcane Fields So Different, So Appealing?” 2020 95 x 95 x 45 cm bagasse, tobacco, bamboo © Yi-Chun Lo

●イーチュン・ロー / Yi-Chun Lo
1985年台湾生まれ。現在台北を拠点に活動。国立台湾芸術大学 美術学修士号取得
ロー・イーチュンは人と自然の関係、歴史をテーマに様々な地域コミュニティーに入り、フィールドリサーチを通して作品を制作しています。その表現はドローイングや大型インスタレーションなど多岐にわたり、モチーフにバナナの皮やたばこの葉など自然素材を用いるのも特徴です。本展の新作シリーズではサトウキビに焦点を当てています。サトウキビから生活必需品として製造されている砂糖やショ糖だけでなく、現在ではエタノール混合航空機ガソリンをも生成しています。製糖工場の目的は時代の需要、生活の変化や人々の利益によって大きく変化しています。ローは、サトウキビが原料のバガスを用いて軍需品やまた私たちがダイエットや健康維持を目的で使用する筋トレグッズを立体に表すことで、私利私欲を追求する人間社会に警鐘をならします。

坂本和也 “Symbiosis”, 2021, 162 x 260 cm, Oil on canvas
©Kazuya Sakamoto

●坂本和也
1985年鳥取県生まれ。現在愛知県を拠点に活動。名古屋芸術大学大学院美術研究科美術専攻同時代表現研究領域 修了
坂本和也は自身の趣味である水草の飼育(アクアリウム)を通して、生態系の構成要素のなかに現代の社会環境との類似性をみたことから、植物をモチーフにして物事の内面を表そうとしています。反復と増殖を繰り返しながら綿密に描かれる多種多様の植物は生命を維持するために変容を繰り返す進化の過程を描いているようです。また、坂本は自身が育てる水草のルーツが台湾であることから、2017-8年には文化庁海外派遣制度にて台北に滞在しています。国によって異なる植物と人との関わり方や、複雑な歴史背景の考察を通して、近年の表現はより多面的な要素を含んでいます。

Chih-hung Liu, “Bananas in Shezidao”, 2021, 40 x 60 cm, Oil on canvas
©Chih-hung Liu

●ジーホン・リュウ / Chih-hung Liu
1985年台湾生まれ。現在台北を拠点に活動。国立台北芸術大学 美術学修士号取得
リュウ・ジーホンは日常生活や周囲の環境、また旅先でみた風景や事象題材に作品に表しています。それは自然景観や事物の観察だけでなく、感情や感覚、時間を多面的に捉え、視覚化しようと試みます。その表現は絵画にとどまらず、プロジェクトやテーマによってインスタレーションや、映像、文字、立体など様々な素材を用います。コロナ禍のハーフロックダウン中に描かれた本作は、夜明け前に自転車を走らせた道のりでみたバナナの木をモチーフにしています。コロナ禍の見えない不安と息苦しさ、精神状態が見えると同時に現状から逃避し、自由を求めて走った解放感もみえてくるようです。

ステファニー・クエール「 Concrete Jungle 」 
by Gallery38

この度、東京、神宮前を拠点とするGallery38 によるステファニー・クエールの個展「Concrete Jungle」を開催します。

イギリスのアイリッシュ海に浮かぶマン島に生まれ育ったクエールは、現在も自然豊かなこの島で制作を続けています。クエールの作品は、人間と動物に本来備わっている自然の力に焦点を置き、自然に宿る 力強さ、謙虚さ、不思議さ、叡智、そしてそれらに向き合うことで私たち人間の小ささを思い知ると同時に、自然界と人間の結びつきや、その隔たりを思い起こさせます。

クエールは粘土を手にする前に、何枚ものスケッチを描きます。そうすることで、彼女は動物たちの中に 入り込み、より深く理解しようと試みるのです。描けば描くほど、実際に粘土で作品を作る時に、より素早く動物たちの生命感を作品に取り込むことができるのだと言います。そして、さまざまな素材で制作を 試みたクエールが、最終的に粘土を選んだ理由を次のように語っています。
 「粘土は、私が動物とのつながりを最も感じられる素材です。泥、土、地面そのものが、すべての痕跡、 すべての瞬間、すべての思考を確固たるものにしてくれるのです。」

そうして生み出される彼女の彫刻作品には、制作までの全ての痕跡が残されている、ドローイングの立体物とも言えます。

ギャラリーという人工的な空間に侵入したニホンザルの群れは、飼いならされておらず、手に 負えないほどに大暴れしていますが、彼らを眺めていると、私たち鑑賞者の方がより荒っぽ く、不自然なように思えてくるのです。

ニホンザルは古来、神と人間の間を取り持つ神聖な存在とされ、幸運と迷信の源であり、いたずら者であり、守護者であり、ヒーラーであるなど、宗教、民間伝承、芸術の中で重要な役割を果たしてきました。

粘土で力強く描かれた彫刻は、これらの象徴的な生き物の生の本質を捉えています。身近であ りながら独特の存在感を放ち、自然の中での私たちの重要な位置と役割を思い出させてくれ る、私たち自身に似た存在なのです。

ステファニー・クエール

現代に生きる私たちは、次第に土に触れる機会が少なくなり、コンクリートで固められた道路や建物に囲まれて生活する一方で、絶えず動物に人間味を与えたり、擬人化し続け、動物と私たちとの明らかな違い に囚われています。そして共有する環境を破壊するほど、私たちが何者であるかを定義するのに不可欠で 大切な動物を失い、私たちは野生からも、自然の私たち自身からも遠ざかってしまうのではないでしょうか。

■展覧会概要
タイトル:ステファニー・クエール「Concrete Jungle」by Gallery38
会期:2021年11月30日(火) – 12月19日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:12月6日(月)、13日(月)
企画: Gallery38

◯ステファニー・クエール
1982年 英国・マン島に生まれる
2005年 スレード・スクール・オブ・アート彫刻学科首席卒業
2007年 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート彫刻学科修士課程修了

近年の展覧会:
2021 ‘Human and Animal’ (岐阜県現代陶芸美術館 / 滋賀県立陶芸の森)
2021 ‘Drawings’ (Gallery 38, 東京)
2020 KAMU kanazawa (常設展示)
2019 ‘Bear Nature’ (Gallery 38, 東京)
2018 ‘IN THE SNOW’ ( シドニー・クーパー ギャラリー, カンタベリー )
 2018 ‘ANIMALS & US’ (ターナーコンテンポラリー, マーゲート )
2017 ‘WILD: UNTAMED MIND’ ( 21_21 Design Sight, 東京)
2017 ‘Sculptural Ceramics and Stone’ (パンゴリンギャラリー, ロンドン)
 2017 ‘URBAN JUNGLE’ ( Gallery38, 東京 )
2017 ‘Jenga’ (フィッツロビア教会, ロンドン)
その他グループ展、アートフェア多数

Fundamentals / Yui Usui by XYZcollective

*11月14日(日)は有楽町ビル全館停電のため休業いたします。

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この度、巣鴨を拠点とする XYZcollective による碓井ゆいの個展を開催します。

碓井ゆいは、布や手芸材料をはじめとした身近な素材を用いて平面・立体作品を制作します。社会・文化・歴史に対し、女性や労働の視点を中心に様々な角度から読み解き、コンセプトを構築し作品制作を行います。

本展覧会は、碓井ゆいの「gastronomy map」と「ミセス・ワタナベの夢と絶望」という二つのシリーズ作品を中心にして構成されます。「gastronomy map」では、碓井が学生時代に使用していた地理の教科書が参照されています。そこには日本各地のさまざまな郷土料理が地図上に配置されたページがあり、本作品はそういった郷土料理を手芸の技法を用いて製作したテキスタイル作品が展開されます。もう一つの作品は「ミセス・ワタナベの夢と絶望」です。ミセス・ワタナベ(Mrs. Watanabe)とは、日本人の主婦を中心とした女性やサラリーマン投資家という意味を語源として、2000年前後に欧米の報道機関に日本人投資家たちが名づけられた俗称です。「ミセス・ワタナベの夢と絶望」では為替取引と歴史をモティーフとし、パッチワークキルト作品が制作されました。

ぜひご高覧ください。

■展覧会概要
会期:2021年11月9日(火)~11月28日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)
出展作家:碓井ゆい
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:1114日(日)、15日(月)、22日(月)
企画: XYZcollective

碓井ゆい○1980年東京都生まれ、埼玉県在住。これまでの主な個展「ALLNIGHT HAPS 2018 後期「信仰」#1 碓井ゆい」(HAPSオフィス、京都、2018)、「碓井ゆい展」(横浜市民ギャラリーあざみ野 ショーケースギャラリー、神奈川、2017)、「shadow work」(小山市立車屋美術館、栃木県、2016)、「sugar」(XYZ collective、東京、2016)。グループ展「更級日記考―女性たちの、想像の部屋」(市原湖畔美術館、千葉、2019)、「都美セレクション グループ展 2019 彼女たちは叫ぶ、ささやく-ヴァルネラブルな集合体が世界を変える」(東京都美術館、2019)、「VOCA展2018」(上野の森美術館、東京)など。「VOCA展2018」では大賞にあたるVOCA賞を受賞。現在、金沢21世紀美術館で開催している「フェミニズムズ / FEMINISMS」に出展している。

「gastronomy map」 2018 布・糸・カッティングシート 
写真:賀集 東悟
「ミセス・ワタナベの夢と絶望」 2021 衣類・布・額・取っ手・印鑑

COMBINE ! by rin art association

CADAN有楽町は、群馬県高崎市を拠点とするrin art associationの企画による鬼頭健吾、小金沢健人、水戸部七絵、やんツーのグループ展「COMBINE ! 」を開催いたします。ぜひご高覧ください

■展覧会概要
会期:2021年10月19日(火)~11月7日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F)
出展作家:鬼頭健吾、小金沢健人、水戸部七絵、やんツー
営業時間:火~金 11時~19時 / 土、日、祝 11時~17時
定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:rin art association
アートウィーク東京」(11月4〜7日)に参加します。

「COMBINE !」は、1950 年代初頭、斬新で過激なコラージュの一形式として生まれたコンバ イン・ペインティングを再考し、写真や 3 次元のオブジェクトを組み合わせたこの技法が、いまどのような含意で用いられているのか、現代アーティストの表現動向を探ります。 ラメ、ガラスの破片、ポリエステルの布地をアクリル絵画に組み入れる鬼頭健吾、廃材のネ オン管と木製パネルを混成した新作シリーズを展開する小金沢健人、現物のエレキギターを配 置した等身大のポートレートを描く水戸部七絵、DIY のドローイングマシンで人の手を離れたイメージ生成に取り組むやんツー----。都市空間と絵画をつなぐ 4 人のアーティストが、この技法に新たな解釈を提示しています。

■ART TALK supported by CVJ
参加作家の鬼頭健吾氏とやんツー氏によるアーティストトークを行います。ナビゲーターに「アサクサ」を主宰するキュレーター大坂紘一郎氏をお迎えして、展覧会テーマである「コンバイン」の視点から各氏の制作や表現についてお話しいただきます。展覧会と合わせてぜひご高覧ください。
日時:10月30日(土)17:00-18:00
出演:鬼頭健吾、やんツー(本展参加アーティスト)、大坂紘一郎(キュレーター)
会場:CADAN有楽町
参加無料、予約優先(15名)
Peatixからご予約ください。https://cadanarttalkrinartassociation.peatix.com
*@cadan_instaからインスタライブ配信あり

鬼頭 健吾 Kengo KITO

「big rip」2020年 153 x 112 x 42 cm, アクリル、グリッター、ガラス、スプレー、真鍮、アルミ、布、カンヴァス

1977 年愛知県生まれ、群馬県高崎市在住。2003 年、京都市立芸術大学大学院美術研究 科油画専攻修了、京都造形芸術大学教授。フラフープやシャンプーボトルなど、工業製品 の現代的なカラフルさと、生命体や宇宙を感じさせるような広がりを融合させた作品で、 国内外から高い評価を受ける。2008 – 09 年、五島記念文化財団の助成を受けニューヨー クに滞在。2010 年、文化庁新進芸術家海外研修員としてドイツ、ベルリンに渡る。主な 展覧会に「ベリー ベリー ヒューマン」(豊田市美術館、2005)、「六本木クロッシング2 0 0 7 : 未 来 へ の 脈 動 」( 森 美 術 館 、 2 0 0 7 – 0 8 )、「 M o n o – n o – A w a r e 」( エ ル ミ タ ー ジ ュ 美 術館、2013-2014)、「Full Lightness」(京都市京セラ美術館、2020)など。

 

 

小金沢 健人 Takehito KOGANEZAWA

「Red Star」2021年 24 × 7 × 19 cm, ネオン

1974 年東京生まれ。武蔵野美術大学で映像を学び、在学中よりビデオによる映像作品の 発表を始めた。1999 年よりベルリンに拠点を移し、アメリカ、ブラジル、インド、オー ストラリア、ギリシャなど世界各国で作品を発表、その独特の映像表現は高い評価を獲得 した。その後、次第にドローイング、パフォーマンス、インスタレーションと表現領域を 広げ、多彩で複合的な作品群と旺盛な制作活動に裏づけされた多才なアーティストとして 知られている。国内では、「Dancing In Your Head」(資生堂ギャラリー、2004)、「あれ とこれのあいだ」(神奈川県民ホールギャラリー、2008)、「動物的」(丸亀市猪熊弦一郎 現代美術館、2009)など多数の個展を開催。2018 年開催の「Asian Art Award 2018」で は大賞を受賞。

 

水戸部 七絵 Nanae MITOBE

「Hey Google ! Get rid of my fat photos from ! 」2021年, 115 x 85 cm, リネン、ギター、油彩、木製パネル

神奈川県生まれ。千葉を拠点に活動。2021 年から東京藝術大学大学院美術研究科絵画専 攻油画に在籍、画家 小林正人に師事する。初期ではマイケル・ジャクソンなどの著名人や ポップ・アイコンを描いた作品を制作。これまでの展示に、4 メートル近くの大作 1 点の みを展示した「APMoA Project, ARCH vol.18 DEPTH – Dynamite Pigment -」(愛知県 美術館、2016)、「千一億光年トンネル」(ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション、2017)「 – Inside the Collector’s Vault,vol.1- 解き放たれたコレクション展」(WHAT、2020)、 2020 年度第 3 期コレクション展「私は生まれなおしている─令和 2 年度新収蔵作品を 中心に─」(愛知県美術館、2020)、「ホルベイン・スカラシップ成果展」(佐藤美術館、 2020)などがある。「千代田芸術祭 2011」O JUN 賞、「VOCA 展 2021」奨励賞を受賞。

 

やんツー yang02

「Image for Degrowth – Slow Mini4WD and Old GPU」2021年, 162 x 130 x 8 cm ミニ四駆、マイクロコントローラー、モータードライバー、スイッチ、GPU、木、プラスチック(PLA)、スプレー、カンヴァス

1984 年神奈川県生まれ。2009 年多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン研究領 域修了。セグウェイが作品鑑賞するインスタレーションや、機械学習プログラムを導入し たドローイングマシーンなど、人間の行為を情報技術が代替する自律型の装置を作品とし て制作。デジタルメディアを基盤に、人間の身体性や表現の主体性を問う。菅野創との 共同作品《SENSELESS DRAWING BOT》で、第 15 回文化庁メディア芸術祭アート部 門新人賞(2012)を、同じく《アバターズ》で第 21 回優秀賞(2018)を受賞した。主 な展示に、あいちトリエンナーレ 2016(愛知県美術館、2016)、「Vanishing Mesh」(山 口情報芸術センター[YCAM]、2017)、「DOMANI・明日展」(国立新美術館、2018)、 2 人展「Art Meets 06」(アーツ前橋、2019)など。