油野愛子 顧剣亨  「HOW TO RECORD THE PAST, HOW TO LET GO THE PAST? どうやって過去を手放そうか。」 by Tomio Koyama Gallery

CADAN有楽町は、小山登美夫ギャラリーによる油野愛子、顧剣亨の二人展 「HOW TO RECORD THE PAST, HOW TO LET GO THE PAST? どうやって過去を手放そうか。」を開催いたします。油野愛子による立体作品とペインティング、顧剣亨による写真作品で構成されます。どうぞご高覧ください。

油野愛子 顧剣亨 
「HOW TO RECORD THE PAST, HOW TO LET GO THE PAST? どうやって過去を手放そうか。」
by Tomio Koyama Gallery
2023年7月18日(火)—8月6日 (日)
企画: 小山登美夫ギャラリー
協力: Yumiko Chiba Associates
営業時間:火−金 11時−19時 / 土、日、祝 −17時
定休日:月(祝日の場合は翌平日)

アーティスト・トーク(モデレーター 山本浩貴氏)
7月18日(火)18:00〜
*予約不要、@cadan_instaからインスタライブ配信あり

【展覧会について】

今回の展覧会「HOW TO RECORD THE PAST, HOW TO LET GO THE PAST? どうやって過去を手放そうか。」は、油野愛子、 顧剣亨による2人展。

油野が一緒に展示をしたいアーティストとして、同世代であり、学生の頃から共に作家人生を歩んできた仲間である、顧剣亨との展覧会を考え、実現しました。

今回の展覧会タイトルは、油野が書きためている言葉の中から一言を選んでおり、それをその場にいた友人が英語で発音した時に、「let go」 を「record」と聞き間違えたところから始まっています。このタイトルに付属された日本語「どうやって過去を手放そうか」は、時間を追うごとにリアリティを失っていきながらも、いかに私たちを縛りつけ、私たちの存在を明確に築いてきたのか、過去が少しずつ、しかし確実に未来で変化し続けているということについて、改めて見つめるきっかけとなるでしょう。

顧にとって作品制作は「record(記録)」するという行為からはじまっています。彼は様々な場所を訪れ、膨大なピクセルの中に時間を取り込み、デジタルウィービングという独自の手法でピクセルを編み込んでいく。この複数の景色を重ねた高解像度の一画面を作り出すことで、鑑賞者は作品に没入し、普遍的な自然と対峙します。油野は、自身の内に蓄積された他者との関係、また子どもから大人へと成長していく過程での変化や違和感といったことに焦点を当て、時間の経過や記憶の断片、そして過去と現在の交錯する瞬間を描き出す様に、立体、絵画、インスタレーションと展開をしています。

同時代に共に作家として成長してきた2人の制作を通して、鑑賞者は自身の内なる記憶や感情に触れ、内面とのつながりを再び確かめ、過去を探求し、解放するための深い内省と対話を促されるでしょう。

UNDULATIONISM 2023 by Mori Yu Gallery

UNDULATIONISM 2023 by Mori Yu Gallery
会期:2023年6月27日(火)―7月16日(日)
時間:火-金 11:00–19:00/ 土・日 –17:00/ 月 休廊
会場:CADAN有楽町
出展作家:
小柳仁志、世良剛、浜崎亮太、河合政之、
瀧健太郎、花岡伸宏、黒田アキ、西山修平、片野まん

【ヴィデオアート上映 Video Art Screening】
2023年7月1日(土) 開場18:30、開演19:00 (終演 20:00)
July 1th, 2023, Open 18:30, Start 19:00
*開始時間が変更になりました。

入場無料/定員15名

MORI YU GALLERY 出品のヴィデオ・アーティストによる作品上映。
Video art works by artists presented by MORI YU GALLERY.

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この度、CADAN有楽町では、京都を拠点とするMORI YU GALLERYによるグループ展、「UNDULATIONISM 2023」を開催いたします。昨年6月にCADAN有楽町で開催した展覧会と同様のコンセプトで、各作家それぞれ新作で展覧いたします。

「UNDULATIONISM」は造語です。翻訳するとすれば、「波動」主義とでも訳せましょうか。「UNDULATION」とは、真っ平らでflatなものではなく、揺れており、起伏があり、それは「NOISE」から生まれてきたといえるでしょう。
「NOISE」という難解な言葉から始めましょう。「Noise(ノワーズ)」という言葉は、マーグ画廊の創業者であるエメ・マーグ(Aimé Maeght, 1906-1981)の死後、1985年に、デリエール・ル・ミロワール誌を引き継ぐ形で創刊されたマーグ画廊の新しい美術誌のタイトルとして使われていました。編集長には、マーグ画廊の黒田アキ(Kuroda Aki, 1944-)。「ノワーズ」は黒田の友人であるフランスの哲学者、ミッシェル・セール(Michel Serres,1930-)の「NOISE」論に依拠し、黒田自身が名付けました(1985年5月発行の創刊号から1994年の18/19合併号まで全17冊発行)。
さて、中沢新一氏によると、「ノワーズ、それは古いフランス語で「諍(いさか)い」をあらわしている。バルザックはこの古仏語の語感を利用して、「美しき諍い女 la belle noiseuse」という存在を創造した。しかし、ノワーズのさらに古い語感を探っていくと、異質領域から押し寄せてくる聴取不能な存在のざわめきのことを、言い当てようとしているのがわかる。不安な波音を発する海のしぶきとともに出現するヴィーナスの像などが、そのようなノワーズの典型だ。ヴィーナスは海の泡から生まれたとも言われるが、またいっぽうではその泡は男女の交合の場所にわきたつ泡だとも言われる。いずれにしても、それは世界の舞台裏からわきあがってくる不気味なざわめきにつながっている」 (中沢新一『精霊の王』-第五章 緑したたる金春禅竹-より)。
前置きが長くなりましたが、所謂ノイズと言われるものと全く「NOISE」(ノワーズ)は違うのです。そうした「NOISE」が変化したものを我々は「波動」、「UNDULATION」と名付けてみましょう。

例えば、今回出展する作家である河合政之は、アナログのシステムを駆使する映像作家です。デジタルでは有用なシグナルのみを用いるが故に、捨象されてしまうノイズをもフィードバックという運動で展開される閉回路に取り込み、シグナルとノイズという二元論を超越した「たんなる物質とは違うもの」へと見事に変換させてしまいます。河合はフィードバックという手法によって、モダニズム的な自己言及性では無く、内在と超越の両者を切断しつつも接続する「NOISE」という概念を体現している作家と言えるでしょう。アナログにしかなし得ない、非連続の連続とでもいえる可能性を初めて開いた思想を携えた作品群がART BASEL HONGKONGで高く評価されたことは記憶に新しい。「NOISE」は、存在論的には所謂シグナルとノイズとの間にあり、時に接続し、また時に切断されるのですが、その中で「NOISE」は違う状態へと超越するのです。それは主体と客体、個人と社会、過去と未来、シグナルとノイズといった両者を接続しつつ切断し、たんなる物質とは違う、先の例えのようなビーナスへと変容していきます。そして、それはまた日本の文化的特長とも言える空間的、時間的な余白、空白といった「間」(ま)の意味も纒うといえるでしょう。
また例えば、黒田アキ。彼は、日本では1993年には東京国立近代美術館にて個展を開催しました。彼は、1970年代後半、パリ・ビエンナーレにおいて発表された「conti/nuit/é」(連続の中の夜)という絵画において、モダニズムを超えていこうとする新しき絵画として評論家に評されました。キャンヴァス上において、描かれた黒い線がすっと伸びていくその先で、時に線が縺れ、その縺れた線があるかたち(figure)となって現れてきます。「連続するもの」(「conti/nuit/é」)という「間」(ま)にあって、フランス語は「夜」(「nuit」)を意味する言葉を含みます。連続する時間と線が、ふと縺れて「夜」というかたち(figure)になる。「夜」は一体いつから始まり、終わるのか判然とせぬまま、過去からも未来からも切断されつつ接続され、また時にそれは連続する時間から逃げ果せ、意味を輝かせるのでしょう。黒田の意味する「夜」は線の縺れから生じ、それはまさに「夜」という「NOISE」から生み出された「波動」、「UNDULATION」として、また「figure」(=人型)としてキャンヴァスに描かれています。後年、「連続する夜」(「conti/nuit/é」)というコンセプトは、シュルレアリスムに影響を受けたミノタウロスと繋がり、80年代から描かれてきたシャープで美しき人型ではなく、ミノタウロスと黒田アキの自画像とが綯い交ぜとなった顔として、激しい筆致により、キャンヴァスに描かれています。それはまさに「NOISE」から生み出された「UNDULATION」を語るに相応しい作品でしょう。
今回は、「UNDULATIONISM」という造語を掲げるに相応しいこの3人を中心に、小栁仁志、花岡伸宏、瀧健太郎、西山修平、世良剛、浜崎亮太、片野まんなどの作品を展示いたします。どうぞご高覧ください。

MORI YU GALLERY
森裕一

CADAN:現代美術 2023

「CADAN : 現代美術 2023」は、一般社団法人日本現代美術商協会(CADAN: Contemporary Art Dealers Association Nippon)のメンバーギャラリーから26軒が参加し、“アーティスト”にフォーカスした個展形式で作品を紹介する展覧会です。アーティストやキュレーター、ギャラリストといったプロフェッショナルと、コレクター、アートラバー、現代美術に関心のある方々の交流の場を開きます。

2015年に設立したCADANは、現在、現代美術を扱う50のギャラリーで構成され、本展「CADAN : 現代美術」は、2020年に続く第二弾となります。今回は、各ギャラリーが選りすぐりの作家の作品を個展形式で発表するキュレーションをベースとした展覧会となります。

船上(T-LOTUS M)の会場では、CADANと協力企業のコラボレーションによる特別展 “Art in Good Company” とトークセッションを開催します。特別展は、CADANの活動に日頃からご協力いただいている企業から推薦されたアーティストによる作品を展示いたします。また、トークプログラムは「企業とアート」をテーマに、様々な企業のアートの取り組みをご紹介し、日本の現代美術の今とこれからを考える場となることを目指しています。

皆様のご来場をお待ちしております。

「CADAN : 現代美術 2023」
2023年7月8日(土) – 10日(月)

会場 WHAT CAFE、T-LOTUS M(天王洲)

VIP DAY : 7月7日(金)14:00-22:00 (ご招待のみ)
7月8日(土)13:00-20:00
7月9日(日)13:00-20:00
7月10日(月)13:00-18:00

[トークイベント] *先着順75席/ご予約不要

オープニングトーク 7月7日(金)15:30-17:30
「企業とアートコレクション」
登壇者:三木あき子(ベネッセアートサイト直島 アーティスティックディレクター)
新畑 泰秀(石橋財団アーティゾン美術館教育普及部長/学芸員)
白石正美(SCAI THE BATHHOUSE代表、CADAN顧問)
*VIP DAYのためVIPご招待者のみご参加いただけます

7月8日(土)14:30-16:00
「企業とアートキュレーション」
登壇者:説田礼子(エルメス財団キュレーター)、西野達(アーティスト)

7月9日(日)14:00-15:30
「企業とアーティスト」
登壇者: 磯谷博史(アーティスト)、加賀美健(アーティスト)
モデレーター:深井厚志(カルチャー・ヴィジョン・ジャパン)

参加ギャラリー/アーティスト

4649安部悠介 Yusuke Abe
ANOMALY – できやよい Yayoi Deki
FINCH ARTS小林椋 Muku Kobayashi
HAGIWARA PROJECTSジョアンナ・ピオトロフスカ Joanna Piotrowska
imura art gallery – 川人綾 Aya Kawato
KANA KAWANISHI GALLERY – 藤崎了一 Ryoichi Fujisaki
KAYOKOYUKI – 諏訪未知 Michi Suwa
KOKI ARTS中村亮一 Ryoichi Nakamura
Maki Fine Arts – アレックス・ダッジ Alex Dodge
MEM – 児玉靖枝 Yasue Kodama
MISA SHIN GALLERY上原沙也加 Sayaka Uehara
MISAKO & ROSEN – 廣 直高 Naotaka Hiro
MORI YU GALLERY – 黒田アキ Aki Kuroda
NANZUKA – 鬼海弘雄 Hiroh Kikai
Satoko Oe Contemporary – 長谷川 繁 Shigeru Hasegawa
Sprout Curation – 尾関 諒 Ryo Ozeki
STANDING PINE – ジョエル・アンドリアノメアリソア Joël Andrianomearisoa
Taguchi Fine Art – クリスティアーネ・レーア Christiane Löhr
TALION GALLERY – 小泉圭理 Keisuke Koizumi
TEZUKAYAMA GALLERY – 髙倉大輔 Daisuke Takakura
The Third Gallery Aya – 元永定正 Sadamasa Motonaga
Tokyo Gallery + BTAP – Ayako Someya
Tomio Koyama Gallery – 落合多武 Tam Ochiai
WAITINGROOM – 川内理香子 Rikako Kawauchi
XYZ collective片山真妃 Maki Katayama
Gallery Yamaki Fine Art – 三島喜美代 Kimiyo Mishima

 

◉特別展 “Art in Good Company”

「プレイバック CADAN 有楽町」 selected by CVJ
WAITINGROOM : グループ展 “I am Here”
TALION GALLERY : 山下拓也
Taguchi Fine Art : レギーネ・シューマン
ANOMALY : 津上みゆき

「The Artist」
小林万里子 selected by 三菱地所
大野綾子 selected by 三菱地所
加賀美健 selected by 三越伊勢丹
大谷 透 selected by シュマッツ

 

会 場:WHAT CAFE、T-LOTUS M
東京都品川区東品川2-1-11 MAP

東京モノレール羽田空港線 天王洲アイル駅中央口 徒歩5分
東京臨海高速鉄道りんかい線 天王洲アイル駅B出口 徒歩4分
JR品川駅 港南口 徒歩15分

入場料:一般500円 *高校生以下無料
チケット:ArtStickerにて販売中

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主 催: 一般社団法人日本現代美術商協会(CADAN)

共 催:
一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン
寺田倉庫株式会社

特別協賛:
三井住友トラストクラブ株式会社
エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社
株式会社ひびきFA
株式会社アートと専門家

協 賛:海外酒販株式会社カイザーキッチンビール株式会社

協 力:ArtSticker株式会社三越伊勢丹三菱地所株式会社RUDDERKen Kagami

メディアパートナー:MEET YOUR ART

今井壽恵 「オフェリアその後」by The Third Gallery Aya

Top image ©︎ IMAI Hisae
会期|2023年6月8日(木)-25 日(日)
時間|火曜-金曜 11:00–19:00/ 土・日曜 11:00–17:00/ 月曜 休廊
会場|CADAN有楽町 (東京都千代田区有楽町1-10-1有楽町ビル1F)
協力|赤々舎

この度、CADAN有楽町では、大阪を拠点とするThe Third Gallery Ayaによる今井壽恵の個展を開催いたします。

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1950年代にデビューした今井壽恵は、「オフェリアその後」に代表される文学的な世界を構築し、前衛的なイメージで注目を集めました。
交通事故で失明の危険に晒されたことで、馬を被写体にした作品制作に移行し、次第に初期作品は知る人ぞ知るという状況になっていました。
今回は、昨年4月にThe Third Gallery Ayaで開催した展覧会の巡回展で、1956年の初個展「白昼夢」から1964年に始まった「エナジー」まで、今井の初期代表作を紹介致します。
The Third Gallery Ayaでは、日本の女性写真家の先駆のひとりである山沢栄子や、今井とも同時代でフォトコラージュ作品で知られる岡上淑子を紹介してきました。
歴史の中に埋もれてしまいがちな女性写真家の作品が再評価される一端を担えればと思っております。

トークイベント|戸田昌子(写真史家、『Hisae Imai』監修)

日にち:2023年6月17日(土)
時間:16:00–17:30
会場:CADAN有楽町
申込先:お申し込みフォーム
*トークイベント後にささやかなレセプションを開催いたします
*@cadan_insta より、インスタライブ配信あり
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今井壽恵|IMAI Hisae

1931年7月19日東京生まれ
1952年 文化学院美術科卒業
1962年 タクシー乗車中の衝突事故により、一命はとりとめたものの、数ヶ月視力を失う
2009年2月17日逝去

主な個展
1956年「白昼夢」松島ギャラリー、東京
1957年「心象的風景」富士フォトサロン、東京
1959年「ロバと王様とわたし」月光ギャラリー、東京
1959年「夏の記憶」富士フォトサロン、東京
1960年「オフェリアその後」日本写真批評家協会受賞記念展、小西六フォトギャラリー、東京
1961年「モデルと北風」月光ギャラリー、東京
1963年「今井壽惠写真展」富士フォトサロン、東京
1971年「馬に旅して」新宿ニコンサロン、東京
1975年「馬の世界を詩う」高島屋大阪店
1977年「Le monde enchanteur des chevaux(馬の世界を詩う)」ブリュッセル、パリ

主なグループ展
1958年「第一回女流写真家協会展」小西六フォトギャラリー、東京
1960年「現代写真展1960年」東京国立近代美術館、東京
1962年「NON」松島ギャラリー、東京
2021年「パリフォト2021」グラン・パレ・エフェメール、パリ

受賞
1959年 日本写真批評家協会新人賞
1960年 カメラ芸術・芸術賞
1969年 GREAT PRINT MAKERS OF TODAY賞
1971年 Society of Publication Designers 1971 Annual Award Show Silver Award
1978年 日本写真協会年度賞
2010年 2009年度JRA賞馬事文化賞功労賞

出版
1977年「通りすぎるとき―馬の世界を詩う―」駸駸堂出版
1980年「ザ・サラブレット」東出版
1985年「勝つことに憑かれた名馬 シンボリルドルフ」角川書店
1987年「サラブレッド讃歌」玄光社
1994年「夢を駆けるトウカイテイオー」角川書店
1995年「武豊 1000勝」角川書店
1999年「CHAMPION/Taiki Shuttle」ニューマーケット

コレクション
日本大学、ニューヨーク近代美術館、ジョージ・イーストマンハウス国際写真美術館、パリ国立図書館、ハンブルグ装飾美術館、川崎市市民ミュージアム、東京都写真美術館、清里フォトアートミュージアム

安部悠介 個展 by 4649

『安部悠介 個展』
会期:2023年5月18日(木) – 6月4日(日)
会場:CADAN有楽町
営業時間:火~金 11~19時 / 土・日 ~17時  / 定休日:月
企画:4649

●オープニングレセプション
5月18日(木) 18:00〜

●ギャラリートーク
6月4日(日) 15:00〜
出演:安部悠介(アーティスト)、田中耕太郎(インディペンデント・キュレーター)
進行:高見澤ゆう(4649)

この度、CADAN有楽町では、東京・巣鴨を拠点とする4649による安部悠介の個展を開催いたします。

これは安部による4649との二回目の展覧会であり、6月4日より4649で開催される個展と同時開催となります。

安部は2021年に、一部で評価されつつあったTCG(トレーディングカードゲーム)やビデオゲームのキャラクター、迷路のイラストなどがモチーフになった作品のシリーズと断絶を見せるような抽象性の高い作品群を4649で発表しました。それは彼が制作の中で生み出した極めて内面的な未分類な作品群を、一つの展覧会という形として立ち上げる、4649との会話の中で生まれた協働での試みでした。そこから2年を経て、豊かな絵画を作りたいという目標にむけてあらゆる試行錯誤を繰り返す彼の制作活動は、よりいっそう複雑になり、これまで以上に表向きの具象・抽象性の違いを超えたところで行われています。そのダイナミズムを見せるような展覧会として、本展は二箇所の会場を使って行われます。この機会にぜひご高覧ください。

安部悠介は1993年山形県生まれ、2018年に多摩美術大学大学院を修了。現在は埼玉県を拠点に活動中。主な展覧会にCON(東京、2023)、4649(東京、2021)、VOILLED(東京、2021 と2017)、Loko Gallery(東京、2018)、ラ・メゾン・ド・ランデブー(ブリュッセル、2019)等がある。

同時開催
『安部悠介 個展』
会場:4649 (東京都豊島区巣鴨2-13-4 B02 170-0002)
会期:5月28日(日) – 6月25日(日)
木金土曜 午後1-6時、日曜 午後1-5時 (月火水休廊)

安部悠介 Curbstone, 2023
Gesso, oil, acrylic, plastic board, wood, bond, tacker on canvas
194×130×6.3 cm
安部悠介, That was a rubber hose, 2023
Oil, gesso, wood, paper, bond on canvas
194×130×5.5cm

詫摩昭人「逃走の線 / Lines of Flight:”The battle is decided in an instant, but I seem to lose most of the time.”」by Yoshiaki Inoue Gallery

会期:2023年4月25日(火)~ 5月14日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:Yoshiaki Inoue Gallery

○ギャラリートーク
4月25日(火)18:00よりトークを開催します。
出演:三上豊 (美術編集者)× 詫摩昭人
終了後はレセプションを行いますので、ぜひご参加ください。
*予約不要、@cadan_instaからインスタライブ配信あり
この度、CADAN有楽町では、大阪・心斎橋を拠点とするYoshiaki Inoue Galleryによる詫摩昭人の個展を開催いたします。

Lines of Flight op.628、145.5 x 112cm、Oil on canvas、2020

詫摩昭人(たくまあきひと)は1966年熊本生まれ。フランスの哲学者ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze、1925-1995)の「逃走線」を引用して二項対立をすり抜けるコンセプトで絵画制作を続けています。油絵具の乾かぬうちに自作の長いブラシでキャンバス全体を天辺から一気に擦りおろし、現れた画面に対立軸をなだらかに混ざり合わせたと実感できた時のみ自身の作品は完成となります。一貫したコンセプトの中で砂漠、地平線、サクラ、都市などの風景や抽象的な様々なモチーフを白と黒で表現してきましたが、今回は昨年より発表を開始したカラー作品の新作を中心にご紹介します。
修正の利かない制作工程で一度限りの美を追求する作品をぜひご高覧下さい。

 

 

 

カラー作品について:
横幅2mの刷毛で一気に仕上げる油彩の作品「逃走の線」を開始して、18年が経とうとしています。これまでもカラーの作品は幾度となく試みましたが、今ひとつ納得のいくものができませんでした。しかし、今回、初めて皆さんにお見せできそうなものになったと思い、初めてのカラー作品の個展を開催することとなりました。
二項対立をすり抜けるというコンセプトは、私の作品の根底に流れるテーマです。そして、今回カラー作品を制作する上で、<有彩色と無彩色>の軸と、水面に映る風景からヒントを得た<虚像と実像>の軸の二つの方向性が存在します。
2020年からコロナ禍が始まり、2022年にはウクライナの緊張が起こり、現在もなお不穏な状況ではありますが、分断しない混ざり合う美があると考えます。
(2022年6月 詫摩 昭人)

Lines of Flight op.758、194 x 162cm、Oil on canvas、2022
Lines of Flight op.756、100 x 72.7cm、Oil on canvas、2022
Lines of Flight op.757、100 x 72.7cm、Oil on canvas、2022

 

 

フランシス真悟、篠田太郎、前田紗希 by MISA SHIN GALLERY

会期:2023年4月6日(木)–4月23日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:MISA SHIN GALLERY

この度、CADAN有楽町では、東京・南麻布を拠点とするMISA SHIN GALLERYによるフランシス真悟、篠田太郎、前田紗希の抽象作品を軸にした3人展を開催いたします。

Francis Shingo, Ambience in Red, 2022, oil on canvas, 162 x 162 cm Photo: Keizo Kioku

フランシス真悟は、幾層にも重ねられたブルーの抽象画や、深い色彩のモノクローム作品によって、絵画における空間の広がりや精神性を探求し続けているアーティストです。近年の「Interference」シリーズは、特殊な素材が引き起こす光の干渉によって、絵の具の複数の層に光が通り、見る角度によってさまざまな色が立ち現れるペインティングです。鑑賞者の動きがもたらす視覚の効果は、そこでしか感じられない絵画への体験を誘発します。

Shinoda Taro, Katsura 07, 2020, oil on canvas, 120 x 95 x 8 cm Photo: Keizo Kioku

篠田太郎のペインティング作品「桂」は、油彩画の基本的な素材を用いて制作されていますが、私たちが見慣れたペインティングとは一風異なっています。麻布のキャンバス自体が大きな余白を作り、その余白は、端から中心部に向かって曲面を描きながら5センチほど窪んでいきます。中心部は平面となっており、抽象的な色の構成やグリッド状の線が、油絵の具によって描かれています。日本庭園の造園家としてキャリアをスタートさせた篠田は、西洋的な時空間の捉え方に違和感を持ちつつ、自分自身の時空間の捉え方をも、それがどのように獲得されたか疑ってかかります。ペインティングを鑑賞する距離ひとつ取ってみても、私たちの様々な共通認識やその延長線上にある生活、社会、文化に基づいた身体的なリアクションでもあると捉えます。篠田のペインティングは、それらを再考し、その前提となっているものを問い直すことから始まっています。

Maeda Saki, 23_1, 23_2 (Diptych), 2023, oil on canvas, 162 x 260cm

前田紗希は1993年生まれ、「時間の堆積と境界」をコンセプトに、ペインティングナイフのみで油絵具を何十層にも重ねた抽象画を制作しています。トライアングルを最小限の存在とし、何層にも塗り重ねられ堆積し、また削りとられては構築されていくその画面は、日常のあらゆる物事やその重なり、関係性などが幾何学的に表現されています。学生の時から一貫して抽象を追求してきた前田は、我々が認識する「境界」とは何かを問い続けています。

山下拓也「愛、嫉妬、別れ (ムンクやカニエをサンプリングして)」by TALION GALLERY

山下拓也「愛、嫉妬、別れ (ムンクやカニエをサンプリングして)」
会期:2023年3月15日(水)〜4月2日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:TALION GALLERY

この度、CADAN有楽町では、東京・目白を拠点とするTALION GALLERYによる山下拓也個展「愛、嫉妬、別れ (ムンクやカニエをサンプリングして)」を開催いたします。

山下拓也は展示空間や素材の物理的・歴史的条件を利用しながら、帰属する共同体を喪失したマスコットなどをモチーフとして、立体や版画、写真、ドローイングなどの制作を行っています。存立の場を外的要因によって奪われてきたそれらの表象は、山下による空間と色相を極度に強調したインスタレーションのなかで、その境遇を反映した心理的状況とともに提示されます。
本展では、山下自身の手による木版画を用いた新作インスタレーションを発表いたします。

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本個展のテーマは「愛、嫉妬、別れ」です。ある期間のうちに私はこれらを激しく経験しました。
頭の中に現れたネガティブなイメージは、さらに同一のイメージを呼び寄せ、終わらない反復を生み出しました。母が過去に統合失調症を患っていたこともあり、そのような世界へ足を踏み入れてしまう恐怖感と、いくつかの強迫観念によって眠れない夜もありました。ギリギリのところで精神をキープできたのは、それら負のエネルギーを創作に転換させられる希望を保つことが出来たからです。
長らく私は版表現によって作品を制作してきました。版画を刷り続ける行為をパフォーマンスとして見せたり、刷られたイメージが増殖し展示空間を埋め尽くすのが自作の特徴ですが、そこには私の思考や認知のあり方が作用しているのかもしれません。
本個展では、頭の中で増殖して止まない特定のイメージ群を、過剰に版画に刷ることによって表出していきます。愛、嫉妬、別れをテーマにしたエドヴァルド・ムンクの版画や、内省的な世界観で楽曲制作するラッパーのカニエ・ウェスト、キッド・カディらのリリックを引用して制作します。そして漫画家の森田るりのイラストを使った新作も発表します。

山下拓也
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山下拓也
The Woodcut printings from the bedroom
2023

My Pick organized by CADAN

○会期   2023年2月28日(火)〜 3月12 日(日)
○営業時間:11:00-19:00、土日11:00-17:00 ○休廊:3月6日(月)
○会場:CADAN有楽町 (有楽町ビル1F)
○企画:CADAN(一般社団法人日本現代美術商協会)

○レセプション:3月9日(木)18:00-20:00
Supported by

CADAN有楽町では、毎年アートフェア東京のシーズンに合わせて「アートコレクション」をテーマにした展覧会を開催しています。
昨年は、主に個人の枠を超え、オフィスや店舗といった場所でアートを共有してコレクションを楽しんでいるコレクターにご協力いただきました。
第3回となる今回は、個人コレクションとはいえ多種多様な視点をもち、世代を超えて受け継がれていくようなコレクターの皆さんにフォーカスいたしました。どんな思いを込めて作品と向かい合っているのかを展示を通してご覧ください。規制概念を崩すような、新しい価値に出会えるかもしれません。

●My Pick Special Exhibition
コレクターが推薦するアーティストの作品を展示します。

<推薦者 – アーティスト> ※敬称略
桶田俊二・聖子 – 工藤麻紀子(小山登美夫ギャラリー)
佐野仁美 – Samak Kosem (nca | nichido contemporary art)
嶋津 充 – 須藤絢乃(MEM)
馬場栄傑 – 西村有(KAYOKOYUKI)
松田りな – 小林正人(シュウゴアーツ)

●”Art in an International Environment/アートフェア編”
CADANオリジナル動画の第三弾。CADANメンバーが世界のアートフェアをカレンダーでご紹介!
https://www.youtube.com/@cadanofficialyoutube9341

高橋尚愛展「Calendar for Year 3015」by MISAKO & ROSEN

高橋尚愛展「Calendar for Year 3015」by MISAKO & ROSEN
会期:2023年1月31日(火)~2月19日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
営業時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 ~17時  / 定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:MISAKO & ROSEN

この度、CADAN有楽町では、MISAKO & ROSENによる高橋尚愛展「Calendar for Year 3015」を開催いたします。

高橋尚愛は、1940年東京生まれ。現在はアメリカのバーモント州とパリを拠点にしています。60年代にヨーロッパに渡り、70年代よりニューヨークで活動してきました。2015年になり若手アーティスト奥村雄樹により、その活気にあふれたニューヨークのアートシーンの中で、高橋は数々のアーティストたちと交流し活動してきたことが明らかにされてきました。
今回発表されるカレンダーの作品は、近年MISAKO & ROSENが解き明かそうとしてきた高橋の活動への理解をさらに深めることとなるでしょう。

高橋尚愛/時間をめぐる覚え書き 2023年1月
《Calendar for Year 3015》(1972/2015)

未来に辿り着くこと/時間に追い抜かれること

未来を引き延ばすこと/ミレニアムをひとつ飛ばすこと
——

未来が現在に追い付いてしまったので1000年が追加されたカレンダー
——

その生涯、そしてアーティストとしての遍歴を通じて、高橋尚愛は時間の経過と手を取り合いながら──そしてまた、いわば時間の経過に立ち向かいながら──活動してきた。波乱に満ちた彼の人生の軌跡は、時間の経過によって形成されたのである。逆も然り。時間もまた、高橋と手を取り合い、そして高橋に立ち向かいつつ、その活動を続けてきた。

活動の最初期、まだ若い美大生だった高橋が手がけたのは、歴史ある戦艦を記念するコンクリート製の巨大モニュメントだった。それは今日、横須賀市沿岸の海底に横たわっている。邪魔になったのか、あるいは時代に求められなくなったのか、とにかく彫刻は海に沈められ、跡地は駐車場になった。深い海に飲み込まれ、摂り込まれたそれの捜索は、今日まで試みられていない。未来の情景──何百万年もの時を経て化石化した聖書が出現するさま──を描いたドローイング《Petrified Bible》と同じく、この沈んだ記念碑もまた、過ぎ去った時代を未来に対して証言する、高橋流のタイム・カプセルなのかもしれない。それが再び姿を現すには、数千年、いや数百万年の時間がかかるのだろう。

時間がバラバラの撚り糸で織り成されていることを示す事例がもうひとつある。かつて高橋は、画面全体が模様で覆われた絵画に取り組んでいたが、1960年代中頃にそれをイタリアで初めて発表したとき、注目を得ることはできなかった。ワイド・ホワイト・スペースというアントワープの画廊で数年後に開かれた個展においても、寄せられた関心は限られていた。そのあと一連の絵画は同画廊の倉庫に姿を消した。そこに身を隠し、忘れられ、40年に渡って留まりつづけた。後年、2013年になってようやく──奥村雄樹というアーティストのおかげで──それらは表舞台に再登場し、注目を受け、世界中に点在することになった。

ときに高橋は、時間の進展がもたらす遅延に応じて、その流れに調整を加える。1972年、彼は西暦2000年という遠い未来のカレンダーを作ろうと思い立ち、まずはその準備として、溶剤を介して様々な既製のカレンダーのインクを月ごとに12枚のワックス・ペーパーへ転写した。彼が念頭に置いていたのは、1972年の暦が次に使われるのは2000年である──どちらも閏年なのだ──という事実だった。しかし結局、計画は実現されなかった。カレンダーは作成されず、ゆえに使用もされないまま、当の西暦2000年が到来してしまった。高橋が12枚の紙を再び引っ張り出したのは、準備から40年もの月日が流れた2015年、アムステルダムのアネット・ゲリンク・ギャラリーにおける展覧会のためだった。ようやく当初の計画が完了したわけだが、とはいえ重大な改変が加えられていた。とっくの昔に西暦2000年が過ぎていたため、西暦3015年という更に遠い未来へとカレンダーの年数が移行されたのである。

《Calendar for Year 3015》に現出しているのは、循環的な時間との戯れである。そこでは、過去のアイディアが再活性化され、現在へと運び込まれ、未来へと指し向けられている。それは再利用の反復であり、過去の再活性化であり、そしてもしかしたら、過去になることへの拒絶である。

本作に見て取れるのは延々と循環を続ける時間という考え方だが、そこから私が想起したのは次の短い覚え書きだった。1976年にサイ・トゥオンブリがタイプライターで打ち込んだ、高橋宛の一節である──「自然の偏執性とアーティストの執念だけに見受けられるロマンティックな連続体」。

経年変化によって脆くなったその黄色い紙に遭遇したとき、私は手つかずのまま箱に詰められていたヒサチカ発/宛の書簡──個人的なハガキ、手紙、殴り書きのメモ──を調べていた。場所はラファイエット通り381番地、ラウシェンバーグ財団のアーカイヴである。それは、活気に溢れた1970年代ニューヨークのアートシーンと密接に関わりながら、ヒサチカが40年近い歳月を過ごした建物でもある。

トゥオンブリが言うようなロマンティックな連続体は、段階的に変化していく自然の循環性においてのみ見知られているものだが、彼の見方によればそれはアーティストへと転移するのだ。それはアーティストの本質主義的な偏執性と無条件の不屈性において現出する。アーティストとしての実践の探究には持久力が、何度でも最初からやりなおす意志が必要となるのだ。連続体というコンセプトは、高橋の仕事の何たるかを照射するようでもある。彼は繰り返し過去に手直しを加える──新旧を往来し、過去を未来へと投射しながら。高橋は過去、現在、未来の間に齟齬をもたらし、非同期的な時間の糸を紡ぐ。彼に誘われ、私たちはそれをひとつずつ辿り直していく。

ソフィー・ユグナン

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主な展覧会
2018「視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品」国立国際美術館、大阪(グループ展)
2016「トーマス・デマンド: L’Image Volee」プラダ財団、ミラノ(グループ展)
「奥村雄樹による高橋尚愛」銀座メゾンフォーラム、東京(グループ展)
2015「Hisachika Takahashi Annotated by Yuki Okumura: Memory of Past and Future Memory」アネット・ゲリンクギャラリー、アムステルダム(2人展)
2013 プロジェクト・ルーム、ヴィールズ・コンテンポラリー・アート・センター、ブリュッセル(個展)
「フロム・メモリー:ドロー・ア・マップ・オブ・ユナイテッド・ステート」ショーン・ケリー・ギャラリー、ニューヨーク(個展)
「ヒサチカ・タカハシ:アントワープ 1967 / ブリュッセル 2013」エキシビション・リサーチ・センター、リバプール(個展)
1987「フロム・メモリー:ドロ ー・ア・マップ・オブ・ユナイテッド・ステート」タンパ美術館、タンパ、フロリダ(個展)
1967 ワイド・ホワイトスペース、アントワープ(個展)

刊行物
2015 高橋尚愛「From Memory Draw a Map of the United States」Hatje Cantz刊
ルーシーリパードによるエッセイ、マルシアE ヴェトロックによるインタービュー

パブリックコレクション
メニル財団、ヒューストン
ダラス美術館、ダラス
フォーリンデン美術館、ヴァッセナール
国立国際美術館、大阪

染谷聡 × 川人綾「となりの揺らぎ」 by imura art gallery

染谷聡 × 川人綾『となりの揺らぎ』 by imura art gallery
会期:2023年1月10日(火)~1月29日(日)
会場:CADAN有楽町 東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル1F
時間:火~金 11~19時 / 土、日、祝 11~17時  定休日:月(祝日の場合は翌平日)
企画:imura art gallery

●トークイベント
2023年1月10日(火)18~19時 @CADAN有楽町
出演:染谷聡 川人綾 天野太郎(東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)
*@cadan_instaからインスタライブ配信もいたします。

この度、CADAN有楽町では、京都を拠点とする imura art galleryによる、染谷聡と川人綾による二人展「となりの揺らぎ」を開催いたします。

染谷聡《をどる桃》2021 撮影:来田猛 / KORODA takeru

染谷聡は、漆を素材に漆芸における装飾行為である「加飾」をテーマに制作し、工芸分野に留まらない作品を生み出しています。加飾の研究を重ねる中で、染谷は過去の漆作品の加飾に見られる微妙なズレに着目しました。このリサーチを自身の作品に昇華した作品が、近年制作している「ミストレーシング」シリーズです。過去の漆作品を、染谷なりにトレース(辿る/写す)することで、品物から垣間見えてくる物語と景色を作品化しています。

川人綾《CU C/U_dccxxx-dccxxx_(b)_XIII》2022 (参考画像) 撮影:大島拓也 / Takuya Oshima(Northern Studio)

一方、川人綾も染織という工芸分野から美術教育をスタートし、パリへの留学を経て、東京での大学院時代に織りのシステムを応用した「グリッド・ペインティング」を描くようになりました。神経科学者の父の影響を受け、幼い頃より脳を通して世界を把握しているということを強く意識していた川人は、グリッドの重なりによる錯視効果と、手作業による制御できないズレがもたらす意図しない美しさをテーマに制作しています。

初めてとなる二人展では、それぞれ自身のテーマに沿った新作を制作しつつ、お互いのコンセプトの重なる部分を意識しながら準備を進めました。同じ対象を見ていても、人それぞれ違う捉え方をしている面白さがある、と二人は言います。自分の目に見えている景色は、横にいる人のそれとは違うのかもしれない、という気づきを会場で感じていただければと思います。

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川人さんの「ズレ」に対する関心や工芸的な起点に興味があって、「ズレ」をテーマに一緒に展示ができたら面白そうだなと思っていました。一昨年越しに実現できて嬉しく思います。
僕は今回、土地に根付いた漆器の装飾を自分なりに辿り、写してゆく作品シリーズ、《ミストレーシング》を展示します。同時期に同シリーズを沖縄で展示中なので、その辺とも関連できればと思います。
せっかくの機会なので、いつもより自由にズレて、お互いのズレが良い揺らぎとなって空間に広がればなによりです。

染谷聡

染谷さんにこの2人展をご提案いただいたのは一昨年の秋頃だったが、とても嬉しかったのを覚えている。それまで染谷さんとお会いしたのは1度だけで、たしか数年前の京都のアートフェアだったと思う。その時に沖縄の染織の話になり、興味対象が似ているのかなと思っていた。
私の制作コンセプトは、一言にまとめると『制御とズレ』だが、同じものを見ていても、人それぞれ見えているものが異なるのではないか、という感覚を共有したいと思って作品をつくっている。それは染谷さんの制作にも共通していて、そのことが2人展開催のきっかけとなった。
今回の展示では、お互い肩の力を抜いて、少しいつもと違うことにトライする、というのが裏テーマだ。鑑賞者の方々にも、リラックスして楽しんでもらえたらと思う。

川人綾

<他会場での展覧会>
○川人綾
projectN 89
2023年1月18日(水)〜3月26日(日)
東京オペラシティアートギャラリー (初台)

○染谷聡
風景の宛先 | Beyond the Scene
2022年12月18日(日)〜2023年2月12日(日)
Gallery 9.5 NAHA (沖縄)

○染谷聡
ないじぇる芸術共創ラボ二人展「染谷聡×谷原菜摘子 わだかまる光陰」
2023年1月11日(水)〜17日(火)
文房堂ギャラリー (文房堂 神田本店3F)

伊勢克也+山本麻世「LESS THAN NATURE」by Sprout Curation

伊勢克也+山本麻世「LESS THAN NATURE」
2022年12月13日(火)〜1月8日(日)
会場:CADAN 有楽町
開廊時間:火〜金 11:00 – 19:00 / 土・日・祝 11:00 – 17:00
休廊日:月曜日 *年末年始休業:12/26 ~ 1/3
企画:Sprout Curation

○アーティストトーク
12月17日(土)11:00〜
会場:CADAN有楽町
出演:伊勢克也+山本麻世、ナビゲーション:志賀良和(Sprout Curation主宰)
伊勢克也が謎の形を探求するライフワーク「マカロニ」や、山本麻世の独特な寄生する彫刻などを巡って語り合います。
*CADANのインスタグラムアカウント(@cadan_insta)からライブ配信もいたします。

人間と自然が共振する、キモカッコイイ形態美!

自然と人間を繋ぐへその緒は完全に断ち切られることはない。伊勢克也はキクイムシのコロニーが生々しく残る倒木から、その痕跡を原寸で採取した描像と、ライフワークのブロンズ彫刻などを出品。山本麻世は代表作「へその緒シリーズ」、そして寄生するスポンテニアス・スカルプチャーなど、シャーマン・ライクな二人のアーティストの共演です。またそれぞれの新刊アーティストブックも限定販売いたします。

 

伊勢克也◎1960年盛岡市生まれ。東京芸術大学デザイン科卒業後、1984年大学院修士を修めるそのほぼ同時期に「日グラ」(日本グラフィック展@渋谷パルコ)の第5回大賞を受賞、一躍脚光を浴びます。「日グラ」は第3回の日比野克彦の受賞をきっかけに、ニュー・ペインティングに沸くファインアート界とコマーシャル・アート双方を巻き込み、80年代中盤に大きなムーヴメントとを作り出すことになります。それと同時期に没頭していたのが「マカロニ」シリーズです。「マカロニ」とは、フランス人考古学者アンリ・ブルイユがアルタミラ洞窟壁画を探索した際、狩猟採集や祭祀的な図像とは別に、無数に描かれていた謎の屈曲線を発見、それを「マカロニ」と呼んだことに因ります。スポンテニアスな線と、文字の中間のようなイメージ。爾来、伊勢克也は摩訶不思議な形象を自然から授かろうとするシャーマンのように、日本古来の多神教的な自然観と、近年はデジタルも駆使しながら、端緒から40年近く経った現在も「マカロニ」を探求し続けています。
東京タイポディレクターズクラブ(TDC)理事、女子美術短期大学の教授(現職)を歴任。2017年と19年にスプラウト・キュレーションで「マカロニ」シリーズの個展他、個展、グループ展多数。

 

山本麻世◎1980年東京生まれ。多摩美術大学大学院美術学部工芸科修了後、2005年から2008年までヘリットリートフェルト・アカデミー陶芸学科(アムステルダム)、2008年から2009年までサンドベルグ・インスティテュート、ファインアート学科(アムステルダム)に在籍。陶芸から現代アートへと指向が拡張する過程を経て、近年は構造物などに寄生する屋外彫刻を中心に活動。中でも標識テープをレリアン編みで作品化する「へその緒」シリーズはアイコニックな作品として注目されています。
主な個展に、2022年「交わると、生まれます」スプラウト・キュレーション/東京、2021年「イエティのまつ毛」アーティスト・ラン・スペース『オルタナティブ掘っ立て小屋:ナミイタ』/神奈川県・鶴川、2019年「母乳で育てた?それともミルク?」、2017年「川底でひるね」いずれもギャラリー川船/東京など。グループ展では2021年「平戸×オランダ海を越えた芸術祭」/長崎・平戸、「AHAPPYNEWWORLD」、2020年「UnrecognizedCreatures」ともにスプラウト・キュレーション/東京他多数。また2015年に新潟越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」、「ARTSEEDSHIRADO、2011年「六甲ミーツアート芸術散歩」で公募大賞特別賞、彫刻の森美術館賞受賞。同年おおさかカンバス推進事業(大阪)に参加。他、オランダ、韓国、フィリピンなどでアーティスト・イン・レジデンスに参加。

 

津上みゆき「さらさら、ゆく」 by ANOMALY

津上みゆき「さらさら、ゆく」 by ANOMALY
2022 年 11 月 22 日(火)〜12 月 11 日(日)
会場:CADAN 有楽町
開廊時間:火〜金 11:00 – 19:00 / 土・日・祝 11:00 – 17:00 / 休廊日:月曜日
企画:ANOMALY

○レセプション
11 月 25 日(金)18:30 より、作家を囲んでレセプションを開催いたします。是非お立ち寄りください。

この度CADAN有楽町では、東京・天王洲を拠点とするANOMALYによる津上みゆきの個展「さらさら、ゆく」を開催します。

津上みゆき 1973年東京に生まれ大阪に育つ。京都芸術大学大学院修了。2003年に VOCA賞を受賞、主な個展に、2005年「ARKO 津上みゆき」(大原美術館)、2013年「View−まなざしの軌跡、生まれくる風景」(一宮市三岸節子 記念美術館)、2015年「日本の風景、ウッカーマルクの風景」(ドミニカナ ークロスター・プレンツラウ/ドイツ)、2018年「時をみる」(上野の森美術館ギャラリー)、2019年「View−人の風景」(⻑崎県美術館)などがあり、国内外で数多くの作品を発表してきました。

津上は、1996年ニューヨークでの滞在制作の際に作品について再考する機会を得、帰国後独自の絵画を改めて探求し始めます。2005年大原美術館が行う滞在制作プログラムにおいて、日々のスケッチを元に風景画を描くという現在まで続く制作方法を確立しました。2013年五島文化財団 文化賞美術部門 新人賞受賞により、風景画誕生の地と言われるイギリスに滞在し制作するとともに、過去の風景画家とその作品についての研究と制作を行いました。

《View, A City, Time, 4:45pm 27 June 2022》のスケッチ(参考作品) 2022 ©︎Miyuki Tsugami

作品のタイトルに一貫して”View”という言葉を冠しているのは、目の前に存在する風景だけでなく、見方や考え方という広い意味を含んだ独自の風景画を追求していることに由来しています。津上の描く風景画はどのような風景が描かれているのか瞬時に判断できません。作品は見るものにある種忍耐を強いて存在しますが、津上のつくり出すみずみずしい色彩や豊かな筆致から生まれるかたちには、その土地やその場所が経験してきた出来事を紐解き、眼の前の風景を重ね合わせた、過去から現在までの流れる時間をもが表現されているのです。鑑賞者に作品の前で立ち止まり、色や形、構図や筆致を目で追い、作品を自分の風景として改めて開き、風景というもの、そのものの意味と共に向かい合うことを望む。それが津上みゆきの風景画です。

Left:《View, A City, Rain, 12:58pm 7 June 2022》 2022、 顔料、アクリル、その他、キャンバス、H50xW100cm Right: 《View, A City, Time, 4:45pm 27 June 2022》 2022、 顔料、アクリル、その他、キャンバス、H50xW100cm ©︎Miyuki Tsugami

本展では、三つの場所をスケッチし取材と思考を重ねた道の作品「View, Through the Doors, Morning 16 Jan 2022」、かつて海であった CADAN有楽町のある土地についての丁寧なリサーチに基づき生まれた大作など、新作約15点を展示します。せわしなく多くの人々が行き交う東京の中心、丸の内で、津上の風景画が流れるように過ぎ去る日常や記憶の中の場所に寄り添うきっかけとなれば幸いです。

この地上に棲まう無数の生き物たちが、己の命と共に、無数の場所の端々に、ひとひらとなり一陣となり姿を変えてさらさらとゆく。留まることを知らない水の摂理に小さな舟を浮かべ、今と昔の時を隔てて流るるが如く。

津上みゆき

同時開催となります NADiff a/p/a/r/t での個展は、会場近くを流れる都心の川の取材をもとに生まれた作品群が迫るように鑑賞者を取り囲みます。人の手でもたらされた古くは海であった多くの人々が行きかう都心のオフィス街と、人の住まう街に古くからある自然の水脈の今の姿。今を生きる私たちそれぞれの風景と重ね合わせながら、展示空間と作品との関係性をも踏まえた両展を、どうぞご高覧ください。

○同時開催:津上みゆき 個展
囁く如く (In a Whispering Way)
2022年11月23日 (水)−12月18日 (日)
NADiff a/p/a/r/t 、東京
アーティストトーク:2022年12月9日 (金)19:00- 20:30

津上みゆき http://miyukitsugami.jp

TOP画像:《View, Through the Doors, Morning 16 Jan 2022》2022、顔料、アクリル、その他、キャンバス、H146xW276.5 ©︎Miyuki Tsugami

南依岐「藝核一如」by rin art association

南依岐「藝核一如」by rin art association
Ibuki Minami “Art-Core-Oneness”

2022年11月1日(火)− 11月20日(日)
会場:CADAN 有楽町 (東京都千代田区有楽町 1-10-1 有楽町ビル 1F)
営業時間:火-金 11:00-19:00 / 土・日・祝 11:00-17:00
定休日:月曜日、11月13日(日)
企画:rin art association

●トークイベント
作家の南依岐氏のトークイベントを開催いたします。南依岐氏と哲学研究者の野村将揮氏をお招きし、rin art association のオーナー原田崇人氏をナビゲーターに展覧会のテーマや作品の根幹にあるものを探っていきます。展覧会と併せてぜひご高覧ください。
日時:11月3日(木)17:00-18:00
出演:南依岐、野村将揮(哲学研究者)、原田崇人(rin art association オーナー)
会場:CADAN有楽町
参加無料

CADAN 有楽町では、群馬、高崎を拠点にするrin art associationの 企画による南依岐個展「藝核一如」を開催いたします。

アルゴリズムの回路図をもとにした絵画シリーズで知られる南依岐。2020年のデビュー展以来、瞬く間に高い評価を獲得してきました。
南の絵画は、データの流れが分岐し、互いに関連する様子を描いたグラフアルゴリズムのドローイングに始まります。マーカーで記された数字やアルファベットなどの構成要素は、特定の色やトーンに関連付けられ、その上に描かれる絵画の指示書として機能しています。
こうしたグラフ構造にみられる多様な展開と色調は、さらにインパストの筆使いとリズミカルな構図によって強調されることになります。長方形や円形、点の配列など、異なる形状とテクスチャーをもつ幾何学的パターンが、互いに重なり合い、指向性をもつラインに繋がれ、ネットワーク化した世界の設計図を構成するのです。こうした絵画を成り立たせる複雑な関係性の解釈によって、南の絵画はよりコンセプチュアルな次元へと導かれていきます。
自身の作品制作を説明するために、南は「アートコア」という言葉を用いています。アートコアは、いわば美術を成立させるあらゆるソースコードの格納庫であり、生命においてDNAが果たす役割のように、絵画という行為を通じてそれが物質的、概念的、あるいは精神的に展開されるとも考えられます。科学、芸術、哲学の境界線はなく、すべてが不可分であり、人間の生命に不可欠なものであると考える作家は、「アートコア」という言葉に、未分化で未知なるこの領域の核心を託しているのです。

南依岐は1995年生まれ。アカデミー・オブ・アート大学(サンフランシスコ)で学士号を取得。現在は、東京を拠点に活動しています。

(TOP画像/撮影:木暮伸也)

「新進芸術家海外研修制度の予算についての要望書」を提出しました。

日本現代美術商協会は「新進芸術家海外研修制度の予算についての要望書」を文化庁長官に送付いたしました。

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2022年10月1日

一般社団法人日本現代美術商協会
代表理事 小山 登美夫

文化庁長官
都倉 俊一 殿

新進芸術家海外研修制度の予算についての要望書

新進芸術家海外研修制度は、1967年の発足以来55年に渡り、美術関係の各分野においては長期、短期合わせて1,500名に上る研修者を海外へと送り出し、その成果発表の場として1998年から開始された「ドマーニ・明日展」展は、研修後の活動期間を経たキャリアのある中堅作家や、近年在研を終えた清新な作家による展覧会として、毎年見応えある作品群が並びます。

しかしここ2年、本制度の美術関係の採択者が10名、5名と大きく減少しています。採択者の減少は、応募者自体の減少によるところと聞いていますが、その理由はひとえに新型コロナ感染症による海外への渡航困難、そして海外に活動拠点を移すことを躊躇せざるを得ない状況によるものであります。昨今、ようやく各国への渡航の規制が緩和され始め、これから平常時の状態へと戻るにつれ、海外研修への応募者も増えてくると考えられます。

本制度は、個々の研修者にとって自国では得ることのできない広い知見を身につける機会を後押しし、芸術活動を通した交流と、将来的に我が国の文化の基盤を支える若き人材の国際感覚の育成を促すものであります。

日頃、新進アーティストと協働する我々ギャラリーとしても本制度の果たしてきた社会的な役割と成果の重みを実感しており、ぜひとも文化庁におかれましては本制度の意義を長い目で捉えていただき、継続的な予算の確保を要望します。

以上